リモートワーク(在宅勤務・テレワーク)は働き方改革の重要な柱となり、多くの企業で導入が進んでいます。しかし、単に「リモート可」とするだけでは生産性・勤怠管理・セキュリティリスクなど多くの課題が発生します。そのため企業は明確なルールやガイドラインを定め、社員の働き方を適切に支える必要があります。
本記事では、ルールの必要性から基本項目、作り方、事例、注意点まで網羅的に解説します。
リモートワークにルールが必要な理由
リモートワークを安定的に運用するためには、明確なルールの整備が欠かせません。生産性の維持や労務管理、社員間の認識統一といった観点から、なぜルールが必要とされるのかを整理することが重要です。
本項目では、リモートワークにおいてルールが求められる主な理由について説明していきます。

生産性・成果を維持するための共通基準
オフィス勤務と異なり、リモートワークでは仕事の進め方やコミュニケーション手段が多様になります。そのため、業務時間帯の設定や報告ルールなど、共通基準を設けることで「いつ・どのように成果を出すか」を明確にし、生産性のバラつきを抑えることが重要です。
例えば、コアタイムの設定や成果物ベースでの評価基準を決めることで、在宅勤務でも業務の進捗を可視化できるようになります。ルールが無いと時間管理や業務の優先順位が曖昧になり、チーム全体としてのパフォーマンスが低下するリスクがあります。
労務管理・コンプライアンスリスクの回避
リモートワークでは勤怠管理や労働時間の把握が難しくなるため、労働基準法に基づく適正な管理が必須となります。明確な出退勤報告の方法、休憩・休日の定義、時間外労働の申請方法などを定めることで、過重労働や未申告労働のリスクを低減できます。
また、税務や労務管理上での居住地に関わる規制や、会社の安全配慮義務に対応した環境整備も必要です。制度として就業規則や勤務規程に落とし込み、定期的に見直しを実施することでコンプライアンスリスクを抑制します。
ルールが曖昧だと企業責任が問われる場面も増えるため慎重な設計が求められます。
社員間の不公平感・認識ズレを防ぐ
リモート勤務が一部のみ可能であったり、申請制であったりすると、社員間で「公平性」に関する不満が生じることがあります。
たとえば、子育てや介護を理由に在宅勤務している社員と出社中心の人員との間で待遇や評価への差が感じられるケースです。こうしたズレを防ぐには、誰がどの条件でリモートワークを利用できるか、頻度や申請方法を明確にする必要があります。
頻度の上限・下限、職種ごとの適用範囲、在宅勤務時の評価方法などをルール化することで、社員同士の不安や不平等感を軽減できます。加えて、希望の聞き取りを定期的に行うことで現場感に即した柔軟性も確保できます。
リモートワークの基本ルールに盛り込むべき項目

リモートワークのルールを策定する際は、日々の業務運営とリスク管理の両面を意識する必要があります。勤務時間やコミュニケーション、情報セキュリティなど、最低限押さえるべきポイントを整理することが重要です。
本項目では、基本ルールとして盛り込むべき主な項目について説明していきます。
勤務時間・勤怠管理に関するルール
まずは勤務時間の定義です。
リモートワークでは始業・終業時刻、休憩時間、コアタイムの有無、残業申請の方法などを明確にします。就業開始・終了の報告は、勤怠システムやチャットツールによる打刻・報告で統一し、ログを残すことが望ましいです。
フレックスタイム制を利用する場合は、コアタイムの設定と清算期間を明文化し、部門ごとの運用ルールも整えます。定期的に勤怠データをレビューして不正確な記録や誤解を防ぐ仕組みを構築することが求められます。
業務報告・コミュニケーションのルール
リモートワークでは、日々の業務報告やコミュニケーション手段を統一することが成果につながります。
たとえば、朝礼・終礼のチャット報告、定例会議のオンライン参加義務、ドキュメント共有のルール(保存場所や版管理方法)などを決めます。使用するツール(Slack、Teams、Zoomなど)を指定し、既読・返信のタイミング・対応優先度などを社内で合意しておくことで、情報の抜け漏れを防ぐことができます。
また、リモートでも意思疎通を活発にするため、定期的な1on1やチームミーティングの実施頻度なども規定すると良いでしょう。
情報セキュリティ・デバイス利用のルール
リモートワークにおける情報セキュリティ対策は必須です。社外での作業時の端末利用やネットワーク接続について、VPNの使用、社内システムへのアクセス管理、パスワードポリシー、二段階認証の義務づけなどを規定します。会社支給のデバイスと私物デバイスの利用範囲を明確化し、外部記憶媒体の利用・データの取り扱いについてもルール化します。
セキュリティ研修を定期的に実施することで、社員一人ひとりの意識向上を図ることも大切です。これにより、情報漏洩リスクを最小限に抑えることができます。

