オフィス移転は企業にとって大きな転換点です。
業務効率の向上や働き方改革の実現、新しいブランディングの機会でもありますが、同時にさまざまなタスクと調整が発生します。本記事では、移転をスムーズに進めるための主なタスクと、その成功ポイントについて詳しく解説します。
オフィス移転に伴う主なタスク概要

オフィス移転では、目的の明確化から始まり、物件選定、レイアウト設計、IT整備、業者との調整など、段階的に多くのタスクが発生します。関係者との連携と計画的な進行管理が不可欠であり、各工程での抜け漏れを防ぐことで、スムーズな移転と業務継続が実現できます。
これらのタスクをしっかりと整理し、計画的に進めることで、オフィス移転を成功に導くことができるでしょう。
ステップ1:移転の目的整理と全体計画の立案
オフィス移転は、単なる「場所の変更」ではありません。企業の成長戦略や働き方の見直しと深く関係するプロジェクトです。
まずは、なぜ移転をするのか、その原点を明確にすることがスタートラインとなります。
◎目的整理と立案ステップ
①現状オフィスの課題を整理する
立地の不便さ、社員数に対してのスペース不足、老朽化による設備トラブルなど、現オフィスが抱える具体的な課題を洗い出します。
これらが移転の動機となり、計画全体の軸になります。
②経営層と「なぜ移転するのか?」をすり合わせる
コスト削減、採用強化、リブランディング、社員満足度向上など、経営側の視点と実務側の目的を擦り合わせることで、プロジェクトの方向性が統一されます。
トップダウンだけでなく、現場の声も拾いながら進めましょう。
③部署横断のプロジェクトチームを発足する
総務、IT、人事、広報など、各部門からキーパーソンを選出し、横断的なプロジェクトチームを立ち上げます。
実務的な課題を共有しながら動くことで、各部署の協力体制を強化できます。
④スケジュールと進行管理ツールを整える
WBS(Work Breakdown Structure)でタスクを細分化し、「誰が・いつまでに・何をするか」を可視化します。移転が近づくほどタスクが増えるため、早い段階での体制整備が重要です。
移転の目的と計画の軸が定まっていれば、途中でブレることなく全体を見渡したプロジェクト運営が可能になります。
次のステップでは、理想のオフィス空間を実現するための物件選定へと進んでいきましょう。
ステップ2:物件選定と契約タスク
移転の目的と計画が固まったら、次は“理想のオフィス”を実現するための物件探しです。
ここでの選定ミスは、後々のレイアウトや設備整備にも影響するため、慎重かつ戦略的に進めることが大切です。
◎物件選定ステップ
①新オフィスの条件設定と候補リストアップ
立地、坪数、賃料、築年数、天井高、入居可能時期など、必須条件と希望条件をリスト化しましょう。
自社の成長見込みや社員数の増減も見据えたうえで、現実的かつ将来性のある物件を選定します。
②内覧と社内での比較・検討を実施
候補物件は必ず現地で内覧を行い、写真や図面だけではわからない導線や周辺環境を確認します。
プロジェクトチームだけでなく、関係部署にも意見をヒアリングすることで、多角的な視点から検討が可能になります。
③契約条件の確認と締結プロセス
賃料や共益費、原状回復条件、解約予告期間などを細かくチェックしましょう。
また、入居日や工事可能期間など、今後の工程に影響する日程面の取り決めも重要なポイントです。
物件選びは「現状」と「理想」の両立が求められる難関ステップです。
しかし、ここでの判断が今後数年間の働きやすさを左右します。
次章では、選んだ空間をどう活かすか、レイアウトと内装デザインへ進みましょう。
ステップ3:レイアウト・内装デザインの決定

物件が決まったら、次は“どう使うか”のフェーズへ。オフィスのレイアウトやデザインは、社員の働きやすさや企業イメージに直結します。機能性とブランド力を両立させるための設計が重要です。
◎レイアウト・内装の検討ステップ
①執務・会議・休憩エリア等の配置設計
