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2026/02/09

介護業界の人手不足はなぜ解消しない?現状の課題と現場が取り組むべき具体策を解説

日本の高齢化社会が加速する中、介護現場の人手不足は一刻を争う最重要課題となっています。「求人を出しても応募が来ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」といった悩みを抱える経営者や現場責任者は少なくありません。

しかし、この問題は単なる賃金水準の低さだけが原因ではなく、業界の構造、社会的なイメージ、そしてICT化の遅れなど、複数の要因が複雑に絡み合っています。

本記事では、介護現場の現状を多角的に分析し、明日から取り組める具体的な解決策を5つの視点で深掘りしていきます。

Contents

1. 深刻化する介護現場の人手不足、その実態と背景を読み解く

現在、介護職員の有効求人倍率は他職種を大きく上回る高水準で推移しており、全産業平均と比較してもその差は歴然です。なぜここまで人が集まらないのでしょうか。

まずは統計データと現場の声を照らし合わせ、人手不足が加速している根本的な原因を明らかにします。

① 2025年・2040年問題がもたらす需給ギャップの衝撃

日本の人口構造の変化は、介護業界に直接的な打撃を与えています。いわゆる「2025年問題」では、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、介護ニーズが爆発的に増加します。さらにその先にある「2040年問題」では、現役世代(支え手)が激減し、高齢者人口がピークを迎えます。

厚生労働省の推計によれば、2040年度には約280万人の介護職員が必要とされていますが、現状のペースでは約69万人もの人材が不足する見込みです。この巨大な需給ギャップは、もはや一つの事業所の努力だけで解決できるレベルを超えており、社会全体で向き合うべき危機的状況と言えます。

② 「低賃金・重労働」という根強いマイナスイメージの弊害

介護職=「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージは、いまだに根強く残っています。

特に賃金面については、国による処遇改善加算などの施策により年々上昇傾向にあるものの、依然として全産業平均と比較すると低い水準にあることは否定できません。また、身体介助に伴う肉体的疲労や、精神的なプレッシャーが強調されすぎるあまり、若年層が職業選択の選択肢から外してしまう傾向があります。

本来、介護は利用者の人生を支える尊い仕事であり、高度な専門性が求められる職種です。しかし、世間の評価と実態の乖離が、新規入職者を阻む大きな壁となっているのが現実です。

③ 離職率が高い職場に共通する「人間関係」の不備

介護現場における離職理由を紐解くと実は、給与や労働時間よりも「職場の人間関係」が上位にランクインすることが多いのが特徴です。

介護はチームプレーであり、スタッフ間の連携が不可欠ですが、多忙すぎる現場ではコミュニケーションが疎かになりがちです。ベテランと新人の間の意識の差、閉鎖的な職場環境、不透明な評価制度などが重なると、スタッフの不満が蓄積し、離職の連鎖を引き起こします。

「誰がどの程度頑張っているか」を正当に評価する仕組みがない職場では、優秀な人材ほど「自分だけが損をしている」と感じ、早期に去ってしまうという悪循環に陥っています。

2. なぜ離職が止まらない?現場を疲弊させる内部要因を特定する

せっかく採用した人材が定着しない理由は、外部環境だけでなく、施設内部の体制にも潜んでいます。過酷な業務負担や精神的なストレスが重なり、スタッフが限界を迎えてしまうのです。

ここでは、現場を疲弊させている内部的なボトルネックを掘り下げます。

① 現場の負担を増大させるアナログな事務作業の実態

多くの介護現場でいまだに残っているのが、大量の「紙」による業務です。毎日のバイタルチェックや食事記録、申し送り事項など、同じ内容を複数の書類に手書きで転記する作業は、スタッフの時間を大幅に奪っています。

本来であれば利用者と向き合うべき時間が、事務作業に圧迫されることで、残業が発生し、心身の疲労が蓄積します。こうしたアナログな手法は、情報の検索性も低く、緊急時の対応を遅らせる原因にもなりかねません。

「介護の仕事がしたいのに、書類作成ばかりしている」というギャップが、仕事への情熱を削いでいる側面は無視できません。

② ベテラン頼みの教育体制が招く新人スタッフの孤立

慢性的な人手不足の現場では、十分な教育期間を設けられないまま新人を実務に投入せざるを得ないケースが多々あります。

マニュアルが整備されていない現場では、教育が「教える人の経験則(勘とコツ)」に依存し、指導内容にバラつきが生じます。新人は「人によって言うことが違う」という混乱の中で、忙しそうな先輩に質問することもできず、孤立感を深めていきます。