失敗しないリモートワークのルール作り方

リモートワークのルールは、形式的に作るだけでは十分に機能しません。現場の実態や既存制度との整合性を踏まえ、運用・改善まで見据えた設計が求められます。
本項目では、実務で失敗しにくいリモートワークルールの作り方や進め方について説明していきます。
現場実態を踏まえたルール設計の進め方
ルール設計は現場の実態や業務内容を踏まえることが出発点です。対象となる業務内容を分析し、どの業務がリモートに適し、どの業務は対面が望ましいかを洗い出しましょう。
適用対象の職種や役割、勤務時間帯、コミュニケーション手段の確立など、現状の業務フローを整理した上でルール化することが大切です。また、社員アンケートやヒアリングを実施することで、期待や不安を可視化し、課題に応じたルール策定を進めるべきです。
こうしたボトムアップのプロセスを踏むことで、実運用でのズレや摩擦を減らせます。
就業規則・社内規程との整合性を取る
リモートワークのルールは、既存の就業規則や社内規程と矛盾しないように整合性を取る必要があります。多くの場合、リモートワークは「付随的な勤務形態」として扱われるため、就業規則や勤務規定を修正・追記する形でルールを整備することが推奨されます。
例えば、出退勤時刻の記録方法や休憩・休日の扱い、時間外労働の申請方法などを就業規則に明示することで、労務トラブルを防止できます。また、情報セキュリティポリシーや個人情報保護規程との整合性も確認し、リモートでの機密情報取り扱いや安全策を規定します。
こうした整備によってルールの法的な有効性も高まります。
「作って終わり」にしない運用・見直し体制
ルールを策定した後は、現場での運用状況を定期的にレビューし、必要に応じて改善する仕組みを整えることが重要です。
リモートワークは働き方や技術環境の変化が速いため、一定期間ごとに有効性を評価する仕組みを設けるべきです。社員からのフィードバックを集める仕組みに加え、管理職と現場担当者の協議会やタスクフォースを設置することで、運用上の課題を早期に把握し、継続的な改善につなげられます。
また、ルール変更時には研修や社内説明会を行い、全社員の共通理解を促進することも欠かせません。
企業に学ぶリモートワークルールの事例

実際にリモートワークを定着させている企業の取り組みは、ルール設計の大きなヒントになります。柔軟性を重視した例や、管理・セキュリティを重視した例など、多様な考え方があります。
本項目では、企業の具体的なリモートワークルール事例について説明していきます。
柔軟性を重視したリモートワーク事例
IT・デジタル領域を中心とした企業の中には、創業初期からリモートワークを前提とした働き方を採用し、柔軟性を重視した制度運用を行っているケースがあります。拠点に縛られない業務体制を構築し、部門や職種を越えてオンラインで協働することで、通勤負担や家庭事情に左右されにくい働き方を実現しています。
こうした企業では、勤務場所や時間に一定の裁量を持たせる一方で、成果や役割に基づいた業務管理を行うことで、生産性と従業員満足度の両立を図っています。また、必要に応じて対面でのコミュニケーションを取り入れるなど、オンラインとオフラインを使い分けた運用も特徴です。
セキュリティ・管理を重視した事例
一方で、情報セキュリティや業務管理を重視しながらリモートワークを導入している企業も少なくありません。これらの企業では、リモート環境下でも安全に業務を行えるよう、アクセス制御や認証強化、社員向けのセキュリティ教育などを組み合わせた運用を行っています。
あわせて、勤怠管理や会議運営、ドキュメント共有に関するルールを標準化し、業務の可視性と統制を確保しています。リモートワークの利用頻度についても一律に定めるのではなく、業務内容や役割に応じて柔軟に運用することで、管理のしやすさと働きやすさのバランスを取っている点が特徴です。
ハイブリッドワークを前提とした事例
海外ではハイブリッドワークを前提とした制度が広まりつつあります。たとえば多くの企業が「週に数日はオフィス出社・残りはリモート」といったモデルを採用しています。このアプローチでは、オフィスでの対面コミュニケーションとリモートの柔軟性を両立させ、チームの一体感と個人の生産性を高めています。
また、職種や役割ごとにハイブリッド出社日の指定やコアタイム設定を行い、業務効率の最大化に取り組んでいる例もあります。このようなモデルは従業員の離職率低減や採用競争力の向上にも寄与しています。
リモートワーク導入・運用時の注意点

リモートワークは導入後の運用次第で、トラブルや不満が生じることもあります。曖昧なルールや不十分なマネジメント、評価制度との不整合には注意が必要です。
本項目では、リモートワークを導入・運用する際に押さえておくべき注意点について説明していきます。
曖昧なルールが引き起こすトラブル
曖昧なルールは社員間の誤解や不公平感、不正確な勤怠記録といったトラブルの原因になります。
たとえば、「リモート勤務可」という文言だけでは対象日数や必要な申請手続きが明示されていないことがあり、結果として社員が自律的な判断をせざるを得ない状況になります。また、コミュニケーション手段や報告方法が明確でない場合、情報共有が滞ることや意思疎通の齟齬が生じやすくなります。
ルールは具体的に記述し、例外や運用方法を明確化しておくことが不可欠です。
社員任せにしないマネジメントの重要性
リモートワークでは、社員に大きな裁量が与えられる反面、自己管理が求められます。
しかし、「任せっきり」にしてしまうと、孤立感や進捗管理の不十分さが発生します。管理職はリモート環境でも定期的な1on1ミーティングや進捗共有、成果に基づくフィードバックを行うなど、マネジメント責任を果たす必要があります。
また、コミュニケーションの頻度や形式を定めて、部門横断の情報共有やチームワークの維持を図ることも重要です。
評価制度・キャリア形成との連動
リモートワークに対応した評価制度やキャリア形成支援は、従来の「出社ベースの評価」から脱却するきっかけになります。成果・目標達成度、品質・プロセスの可視化を評価指標として導入し、リモート環境でも公正で納得感のある評価を確立します。
また、キャリア形成についても、リーダーシップ育成やスキルアップ支援をリモートワーク環境に合わせて整備することで、従業員の成長機会と企業の競争力向上につながります。

まとめ
リモートワークのルール設計は、企業の生産性向上とリスク管理の両面から欠かせない取り組みです。勤務時間やコミュニケーション、情報セキュリティ、評価制度まで包括的に整備し、現場のニーズや就業規則との整合性を保つことが重要です。ルールの運用と改善を継続することで、柔軟で持続可能な働き方が実現できます。
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