学校や施設でよく耳にする「おかしも」という言葉。火災や地震などの避難時に守るべき行動を表した標語ですが、「実は意味をよく知らない」「いつからあるの?」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「おかしも」の基本的な意味や成り立ち、現代の避難訓練における役割までをわかりやすく解説します。
「おかしも」とは?意味・由来・いつから使われているのか

避難時の行動をわかりやすく伝えるために生まれた「おかしも」は、防災教育において長く使われてきた標語です。この章では、それぞれの意味や由来、いつから使われているのか、またどのように広がっていったのかを、順を追って整理します。
「おかしも」の意味をやさしく整理
「おかしも」とは、避難時の行動を覚えやすくするために作られた頭文字の標語です。それぞれの文字には、以下のような意味が込められています。
お:押さない
か:かけない(走らない)
し:しゃべらない
も:戻らない
これらは、避難中に起こりがちなトラブルや事故を防ぐための基本的なルールです。押し合いによる転倒や走ることでの接触事故、会話による指示の聞き逃し、取り残された人を探そうとして戻るなど、危険行動を未然に防ぐ目的があります。誰にでも覚えやすく、すぐに口に出せるように工夫された言葉として、防災教育の場で長く活用されてきました。
「おかしも」はいつから使われている?由来と普及の経緯
「おかしも」のルーツは1980年代ごろの学校教育にあるとされています。最初は「おかし(押さない・かけない・しゃべらない)」の3文字だったものが、避難途中での危険行動をさらに抑える目的で「も(戻らない)」が加わり、現在の形になりました。
その後、文部科学省や自治体が発行する防災教材などに取り入れられ、全国の学校で広く活用されるようになりました。親世代も学校で習ってきたため、今では家庭内でも自然に使われる“共通語”として根付いています。
「おかしも」が広まった背景:なぜ標語が必要だったのか
災害時には、普段冷静な人でもパニックに陥りやすくなります。特に、集団で避難する際には「誰かが押した」「先に逃げようと走った」などの小さな行動が、大きな混乱を生む原因になってしまいます。
そのため、「誰でも覚えられる」「瞬時に行動につながる」言葉として、短い標語が必要とされました。「おかしも」は、命を守るための“行動の基準”を、誰にでもわかる形で伝える工夫のひとつとして考案されたものなのです。
現代では「おかしも+α」も?最新の防災意識の変化
近年では、「おかしも」だけでは対応しきれない事態が増えてきました。たとえば感染症対策の観点から「近づかない(ち)」を加えた「おかしもち」や、「手で口を覆う(て)」「指示を聞く(き)」などの拡張バージョンも登場しています。
また、多様な人が共に避難する場面では、「声が届かない」「理解できない」といった課題もあるため、視覚的・感覚的にも伝わる工夫が求められています。社会全体の変化にあわせて、「おかしも」も進化していく必要があるのです。
避難訓練で「おかしも」が重要な理由

災害時に求められるのは、正確で落ち着いた行動です。「おかしも」は、そうした行動を全員が意識しやすい形に落とし込んだものです。この章では、なぜ訓練で「おかしも」が活用されるのか、その背景と効果を4つの視点からご紹介します。
パニックを防ぎ、安全に避難するための共通ルール
災害時にもっとも怖いのは、物理的な被害だけでなく、避難中のパニックによって起きる二次的な事故です。押し合い、転倒、逆走、指示の無視など、些細な混乱が命に関わる大事故に発展することもあります。
「おかしも」を日常から共有しておくことで、いざという時に全員が同じ行動ルールを思い出し、冷静に動けるようになります。共通の合言葉は、避難の安全性を格段に高める役割を果たすのです。
子どもから大人まで、誰でも覚えやすい“行動指針”になる
「おかしも」がここまで浸透した理由の一つが、言葉のシンプルさにあります。ひらがな4文字で構成されているため、年齢や国籍を問わず誰でも覚えることができます。
また、子どもにとってはリズム感のある言葉として、自然に口に出せるようになるのもポイントです。大人にとっても、混乱時に即座に思い出せる簡潔さは非常に実用的です。覚えるだけでなく、共有しやすい言葉でもあるため、防災意識の底上げにもつながります。
災害時の“連鎖的な事故”を防ぐ役割
避難中に起きる事故の多くは、人の行動が引き金になる“連鎖反応”です。ひとりが走れば他の人も焦って走り出し、転倒事故に繋がる。誰かが「戻る」と言い出せば、判断が揺らぐ。
こうした連鎖を断ち切るのが、「おかしも」という明確な行動ルールです。「走らない」「戻らない」という言葉が、他の人の行動にもブレーキをかけ、安全を守る流れをつくるのです。
実際の災害から学ぶ「おかしも」の有効性
過去の災害でも、「おかしも」を守ったことで命が救われた事例がいくつも報告されています。
- 火災の現場に戻らずに避難を優先したことで、煙に巻かれずに済んだ
- 混雑する階段で押し合わなかったことで、転倒事故が起こらなかった
こうした事例は、「おかしも」が理論ではなく“実践で効果を発揮する行動原則”であることを示しています。訓練の段階から定着させておくことが、非常時の備えにつながるのです。
子どもにも伝わる!「おかしも」の説明と教え方

