オフィス環境を改善したいと考えたとき、「移転」だけでなく「増床」という選択肢もあります。増床は、移転と比べると、業務を止めずに短期間で拡張できるなどのメリットがありますが、多くの課題も存在します。
本記事では、増床の定義や移転との違いや増床のメリット、デメリット等、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。どちらを選択すべきか迷っている方は、判断材料としてぜひ参考にしてください。
増床とは?

増床とは、既存のオフィススペースを拡張することを指します。移転を選択するのではなく、現在のビル内でのスペースを増やすことで、業務を継続しながら拡張ができるため、移転に比べて短期間で且つ、業務の中断を最小限に抑えることができるのが大きな特徴です。
増床の定義とは?
具体的には、同じビル内でのスペースの追加や、別のビルにサテライトオフィスを設けることなどが含まれます。増床は、企業が成長する過程で必要となるスペースを確保するための手段として利用されることが多く、特に業務を継続しながら短期間で拡張できる点が大きな魅力です。
増床は、オフィス移転と異なり、既存の場所での拡張を行うため、従業員の慣れ親しんだ環境を維持しつつ、業務の効率を向上させることが可能です。また、移転に伴う大規模な手続きや準備が不要なため、比較的スムーズに進められるのも特徴です。
移転と増床の違いは?
オフィスの移転と増床は、どちらも企業の成長や業務の拡大に伴う選択肢ですが、それぞれに異なる特徴があります。移転は、現在のオフィスから新しい場所へと全ての業務を移すことを指し、通常は新たな契約や引越し作業が必要です。
移転は新しい環境での業務スタートを意味するため、オフィスのレイアウトや設備を一新するチャンスでもありますが、業務を一時的に停止する必要がある場合もあります。対して増床は、業務を継続しながらスペースを拡張できるため、短期間での対応が可能です。しかし、増床には既存のオフィスのレイアウト変更や新たな契約が伴うことが多く、これらの点を考慮する必要があります。
オフィス増床の代表的な4パターンとは?それぞれの特徴を解説

オフィス増床にはいくつかの代表的な4つパターンがあります。本項ではそれぞれの特徴を説明いたします。それぞれの特徴を理解し、自社に合った最適な増床方法を選ぶことで、効率的なオフィス拡張の実現に繋がるでしょう。
同じビル内にスペースを拡張
同じビル内でスペースを拡張する増床方法は、移転に比べて業務への影響が少なく、スムーズに拡張できる点が大きなメリットです。既存の設備やインフラをそのまま活用できるため、通信環境やOA機器、会議室の予約システムなどを新たに構築する必要がほとんどありません。
また、社員の通勤経路や顧客へのアクセスも変わらず、社内外の動線に混乱が生じにくいのも利点です。さらに、同じビル内であれば部署間の距離も比較的近く、コミュニケーションや情報共有が維持しやすくなります。工事や引っ越しの規模も小さく済むため、コストや工期を抑えられるケースも多いです。
別のビルにサテライトオフィスを開設
別のビルにサテライトオフィスを開設することは、オフィス増床の一つの有効な手段です。こちらも既存のオフィス環境を維持しながら、業務の拡張を図ることができます。サテライトオフィスは、特にリモートワークやフレキシブルな働き方を推進する企業にとって、従業員の利便性を高める重要な選択肢となります。
サテライトオフィスの設置により、従業員は自宅や主要オフィスからアクセスしやすい場所で働くことができ、通勤時間の短縮やワークライフバランスの向上が期待できます。また、地域ごとのニーズに応じたサービスを提供することが可能になり、顧客との距離を縮める効果もあります。
レンタルオフィス、コワーキングスペースを活用
レンタルオフィスやコワーキングスペースの活用は非常に有効な選択肢となります。これらのスペースは、必要な時に必要なだけ利用できる柔軟性があり、初期投資を抑えつつ、業務の拡張を図ることができます。特に、プロジェクトごとにチームを編成する場合や、短期間での人員増加が見込まれる場合には、これらのスペースが役立ちます。
レンタルオフィスは、個別のオフィスルームを提供するため、プライバシーを確保しつつ、必要な設備が整っています。一方、コワーキングスペースは、他の企業やフリーランスと共用するオープンな環境で、ネットワーキングの機会も豊富です。
自社ビルの建て替え
自社ビルの建て替えによるオフィス増床は、単なる面積拡張にとどまらず、オフィス環境全体を根本から刷新できるのが大きなメリットです。建物の構造や設備を一新できるため、最新の耐震基準や省エネ仕様に対応し、安全性と快適性の向上が期待できます。
また、フロアレイアウトをゼロから設計できるため、部署間の動線や会議室の配置、執務スペースの最適化など、業務効率を高めるオフィスデザインを実現しやすくなります。さらに、ビルの外観や共用部を含めたブランディング強化にもつながり、来訪する顧客や採用活動における企業イメージ向上効果も見込めます。長期的な視点で見れば、老朽化対策とスペース拡張を同時に行えるため、将来のメンテナンスコスト削減にも寄与します。
オフィス移転と比べたときのオフィス増床の強みとは?