現在の働き方に即したゾーニングを行いましょう。固定席/フリーアドレスの選定、会議室数、リフレッシュエリアの位置関係など、業務動線と居心地の両立を意識することがポイントです。
②デザイン会社・家具ベンダーとの調整
社内のコンセプトやブランディング方針を明確に伝えた上で、プロの意見も取り入れながらデザインを調整します。カラースキームや素材感、照明設計など、細部までこだわることで統一感のある空間が生まれます。
③内装工事の工程確認と進捗整理
工期、工事内容、ビル側の制限(騒音時間帯や搬入制限など)を事前に確認し、関係業者とスケジュールをすり合わせます。
工程表をプロジェクトメンバーと共有し、変更があった場合は速やかに関係各所へ周知する体制を整えることが重要です。
オフィスの「顔」となる空間づくりは、単なるレイアウト以上の意味を持ちます。働きやすく、誇れる場所を目指して、デザインと機能の両立を意識しましょう。
次章では、オフィスの心臓部ともいえる「IT・インフラ整備」について解説していきます。
ステップ4:IT・インフラ整備
オフィス移転において、IT・インフラの整備は目に見えにくいが最も重要な工程です。
ネットワークや通信機器の整備が遅れると、移転初日から業務が滞ってしまう危険もあるため、抜け漏れのない事前準備がカギです。
◎IT・インフラ整備の実務ステップ
①ネットワーク・回線の新設/移設計画
まずは新オフィスの配線環境を確認し、回線の種類(光・専用線など)やプロバイダーの選定、工事日の確定を行います。既存オフィスの解約手続きも忘れないようにしましょう。
導入までに時間がかかることもあるため、早めの手配が肝心です。
②サーバー・通信機器の調達と設置手配
自社サーバーやNAS(ネットワークHDD)、複合機、ルーター、スイッチングハブなど、必要機器の棚卸しと調達を行います。新オフィスのレイアウトに応じて、設置位置や配線計画も事前に検討し、業者とも共有しておきましょう。
③セキュリティシステムの見直し・導入
入退室管理システムや監視カメラの設置、Wi-Fiアクセス制御など、セキュリティ対策もこのタイミングで再構築をしましょう。
物理・情報両面からのリスク対策を考え、自社に適したセキュリティポリシーを見直しましょう。
インフラの整備は、「業務が滞らずスタートできるか」を左右する生命線です。専門業者との連携やスケジュールの逆算が成功のカギとなります。
次章では、移転実務を支える、業者との調整と発注業務について解説していきます。
ステップ5:各種業者との調整・発注業務

オフィス移転は、自社だけで完結できるものではありません。引越し業者や廃棄業者、備品ベンダーなど、さまざまな外部パートナーとの連携が求められます。
スムーズな移転のためには、的確な発注と調整が欠かせません。
◎調整・発注に関する主なステップ
①引越し業者との見積・作業計画の作成
複数社から相見積もりを取り、コスト・対応範囲・作業品質を比較検討します。
その上で、荷物の種別や量、搬出入経路、作業スケジュールをすり合わせ、移転作業の段取りを明確化する必要があります。
可能であれば「事前搬入」や「休日移転」などのオプションも検討しましょう。
②廃棄・リユース品の管理・依頼
不要家具やOA機器、書類などの廃棄・リサイクルもこのタイミングで整理をしましょう。廃棄業者への依頼だけでなく、リユース業者や社内の譲渡ルールも検討すると無駄を減らせます。
特にPC・サーバー類の廃棄時は「データ消去」など情報漏えい対策も忘れないようにしましょう。
③オフィス用品や備品の発注・納品管理
新オフィスで必要となる家具や文具、家電などの備品リストを作成し、納品スケジュールと設置場所を管理します。
業者任せにせず、納品立ち会いや数量チェックなども社内で体制を整えましょう。
業者との連携は、コスト・品質・スケジュールすべてに直結する重要な工程です。早期の相談と丁寧な調整が、トラブルのない円滑な移転につながります。