この「放置されている」という感覚が、入社後3ヶ月以内の早期離職を招く最大の要因です。教育をベテランの善意や余裕に任せきりにする体制は、もはや限界を迎えています。

③ キャリアパスの不透明さが将来への不安を増幅させる

介護職として入社しても、その先にどのような成長ステップがあるのかが見えないことが、若手スタッフの不安を煽っています。

役職が限定的であったり、昇進の基準が曖昧であったりすると、「このまま10年続けても何も変わらないのではないか」という絶望感に繋がります。専門性を高めてスペシャリストを目指すのか、マネジメントを担うジェネラリストを目指すのか。

個々の適性に応じた道筋が提示されないままでは、キャリアアップを望む意欲的な人材ほど、より将来性の見える他業種へと流出してしまうことになります。

3.ICT・介護ロボットの導入で変わる「新しい介護」の形

深刻なマンパワー不足を補う切り札として、今最も注目されているのがテクノロジーの活用です。かつての「介護は人の手で」という固定観念を脱却し、最新のICT機器を導入することで、いかに現場の負担が軽減され、ケアの質が向上するかを具体的に解説します。

① インカムやセンサー活用が実現する「歩かない介護」

かつての介護現場では、ナースコールが鳴るたびにスタッフが居室へ駆けつけ、空振り(誤報)や緊急性の低い用件に対応することで、膨大な移動距離と時間をロスしていました。

しかし、現代の「見守りセンサー」は、利用者の寝返りや起き上がりを検知し、瞬時にスタッフのスマートフォンへ通知します。さらに「インカム」を全員が装着することで、離れた場所にいるスタッフ同士が「今、私が行きます」「〇〇さんの対応をお願いします」とリアルタイムで連携できるようになりました。

これにより、無駄な訪室が激減し、スタッフが施設内を走り回る必要がなくなる「歩かない介護」が実現しています。肉体的な疲労軽減だけでなく、常に繋がっているという安心感がスタッフの心理的負担をも和らげているのです。

② 介護ソフトの導入による記録業務の大幅な時短効果

介護現場における最大のストレス源の一つである「書類作成」は、タブレット端末と介護ソフトの導入で劇的に改善されます。

従来のように、一日の終わりにまとめて手書きで日誌をつけるのではなく、ケアを行ったその場でタブレットから選択形式で入力することで、転記ミスや漏れがなくなります。音声入力機能を活用すれば、さらに記録時間は短縮され、申し送りのための会議時間も大幅に削減可能です。

また、蓄積されたデータはグラフ化され、利用者の体調変化を一目で把握できるため、より根拠に基づいた「科学的介護」の提供が可能になります。「書くための介護」から「診るための介護」への転換は、スタッフのプロ意識を刺激し、本来のやりがいを取り戻すきっかけにもなっています。

③ 移乗支援ロボットが職員の腰痛離職を防ぐセーフティネット

介護職の離職理由として常に上位に挙がるのが「腰痛」です。特に入浴介助やベッドから車椅子への移乗動作は、スタッフの身体に大きな負担をかけます。ここに「移乗支援ロボット」や「パワーアシストスーツ」を導入することで、力を使わずに安全な介助が可能になります。

最新の機器は小型化・軽量化が進んでおり、装着の負担も少なくなっています。また、天井走行式のリフトなどを活用することで、利用者にとっても「抱え上げられない安心感」を提供でき、双方の安全が守られます。

「腰を痛めたら終わり」という不安を解消することは、ベテランスタッフが長く働き続けるための不可欠な投資であり、現場の安全基準を底上げする重要なステップとなります。

4. 「選ばれる職場」になるための採用戦略と職場環境の改善策

どれほど優れた設備を整えても、そこで働く「人」がいなければ経営は成り立ちません。熾烈な人材獲得競争を勝ち抜くためには、自社の魅力を正しく発信する戦略と、入った人が「ここで働き続けたい」と思える柔軟な制度設計が必要です。

① 求人票の書き方改革!「条件」の可視化でミスマッチを防ぐ

求人サイトに「アットホームな職場」「やりがいのある仕事」といった抽象的な言葉を並べるだけでは、もはや人は集まりません。現代の求職者が重視しているのは、具体的で信頼できる「数字」と「実態」です。

例えば、月平均の残業時間、有給休暇の平均取得日数、離職率、平均勤与額の変化など、ネガティブに捉えられがちな部分も含めてオープンにすることが、結果として信頼に繋がります。また、実際に働くスタッフのインタビュー動画や、1日のタイムスケジュールを詳細に掲載することで、入社後の自分を具体的にイメージさせ、ミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。

