2024/09/06

ファシリティマネジメントとは?施設管理との違いや業務内容を解説!

自社の施設を有効活用したいと考える総務部門担当の方は多いはずです。しかしながら、どこから手をつければ良いのかわからず戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ファシリティマネジメントの業務内容や実施する上でのポイントについて解説していきます。自社の施設管理にお悩みの方は、ぜひ最後までご一読ください。

ファシリティマネジメントとは?

ファシリティマネジメント(FM)は、企業や組織が所有する施設や設備を効率的に管理し、最適な運用を実現するための戦略的なアプローチです。

具体的には、施設の設計、運営、保守、さらには利用者のニーズに応じたサービスの提供まで、多岐にわたる業務が含まれます。

ファシリティマネジメントは、単なる施設管理にとどまらず、経営戦略の一環として位置づけられることが多く、企業の競争力を高める重要な要素となっています。

施設管理との違い

ファシリティマネジメントと施設管理は、似ているようで異なる概念です。

施設管理は、主に物理的な施設や設備の維持・管理に特化しており、日常的なメンテナンスや修理、清掃などの業務が中心です。

これに対して、ファシリティマネジメントは、施設の運営や管理を戦略的に行うことを目的としています。つまり、ファシリティマネジメントは、施設の価値を最大化するために、経営戦略や利用者のニーズを考慮しながら、より広範な視点で業務を展開します。

ファシリティマネジメントの仕事内容

ファシリティマネジメントの仕事内容は多岐にわたりますが、主に施設や設備の効率的な運用と管理を通じて、企業の業務を支えることが目的です。具体的には、以下のような業務が含まれます。

  1. 施設・設備の定期メンテナンス
  2. 省エネ化対応
  3. 防災・セキュリティ対策
  4. オフィス移転・レイアウト変更

ここでは、各業務内容について解説していきます。

施設・設備の定期メンテナンス

施設・設備の定期メンテナンスは、組織の運営において重要な役割を果たします。定期的なメンテナンスにより、設備の性能を維持し、故障やトラブルを未然に防ぐことができます。

具体的には、空調設備や電気系統、配管などの点検・整備を定期的に実施し、必要に応じて部品の交換や修理を行います。

さらに、定期メンテナンスは、施設の安全性を確保するためにも欠かせません。例えば、消防設備や避難経路の確認を行うことで、万が一の事態に備えることができます。

省エネ化対応

省エネ化対応は、持続可能な運営を実現するために欠かせない要素です。エネルギーの効率的な使用は、コスト削減だけでなく、環境への配慮にもつながります。特に、企業が社会的責任を果たすためには、省エネ対策を積極的に取り入れることが求められています。

省エネ化の具体的な取り組みとしては、照明のLED化や空調の最適化、設備のエネルギー管理システムの導入などが挙げられます。

さらに、エネルギー使用状況を定期的にモニタリングし、データを分析することで、無駄なエネルギー消費を特定し、改善策を講じることができます。

防災・セキュリティ対策

防災・セキュリティ対策も重要です。企業の施設が自然災害や不正侵入などのリスクにさらされる中、適切な対策を講じることは、従業員の安全を守るだけでなく、企業の資産を保護するためにも必要です。

まず、防災対策としては、火災や地震などの災害に備えた計画を策定することが重要です。具体的には、避難経路の明示や、定期的な避難訓練の実施、消火器や防火扉の設置などが挙げられます。

さらに、セキュリティ対策については、施設内への不正侵入を防ぐための施策が求められます。監視カメラの設置や、入退室管理システムの導入、警備員の配置などが効果的です。

オフィス移転・レイアウト変更

ファシリティマネジメントにおいて、オフィス移転やレイアウト変更は重要な業務の一環です。企業の成長や業務の変化に伴い、オフィスのスペースや配置を見直す必要が生じることがあります。

オフィス移転を行う際には、まず新しいオフィスの選定が重要です。立地やアクセスの良さ、周辺環境などを考慮し、従業員が通いやすい場所を選ぶことが求められます。

また、移転に伴うコストやスケジュールの管理も欠かせません。事前に詳細な計画を立て、関係者とのコミュニケーションを密にすることで、スムーズな移転を実現できます。

レイアウト変更に関しては、オフィスの機能性を高めるために、フリーアドレスやオープンスペースの導入を検討することが一般的です。これにより、チーム間のコミュニケーションが促進され、創造的なアイデアが生まれやすくなります。

関連記事: オフィスレイアウトの基本とは?デスク配置パターンを解説!

ファシリティマネジメントを実施する上でのポイント

ファシリティマネジメントを効果的に実施するためには、下記にあげるような重要ポイントを押さえる必要があります。

  1. 3つのレベルで計画作成
  2. ファシリティマネジメントのサービスを利用
  3. 有資格者をプロジェクトに参画させる
  4. PDCAを回す

ここでは、各ポイントについて解説していきます。

3つのレベルで計画作成

ファシリティマネジメントを成功させるためには、計画作成において3つの異なるレベルを考慮することが重要です。

まずは、戦略レベルです。この段階では、企業全体のビジョンや目標に基づいた長期的な計画を策定します。例えば、企業の成長戦略に合わせて、施設の拡張や新しい設備の導入を検討することが含まれます。

次に、中期的な計画を立てることが求められます。これは、戦略的なビジョンを実現するための具体的な施策を定める段階です。例えば、3年から5年のスパンで、施設のリニューアルや省エネ対策を計画することが考えられます。