次章では、社員や関係者への周知と対応についてお伝えします。
ステップ6:社員・関係者への周知と対応
オフィス移転をスムーズに進めるためには、社員一人ひとりの協力が不可欠です。
移転の目的やスケジュールを「共有」し、「理解」と「準備」を促すことが、業務の混乱や不安の軽減につながります。
◎社内・関係者対応の主なステップ
①移転情報の社内周知とQ&Aの整備
移転の概要や目的、スケジュール、場所、変化点などを社内ポータルや説明会を通じて丁寧に共有しましょう。社員からよくある質問に答える「Q&A」を整備しておくことで、現場の混乱を防ぐことができます。
移転特設ページやFAQチャットボットの設置も有効です。
②部署単位での荷造り・持ち出しルールの説明
荷造り開始のタイミングや方法、廃棄対象、私物の扱いなどは部署ごとに説明・徹底する必要があります。
「ラベルの貼り方」「PCや重要書類の扱い方」など、マニュアル化した資料を配布し、部門リーダーと連携しながら進行管理しましょう。
③移転後の働き方・設備利用のレクチャー
新オフィスでのフリーアドレス制度や会議室予約方法、セキュリティの取り扱いなど、働き方やルールが変更になる場合は、事前に説明会やレクチャーを実施すると良いでしょう。
現地オリエンテーションや、写真付きの利用マニュアルもあると安心です。
社員が「わからない」「不安だ」と感じないよう、早め・丁寧・継続的な情報発信が重要です。次章では、オフィス移転全体を成功に導くための成功のポイントについてまとめていきます。
円滑なオフィス移転を成功させるポイント

オフィス移転は、単なる「場所の変更」にとどまらず、会社の成長や文化を支える重要なプロジェクトです。最後に、これまでの工程を踏まえつつ、移転を成功させるために特に意識したいポイントを整理します。
①早めの計画とタスク可視化の徹底
移転プロジェクトは、思っている以上にタスクが多岐に渡り、関係者も多くなります。そのため、できるだけ早い段階からのスケジュール策定とWBS(作業分解構造)によるタスクの可視化が不可欠です。
進行状況の見える化には、BacklogやNotionなどのプロジェクト管理ツールが有効。ガントチャートで全体の流れを把握しつつ、日々の進捗を確認・修正できる体制を整えましょう。
②外部パートナーとの連携強化
オフィス移転には、内装業者・ITベンダー・引越し業者・不動産会社など、複数の外部パートナーが関わります。各社との打ち合わせ・連絡が断片的になると、スケジュールの遅れやトラブルの原因になります。
そのため、各業者との「窓口担当者」を明確にし、定期的なミーティングで情報を共有しましょう。業者間の連携ミスを防ぐため、こちら側がハブとなり、全体工程をコントロールすることが成功のカギです。
③社員の不安を軽減する情報共有
「どこに何があるの?」「何を準備すればいいの?」という社員の不安は、移転の大きな障壁になり得ます。だからこそ、社内説明会やFAQ資料、進捗共有のニュースレターなどを活用し、社員が安心して移転準備に参加できる環境を整えましょう。
また、移転当日や直後には、総務・情シスなどのサポートチームを常駐させ、社員の「困った!」に即対応できる体制を整えると、信頼感にもつながります。
④移転後のフォロー体制
移転はゴールではなく、新しい働き方のスタート地点です。だからこそ、「移転して終わり」ではなく、移転後のフォローも大切にしましょう。
例えば、移転後に寄せられたフィードバックを集めるアンケートを実施し、改善点を反映させることで、社員の満足度を高めることができます。また、設備の不具合や使い方への質問が多い場合には、説明会の追加開催やマニュアルの更新など、継続的な対応が求められます。
まとめ
オフィス移転は、大変ながらも会社の未来を形づくる貴重な機会です。今回ご紹介したステップやポイントを参考に、ぜひ「成功するオフィス移転」を実現してください。
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