2026/09/30

研究施設で位置情報をどう活用する?一人作業の安全管理やBCP対策で広がる活用方法

オフィスでの人探しや出社状況の把握などに活用される屋内位置情報ですが、近年では研究施設でも活用が広がっています。

研究施設では、執務エリアを離れて実験室や個室で長時間作業することもあり、一般的なオフィスとは異なる課題があります。今回は、実際にBeacapp Hereをご利用いただいている研究施設での活用例をもとに、一人作業の安全管理やBCP対策など、位置情報のさまざまな使い方をご紹介します。

研究施設では「一人で作業する時間」が生まれやすい

研究施設では、執務スペースだけでなく、実験室や研究室などさまざまな場所を行き来しながら業務を行います。業務内容によっては、一人で長時間作業することもあります。まずは、こうした研究施設ならではの環境について考えてみましょう。

執務エリアを離れて、実験室や個室で作業することも多い

一般的なオフィスでは、デスクや会議室などで複数の社員が近くにいることも多く、周囲の様子をある程度把握できます。一方、研究施設には執務エリアのほか、実験室や研究室、個室など、研究内容や作業に応じたさまざまなスペースがあります。研究者が執務エリアを離れ、一つの場所で長時間作業を続けることも珍しくありません。

こうした環境では、ほかの人と顔を合わせる機会が少なくなることがあります。執務エリアから離れて作業している人が「今どこにいるのか」「問題なく作業を続けているのか」は、周囲からは分かりにくいものです。同じ施設内で働いていても、お互いの状況が自然と目に入るとは限らないということは、研究施設で働く人の安全を考えるうえで、意識しておきたい特徴の一つです。

一人作業では「異変に気づくまでの時間」も重要になる

一人で作業しているときに体調不良や事故などが起きた場合、近くに人がいなければ、周囲が異変に気づくまでに時間がかかる可能性があります。

また、何かあれば必ず本人から連絡できるとも限りません。体調や事故の状況によっては、自分から助けを求めることが難しいケースも考えられます。「連絡がないから問題なく作業している」とは、必ずしも言い切れないのです。そのため、研究施設における安全管理では、事故そのものを防ぐための対策に加えて、万が一異変が起きたときに、周囲が気づくための仕組みを考えておくことも大切です。

これは日常の安全管理だけでなく、災害などの緊急時にも共通します。BCP(事業継続計画)の観点からも、施設内に誰がいて、どこにいるのかを確認できる情報があれば、状況把握やその後の対応を支える材料の一つになります。

研究施設では「人を探す」以外にも位置情報が活用されている

位置情報というと、「誰がどこにいるのか」を確認する使い方をイメージするかもしれません。しかし研究施設では、人を探すことだけでなく、一人作業時の状況把握や緊急時の対応を支える情報として位置情報を活用しているケースもあります。

長時間同じ場所にいることを「異変に気づくきっかけ」に

Beacapp Hereを導入している研究施設ではBCP対策の一環として、一人作業時の状況把握に位置情報を活用しています。この施設で取り入れているのは、一定時間、検知されている場所が変わらず、ほかの人との接触もない状態が続いていないかを確認する仕組みです。一定時間この状態が続くと、まず本人にアラートを通知し、その後も状況に変化がなければ管理者にも通知します。これにより、必要に応じた状況確認につなげられるようにしています。

ポイントは、位置情報を常に確認して一人ひとりの行動を追っているわけではないということです。「長時間同じ場所にいる」「ほかの人との接触がない」といった位置情報から分かる状態を、普段とは異なる状況に気づくための判断材料の一つとして活用しています。

なお、このアラートの仕組みはBeacapp Hereの標準機能ではなく、お客様のご要望に合わせて個別に開発したものです。Beacapp Hereでは、利用環境や目的に応じた個別の要件についてもご相談いただけます。

位置情報は「今どこにいるのか」を知るだけでなく、その変化や時間の経過に着目することで、「いつもと違うかもしれない」と気づくための情報としても活用できます。

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SOSが届いても「どこにいる?」が分からなければ救助に時間がかかる