オフィス増床は、移転に比べていくつかの明確な強みがあります。本項では3つの強みをご説明いたします。本項を理解することで、増床は多くの企業にとって有効な選択肢となるでしょう。
比較的にコストを抑えられる
オフィス増床の大きなメリットの一つは、比較的コストを抑えられる点です。移転を選択する場合、新たな物件の賃料や引越しに伴う費用、内装工事など、多くの初期投資が必要となります。一方、増床では既存のオフィススペースを拡張するため、これらのコストを大幅に削減できる可能性があります。
また、増床を行う際には、既存のインフラや設備を活用できるため、無駄な投資を避けることができます。例えば、同じビル内でのスペース拡張であれば、移転に伴う新たな契約や手続きが不要で、スムーズに業務を継続しながら拡張が可能です。
業務を継続しながらオフィス拡張が可能になる
オフィス増床の利点の一つとして、業務を継続しながらオフィスを拡張できる点です。移転の場合、全ての業務を一時的に停止し、新しい場所に移る必要がありますが、増床では既存のオフィススペースを活用しつつ、新たなスペースを追加することが可能です。このため、業務の流れを途切れさせることなく、スムーズに拡張を進めることができます。
特に、急成長している企業や新たなプロジェクトが始まる際には、業務を止めることなく迅速に対応できる増床は非常に魅力的な選択肢です。また、従業員にとっても、慣れ親しんだ環境で働き続けられるため、ストレスを軽減し、業務効率を維持することができます。
比較的短期間で拡張できる
オフィスの増床は、移転に比べて比較的短期間で実現できるという大きな利点があります。移転の場合、新しいオフィスの選定や契約、内装工事など、多くのプロセスが必要であり、これには時間がかかることが一般的です。一方、増床では既存のオフィススペースを拡張するため、必要な手続きや工事が限定的で済むことが多いのです。
例えば、同じビル内でのスペース拡張であれば、既存のインフラを活用できるため、工事期間を短縮できる可能性があります。また、業務を継続しながら進められるため、従業員の生産性を損なうことなく、スムーズに拡張を実現できます。
オフィス増床にも注意点あり!知っておきたいデメリットとは?

オフィス増床には魅力的なメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。本項ではデメリットを4つご紹介いたします。これらのデメリットをしっかりと理解し、計画を立てることが重要です。
同じビル内に希望する場合、希望するスペース確保が難しい
オフィスの増床を考える際、同じビル内でのスペース確保は一見魅力的に思えるかもしれません。しかし、実際には希望するスペースを確保することが難しい場合が多いのです。ビルの空き状況や他のテナントの動向によって、必要な広さや条件を満たす物件が見つからないことがあります。また、同じビル内での増床を希望する場合、既存の契約条件や賃料の見直しも考慮しなければなりません。
さらに、ビルの管理会社やオーナーとの交渉も重要なポイントです。希望するスペースが空いていても、他のテナントとの兼ね合いや契約の優先順位によって、思うように進まないこともあります。
長期的に見ると移転よりもコストが高くなる可能性がある
オフィス増床は短期的にはコストを抑えられる選択肢として魅力的ですが、長期的に見ると移転よりもコストが高くなる可能性があります。増床を選択する場合、既存のオフィススペースに新たなスペースを追加するための賃料や改装費用が発生します。これに加えて、増床後のオフィス運営に伴う維持管理費用も考慮しなければなりません。
さらに、増床によって新たに確保したスペースが十分に活用されない場合、無駄なコストが発生するリスクもあります。特に、業務が成長し続ける場合には、増床したスペースがすぐに手狭になることも考えられ、結果的に再度の増床や移転を検討せざるを得なくなることもあります。
別拠点の人とコミュニケーションが取りづらくなる
増床によって新たにスペースを確保する場合、既存のオフィスとは異なる場所に新しい拠点を設けることが多くなります。このような状況では、物理的な距離が生じるため、チーム間の連携や情報共有が難しくなることがあります。
特に、プロジェクトや業務が密接に関連している場合、リアルタイムでのコミュニケーションが求められますが、別拠点にいるメンバーとのやり取りは、電話やメール、ビデオ会議などのツールに依存することになります。これにより、意思疎通のタイムラグや誤解が生じるリスクが高まります。
既存オフィスのレイアウトの変更や内装変更が必要な場合がある
オフィス増床では、拡張したスペースと既存オフィスを一体的に活用するために、レイアウトや内装の変更が必要になるケースがあります。例えば、動線をつなげるための間仕切りの撤去や設置、床や天井の張り替え、照明や空調の再配置などが発生することがあります。これらの工事は業務時間中に行いにくく、休日や夜間の対応となれば追加費用がかかることも少なくありません。
また、家具や備品の配置変更に伴い、一時的に執務スペースが使えなくなったり、社員の座席配置を変更せざるを得ない場合もあります。特に既存オフィスのデザインや内装と新スペースの仕様を統一する場合、予想以上にコストと工期が膨らむ可能性があります。
オフィス移転だからこそ得られるメリットとは?