子どもに「おかしも」を伝えるときは、ただ言葉を覚えさせるだけでなく、意味や理由をしっかり理解してもらうことが大切です。この章では、年齢に応じた説明の工夫や、学びを楽しく深めるアイデアをご紹介します。
園児・小学生向け:身近な例を使ったやさしい説明
小さな子どもにとって「おかしも」の言葉だけでは、なぜそうする必要があるのかがピンとこないこともあります。
「押すとお友だちが転んじゃうよ」「走るとつまずいてけがをしちゃうかも」といった、日常生活で起こりうる身近な例を使って伝えることがポイントです。また、ぬいぐるみやイラストを使って避難行動を見せることで、視覚的にも理解しやすくなります。
「なぜダメなの?」を一つずつ丁寧に伝えるコツ
「しゃべっちゃダメだよ」と注意するだけでは、子どもは反発したり納得できなかったりします。「しゃべると先生の声が聞こえなくて、どこに逃げればいいか分からなくなるよ」といったように、理由を明確に伝えることが大切です。
一つひとつのルールに“なぜそうするのか”をセットで伝えることで、子ども自身が考えて行動するようになります。これにより、言われたから守るのではなく、自分から守る意識が育ちます。
遊び・歌・カードなどを使った覚えやすい学び方
「おかしも」を自然に覚えるためには、体験を通じた学びが効果的です。たとえば、標語をリズムに乗せて歌にしたり、カードゲームにしたりすることで、楽しく記憶に残すことができます。
実際の避難訓練の前に、紙芝居やダンスなどを取り入れて「おかしも」を紹介する園もあります。こうした楽しい取り組みは、子どもたちの防災意識を自然に高めてくれます。
避難訓練が“怖くならない”声かけの工夫
訓練中に怖くて泣き出してしまう子がいるのは珍しくありません。そのため、声かけには特に配慮が必要です。「これは命を守るための大事な練習だよ」「先生と一緒にがんばろうね」といった、前向きで安心できる言葉を選ぶようにしましょう。
また、訓練前に「どんなことをするか」「どうやって動くか」をわかりやすく説明しておくと、不安を感じにくくなります。恐怖で覚えるのではなく、“安心の中で学ぶ”姿勢づくりが大切です。