「誰でもいいから来てほしい」という姿勢ではなく、「私たちの理念に共感するあなたに来てほしい」というターゲットを絞った発信が、質の高い採用を実現します。

② 資格取得支援制度の充実で未経験者を取り込む育成型採用

即戦力の経験者を奪い合うのではなく、未経験者を自社でプロへと育て上げる「育成型採用」へのシフトが、人手不足解消の近道です。

初任者研修や実務者研修の受講費用を全額会社が負担するだけでなく、研修時間を受講時間(勤務扱い)として認めることで、金銭的・時間的ハードルを徹底的に下げます。また、資格取得後には明確な昇給や手当を約束することで、スタッフは「この職場で頑張れば給料が上がる」という実感を持ちやすくなります。

未経験者が抱く「自分に務まるだろうか」という不安を、「会社が責任を持って育てる」という約束でカバーすることが、異業種からの人材流入を促す強力な武器となります。

③ 短時間勤務や副業解禁など、多様な働き方を許容する柔軟性

「フルタイムで夜勤もこなせる人材」だけを求めていては、ターゲット層は狭まるばかりです。介護現場こそ、もっと多様な働き方を取り入れるべきです。

例えば、子育て中の親が「子供が学校にいる10時〜14時だけ」働くスタイルや、他業種で働く人が休日にダブルワークとして数時間だけ参加する副業スタイル、さらには元気なシニア層による「清掃・配膳専門」の補助スタッフなど、業務を細分化して切り出すことが有効です。

一人の1.0人分を確保するのではなく、0.2人分を5人集めて1人分にするという発想の転換が、シフトに余裕を生み出します。こうした柔軟な姿勢は、既存スタッフの「急な欠勤」にも対応しやすい組織作りにも寄与し、全体のワークライフバランスを向上させます。

5. 外国人材の受け入れと特定技能制度を成功させるポイント

国内での労働力確保が限界に近い中、外国人材の受け入れは避けて通れない選択肢となっています。単なる「労働力の穴埋め」ではなく、共に成長する「パートナー」として迎え入れるための具体的な運用ポイントと、成功のための秘訣を整理します。

① 「特定技能1号」の活用メリットと受け入れ時の注意点

2019年に創設された「特定技能」制度は、一定の専門性と日本語能力を持つ外国人を即戦力として雇用できる画期的な仕組みです。技能実習制度に比べ、訪問介護以外の幅広い業務に従事でき、夜勤も可能なため、現場にとっては非常に心強い存在となります。

ただし、導入にあたっては「登録支援機関」との連携や、煩雑なビザ申請手続き、さらには生活支援義務など、制度上のルールを正しく理解しておく必要があります。また、日本人スタッフと同じ、あるいはそれ以上の待遇を保証することが法的にも義務付けられており、決して「安価な労働力」ではないという認識を経営層が持つことが、制度活用の大前提となります。

② 言語と文化の壁をどう超える?円滑なコミュニケーション術

外国人スタッフを受け入れる際、最大の懸念事項となるのが「言葉の壁」と「文化の違い」です。これを解消するためには、現場の努力だけに頼らず、仕組み化を進める必要があります。

例えば、介護記録に使う用語を統一した「やさしい日本語」マニュアルを作成したり、写真やイラストを多用した視覚的な手順書を整備したりすることが有効です。また、宗教上の食事制限や礼拝の時間、家族を大切にする文化などを事前に日本人スタッフと共有し、相互理解を深める研修も欠かせません。

言葉が不自由な中での不安を汲み取り、メンター制度などを活用して「気軽に相談できる相手」を配置することで、彼らの孤立を防ぎ、職場への帰属意識を高めることができます。

③ 外国人スタッフが長く活躍できるキャリア支援のあり方

日本で働く外国人スタッフの多くは、自国の家族を支えるという強い責任感と、高い向上心を持っています。彼らが「日本に来てよかった」と思い、長く定着するためには、将来のキャリアビジョンを提示することが重要です。

例えば、介護福祉士資格の取得を全面的にサポートし、国家資格を取得すれば「特定技能2号」への移行や、家族の帯同、さらには永住の道も開けることを具体的に伝えます。また、将来的に母国に戻った際にも役立つマネジメントスキルや、日本流の高品質なケア技術を伝承することで、彼らの仕事に対するモチベーションは飛躍的に向上します。

彼らを「一時的な助っ人」ではなく、施設の将来を担う「リーダー候補」として扱う姿勢こそが、最高のリクルーティングになります。

まとめ

介護業界の人手不足解消には、魔法のような特効薬は存在しません。しかし、今回解説したように、ICTによる業務効率化、未経験者や外国人材を温かく迎える体制、そして何より「スタッフが大切にされている」と実感できる職場環境の改善を一つずつ積み重ねることで、確実に状況は好転します。

ー 「人がいないから何もできない」と諦めるのではなく、今の時代に合った新しい介護の形を模索し続けること ー

その姿勢こそが、利用者にとっても、スタッフにとっても、そして社会にとっても価値のある「持続可能な介護」を実現する唯一の道なのです。


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