ここでオフィス移転のメリットについてもご紹介します。本項を理解することで、増床よりも移転の方が企業によっては良い結果に繋がる場合もございますので、ぜひご参考にしてください。
業務改革やDX化を進めやすくなる
オフィス移転を選択することで、業務改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めやすくなるという大きなメリットがあります。新しいオフィス環境では、最新のテクノロジーや設備を導入しやすく、従業員の働き方を柔軟に変えることが可能です。
また、移転を機に業務プロセスの見直しを行うことで、無駄を省き、よりスムーズな業務運営が実現します。これにより、企業全体の生産性向上にも寄与するでしょう。さらに、DX化を進めるためのインフラ整備も容易になり、デジタルツールやシステムの導入がスムーズに行えるため、競争力を高めることが期待できます。
月額や年額物件賃料の全体見直しを図れる
オフィス移転のメリットの一つとして、月額や年額の物件賃料を全体的に見直す機会が得られることです。現在のオフィスの賃料が市場価格と比較して高い場合、新しい物件に移転することでコスト削減が可能になることがあります。
さらに、移転を機に契約条件の見直しや、賃料交渉を行うことも可能です。これにより、長期的なコスト削減を実現することができるため、企業の財務状況にとってもプラスとなります。特に、オフィスの使用状況や従業員数の変化に応じて、柔軟に対応できる物件を選ぶことが重要です。
一度に大規模のスペース確保が可能に
オフィス移転のメリットの一つとして、一度に大規模なスペースを確保できる点です。特に、企業が急成長している場合や新たなプロジェクトが始まる際には、広いスペースが必要となります。移転を選択することで、必要な面積を一度に確保できるため、将来的な拡張を見越したレイアウトを計画することも可能です。
また、移転先のオフィスは最新の設備やデザインを取り入れることができるため、従業員のモチベーション向上や業務効率の改善にも寄与します。新しい環境でのスタートは、企業文化の刷新やチームビルディングにもつながるでしょう。
その前に!増床・移転の前に現オフィスのスペースを見直そう!

オフィスの増床や移転を検討する前に、現オフィスのスペースも見直してみましょう。見直しを行うことで、増床や移転のする必要がない場合もあるため、是非ご参考にしてみてください。
会議室や倉庫等の普段人が常駐しない場所の使用率を確認
オフィスの増床や移転を検討する際、まずは現状のスペースの使用状況を見直すことが重要です。特に、会議室や倉庫など、普段人が常駐しない場所の使用率を確認することで、無駄なスペースを把握し、効率的なオフィス環境を構築する手助けになります。
例えば、会議室が頻繁に使用されているのか、逆にほとんど利用されていないのかを調査することで、必要なスペースの見直しが可能です。また、倉庫に保管されている物品の整理や、不要なものの処分を行うことで、スペースを有効活用できる可能性もあります。
オフィスデスクの配置や空きスペースの確認
オフィスデスクの配置や空きスペースの確認は、効率的なスペース利用を図るための第一歩となります。デスクの配置が無駄に広がっている場合や、使用頻度の低いエリアが存在する場合、これらを見直すことで、必要なスペースを確保できる可能性があります。
また、オフィス内の動線を考慮し、デスクの配置を最適化することで、社員の作業効率を向上させることも期待できます。例えば、チームでのコミュニケーションを促進するために、関連する部署のデスクを近くに配置することが有効です。
備品や書類保管スペースを縮小を検討
多くの企業では、不要な書類や使わなくなった備品が蓄積され、スペースを圧迫していることが少なくありません。保管している書類の整理を行い、必要なものと不要なものを明確に分けることから始めましょう。デジタル化が進む現代では、紙の書類を電子データに変換することで、物理的なスペースを大幅に削減できます。また、備品についても、使用頻度を見直し、必要なものだけを残すことで、オフィス内の動線をスムーズにし、作業効率を向上させることが可能です。
このように、備品や書類保管スペースの縮小を検討することで、オフィスの有効活用が進み、増床や移転の必要性を再評価する材料にもなります。
まとめ
オフィスの増床は、業務を継続しながらスペースを拡張できる魅力的な選択肢ですが、移転と比較してもさまざまなメリットとデメリットがあります。増床を選ぶことで、短期間での拡張が可能となり、コストを抑えられる場合もありますが、希望するスペースの確保が難しいことや、長期的にはコストが高くなる可能性も考慮しなければなりません。増床と移転のそれぞれの特徴を理解し、自社にとって最も効果的な方法を選ぶための参考にしていただければ幸いです。
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