最後に、短期的なアクションプランを具体化します。これは、日々の業務や運営に直結する具体的なタスクやスケジュールを設定する段階です。例えば、月ごとのメンテナンススケジュールや、必要な設備の点検・修理の計画を立てることが含まれます。

ファシリティマネジメントのサービスを利用

ファシリティマネジメントを効果的に実施するためには、専門サービスの利用がおすすめです。

まず、外部のファシリティマネジメントサービスを利用することで、最新技術やトレンドに基づいたアプローチを取り入れることができます。さらに、専門のサービスプロバイダーは、施設の状態を定期的に評価し、必要なメンテナンスや改善策を提案してくれます。結果として、トラブルを未然に防ぎ、施設の安全性や快適性を維持することができます。

有資格者をプロジェクトに参画させる

有資格者をプロジェクト参画させることも重要です。専門的な知識や技術を持つ有資格者は、施設管理の複雑な課題に対して効果的な解決策を提供することができます。

特に、ファシリティマネジメントの分野では、建物の運営や維持管理に関する専門知識が求められるため、資格を持つプロフェッショナルの存在は不可欠です。

さらに、有資格者はプロジェクトチームのリーダーシップを発揮し、メンバー間のコミュニケーションを円滑に進める役割も果たします。これにより、プロジェクトの進行がスムーズになり、目標達成に向けた効果的なアプローチが実現します。

PDCAを回す

ファシリティマネジメントにおいて、PDCAサイクルを回すことは非常に重要です。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのステップから成り立っており、これを繰り返すことで業務の質を向上させる手法です。

まず、計画段階では、施設の運営に関する目標を設定し、具体的な施策を立案します。この際、現状の課題やニーズを把握することが重要です。

次に、実行段階では、計画に基づいて施策を実施します。この時、進捗状況を定期的に確認し、問題が発生した場合には迅速に対応することが求められます。

評価段階では、実施した施策の効果を測定し、目標に対する達成度を確認します。この評価をもとに、改善策を検討し、次の計画に反映させることが重要です。最後に、改善段階では、得られた知見をもとに新たな施策を立案し、再びPDCAサイクルを回していきます。

ファシリティマネジメントの認定資格CFMJとは?

ファシリティマネジメントの分野において、認定ファシリティマネジャー(CFMJ)は重要な資格の一つです。

この資格は、ファシリティマネジメントの専門知識やスキルを持つことを証明するものであり、業界内での信頼性を高める役割を果たします。

認定ファシリティマネジャー(CFMJ)とは?

認定ファシリティマネジャー(CFMJ)は、ファシリティマネジメントの専門家としての資格であり、業界内での信頼性を高めるための重要な指標となります。

CFMJ資格を取得することで、受験者は施設管理や設備の運用、環境への配慮、リスクマネジメントなど、ファシリティマネジメントに必要な幅広い知識を身につけることができます。

また、CFMJ資格はキャリアアップや転職時のアピールポイントとしても非常に有効です。ファシリティマネジメントの専門家としてのスキルを証明することで、企業内での信頼を得るだけでなく、業務の効率化やコスト削減に貢献することが期待されます。

したがって、ファシリティマネジメントに関心のある方にとって、CFMJ資格は取得を検討する価値のある重要な資格と言えるでしょう。

参考: JFMA 公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会

認定ファシリティマネジャー(CFMJ)の受験資格

CFMJを取得するためには、一定の受験資格が設けられています。

まず、受験者はファシリティマネジメントに関連する業務に従事していることが求められます。具体的には、施設管理や設備運用、プロジェクトマネジメントなどの分野での実務経験が必要です。

また、CFMJ資格の受験には、学歴や職務経歴に関する条件もあります。一般的には、大学卒業以上の学歴を持ち、関連する業務に数年以上従事していることが望ましいとされています。

この研修では、ファシリティマネジメントの最新のトレンドや実務に役立つ知識を学ぶことができ、受験者のスキル向上に寄与します。

認定ファシリティマネジャー(CFMJ)資格取得の手順

CFMJ資格を取得するための手順は、いくつかのステップに分かれています。

まず、CFMJ資格の試験日程を確認し、受験申し込みを行います。申し込みはオンラインで行うことができ、必要な書類を提出することが求められます。

申し込みが完了したら、試験に向けた具体的な学習計画を立て、模擬試験や過去問題を活用して実践的な準備を進めることが推奨されます。

試験当日は、指定された会場にて試験を受けます。試験は筆記形式で行われ、ファシリティマネジメントに関する幅広い知識が問われます。

合格後は、認定証が発行され、正式に認定ファシリティマネジャーとしての資格を得ることができます。

まとめ

ファシリティマネジメントは、企業や組織の施設を効率的に管理し、最適な環境を提供するための重要な業務です。

施設管理との違いを理解し、ファシリティマネジメントの具体的な業務内容を把握することで、より効果的な施設運営が可能になります。特に、定期メンテナンスや省エネ化、防災・セキュリティ対策、オフィス移転・レイアウト変更といった多岐にわたる業務は、企業の生産性や安全性を高めるために欠かせません。

また、ファシリティマネジメントを実施する際には、計画の立案や専門家の活用、PDCAサイクルの実践が重要です。これらのポイントを押さえることで、より効果的なファシリティマネジメントを実現し、企業の成長に寄与することができるでしょう。


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