研究施設の安全対策として、緊急時にSOSを発信できる仕組みを導入しているケースもあります。しかし、SOS発信ツールによって異常が発生したことを把握できても、「その人が今どこにいるのか」まで分からなければ、現場へ向かうまでに時間がかかる可能性があります。

研究施設には、実験室や研究室、個室などさまざまなスペースがあります。施設が広かったり、複数のフロアや棟に分かれていたりすれば、SOSを受け取ったあとに、まず発信した人の居場所を確認しなければならないこともあるでしょう。

そこで活用できるのが、SOS通知と屋内位置情報の組み合わせです。SOS通知で「異常が起きたこと」を把握し、位置情報で「どこにいるのか」を確認できれば、状況確認や現場へ向かう際の情報として役立てることができます。

位置情報は、既存のSOS通知や安全対策に置き換わるものではありません。それぞれの仕組みが持つ情報を組み合わせることで、緊急時の状況把握や初動対応を支えることができます。

安全のための位置情報だからこそ、プライバシーにも配慮する

安全

安全管理やBCP対策を目的としていても、自分の位置情報がどのように取得・利用されるのか、不安に感じる人もいるでしょう。位置情報を活用する際には、目的を明確にしたうえで、誰が情報を確認できるのか、どのように取得するのかなど、現場に合った運用を考えることが大切です。

「全員がお互いの居場所を見る」必要はない

位置情報サービスというと、利用者全員がお互いの現在地を確認する仕組みをイメージするかもしれません。しかし、安全管理やBCP対策が目的であれば、必ずしもそのような使い方をする必要はありません。

実際にBeacapp Hereを導入している研究施設では、安全管理に必要な位置情報は取得しながら、利用者向けには通常のBeacapp Hereの画面を表示しないように設定しているケースがあります。利用者には安全管理のために利用するツールであることを伝え、アプリのインストールやログイン、定期的な起動など、位置情報を取得するために必要な操作のみを行ってもらっています。

また、別の導入企業では「現在地公開制御機能」を活用し、ほかの利用者の現在地を見えないようにする運用も行われています。

このように、位置情報を取得するからといって、すべての利用者にすべての情報を公開する必要はありません。利用目的に応じて、誰がどの情報を確認できるのかを設計することが、プライバシーへの配慮につながります。

研究施設の環境に合わせて位置情報の取得方法を選ぶ

施設によって、普段の働き方や業務中に持ち歩くものは異なります。そのため、位置情報をどのように取得するかも、現場の環境に合わせて考えることが大切です。

特に、一人作業時の安全管理やBCP対策を目的とする場合は、必要なときに位置情報を取得できる状態を維持することが重要です。そのため、研究者が業務中に日常的に携帯できるものを活用するという視点も、取得方法を考えるうえでポイントになります。

Beacapp Hereでは、スマートフォンの貸与状況や普段の運用に合わせて、複数の導入方法を選択できます。たとえば、貸与されたスマートフォンを日常的に持ち歩く環境では、施設内にビーコンを設置し、スマートフォンを受信機として位置情報を取得します。一方、スマートフォンが貸与されていない場合や、業務中に持ち歩く習慣がない場合には、利用者がビーコンを携帯し、施設内に受信機を設置する方法もあります。

どちらも実際のBeacapp Here導入企業で採用されている方法です。位置情報を活用するために現場の働き方を大きく変えるのではなく、それぞれの研究施設で日常的に携帯しやすいものは何かを考え、無理なく位置情報を取得できる方法を選ぶことが大切です。

まとめ

研究施設では、実験室や個室での一人作業など、一般的なオフィスとは異なる働き方があります。そこで位置情報を活用すれば、人を探すだけでなく、長時間の一人作業への気づきや緊急時の所在確認など、安全管理を支える情報として役立てることができます。

研究施設の環境や課題によって、位置情報の役立て方はさまざまです。人の安全管理だけにとどまらず、研究設備の稼働状況や利用状況を可視化し、設備管理に役立てる活用も広がっています。研究設備に着目した位置情報の活用については、今後配信する記事で詳しくご紹介します。研究施設ならではの位置情報活用の第二弾として、ぜひ楽しみにお待ちください。

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