大人向けに見直す「おかしも」|職場・自治体での実践例

「おかしも」は子ども向けの標語というイメージがありますが、実は大人の職場や地域社会でもその効果は発揮されます。この章では、大人の防災教育における「おかしも」の活用例や、伝え方の工夫をご紹介します。
職場ではどう使われている?大人向けの伝え方
職場では、避難ルールを周知する際に「おかしも」をあえて取り入れている企業もあります。ただし、子ども向けの言葉のままでは受け止めにくいため、「退避時の行動基準」「安全行動マニュアル」など、表現を少し変えて伝えることが多いです。
たとえば、「押さない」は「前の人との間隔をあけて移動」、「戻らない」は「避難完了まで安全確認を最優先」といった形で、大人にも納得できる言い換えが有効です。
自治体・マンションでの避難訓練における活用例
マンションや地域の防災訓練でも、「おかしも」は初参加者や子どもが多い場面で重宝されています。自治体によっては、防災パンフレットに「おかしも」の解説をイラスト付きで掲載し、全住民に配布している例もあります。
また、集合住宅では掲示板に「おかしも」のポスターを貼っておくことで、自然と防災意識が高まる環境づくりにもつながっています。
「おかしも」が機能しづらい場面とその対策
実際の災害時には、「おかしも」だけでは行動がうまくいかない場面もあります。たとえば、商業施設などの人が多い場所では、「しゃべらない」が現実的に難しいこともあります。
こうした場合には、「声を抑えつつ周囲と協力する」「サインや掲示で指示を伝える」など、補助的な手段を組み合わせる必要があります。環境に応じて「おかしも」を補うことが、実効性を高める鍵になります。
外国人・障害のある方など、多様な人に配慮した伝え方
現代の避難訓練では、誰にでも伝わるコミュニケーションが求められています。言葉が通じにくい外国人の方には、英語版の資料や多言語のピクトグラムを使うと効果的です。
また、聴覚障害のある方には文字情報や手話、視覚障害のある方には声かけと誘導をセットにした支援が必要になります。「おかしも」の伝え方にも、多様性を意識した対応が求められています。
「おかしも」だけでは足りない?現代の避難行動に必要な視点

災害の種類や社会の変化にともない、「おかしも」だけではカバーしきれないケースも増えています。この章では、現代の避難行動に求められる追加視点や、より実践的な備えについて解説します。
地震・火災・風水害それぞれで避難行動が変わる理由
災害にはさまざまな種類があり、すべてを「おかしも」だけで対応するのは難しい場面があります。たとえば、地震では「まずその場で身を守る」行動が優先される一方、火災では「できるだけ早く煙から離れる」ことが重要です。
また、風水害の場合は「そもそも避難しないほうが安全」という判断も求められます。こうした違いを踏まえ、「おかしも」に加えて災害別の行動指針もセットで伝えることが、命を守る確実な備えにつながります。
SNSやデマ情報が生む混乱をどう防ぐか
スマートフォンが普及した現代では、災害時にSNSを通じてさまざまな情報が一気に拡散されます。
中には正確でない情報や、いたずらによる誤報が含まれていることもあり、それが避難の混乱を招く原因になるケースも増えています。
そのため、防災訓練では「情報の見極め方」や「公式情報の確認方法」を合わせて教えることが重要です。「おかしも」だけでなく、“情報の受け止め方”も備えるべきスキルになっています。
安否確認の重要性と、家庭・職場で準備すべきこと
無事に避難できたとしても、家族や職場の仲間の安否が確認できなければ、不安や混乱は続いてしまいます。そのため、災害時の安否確認の手段やルールを、あらかじめ決めておくことが非常に重要です。連絡方法や集合場所、非常時の連絡先などを家庭・職場で共有し、「お互いの命を確認し合える体制」を日頃から整えておくことが、避難後の混乱を減らすポイントになります。
また、職場においては不特定多数の人が出入りしていることもあり、「誰がいるかわからない」状況では安否確認に時間がかかり、逃げ遅れを見逃す可能性もあります。こうした課題を解決するために、ITツールの導入を進める企業も増えています。
訓練を“形だけ”にしないための工夫
避難訓練が「毎年の形式的な行事」になってしまうと、いざというときに行動に結びつきません。
「おかしもを言うだけ」「避難経路を歩くだけ」で終わらせず、なぜこの行動が必要なのか、どんな場面で使えるのかを訓練後にしっかり振り返る時間を設けましょう。
訓練の質を高めることで、「おかしも」を“言葉”ではなく“実際の動き”として定着させることができます。

まとめ
避難訓練で使われる「おかしも」は、誰もが覚えやすく、緊急時に行動を統一するための大切な合言葉です。意味や背景を理解し、日頃から意識しておくことで、いざというときに命を守る行動につながります。
時代や状況に応じて「伝え方」や「プラスαの行動」も見直しながら、実践的な防災力を高めていきましょう。
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