2026/05/14

BCP・BCMとは?違いやBCMS、経済産業省の取り組みのポイントを解説

企業を取り巻くリスクが多様化する中、「BCP」や「BCM」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、それぞれの違いや関係性、どのように取り組むべきかを正しく理解できている企業は多くありません。

本記事では、BCP・BCMの基本から違い、さらにBCMSや経済産業省の動向までを整理しながら、事業継続に必要な考え方をわかりやすく解説します。

BCP・BCMとは

BCP・BCMはどちらも、緊急事態時に事業を止めないための取り組みです。それぞれの概念と両者の関係性を理解することが、実効性ある事業継続体制づくりの第一歩となります。

BCP(事業継続計画)とは

BCP(Business Continuity Plan)とは、「事業継続計画」を指します。大規模災害やサイバー攻撃、感染症のパンデミックなど、企業が予期しない緊急事態に直面した際に、事業への損害を最小限に抑えながら中核事業を継続または早期に復旧させるための具体的な対策計画です。

BCPには、緊急事態の発生前に行う事前対策と、発生後の復旧手順をまとめたマニュアルが含まれます。有事の際にどう動くかを平時のうちに決めておくことが、企業の存続を左右する重要な要素となります。BCPを策定していない企業は、いざ緊急事態が発生した際に対応が後手に回り、復旧の遅れや信頼の失墜につながるリスクがあります。

BCM(事業継続マネジメント)とは

BCM(Business Continuity Management)とは、「事業継続マネジメント」を指します。策定したBCPが有事の際に実際に機能するよう、組織全体で継続的に管理・運用していく活動の総称です。

BCMはPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回すことで成り立ちます。定期的な訓練の実施や計画の見直し、従業員への周知徹底などを通じて、組織の事業継続能力を継続的に高めていくことがBCMの本質です。BCPが「計画書」であるとすれば、BCMはその計画を生きた仕組みとして運用するプロセスといえます。

BCPとBCMの関係性

BCPとBCMは、切り離せない関係にあります。BCPは事業継続のための「具体的な計画」であり、BCMはその計画を策定・運用・改善していく「マネジメントの枠組み」です。BCMという大きな管理活動の中にBCPが含まれると理解するとわかりやすいでしょう。

ただし、BCPだけを策定して終わりにしてしまうと、時間の経過とともに計画が形骸化するリスクがあります。BCMによって定期的に計画を見直し、組織の変化や外部環境に適応させ続けることで、はじめて実効性のある事業継続体制が完成します。つまり、BCPはBCMあってこそ機能する計画であり、両者を一体で捉えることが重要です。

BCPとBCMの違いをわかりやすく解説

BCPとBCMは似た言葉ですが、その意味と役割は明確に異なります。それぞれの違いを整理し、なぜセットで取り組む必要があるのかを理解しましょう。

計画とマネジメントの違い

BCPとBCMの最も根本的な違いは、「計画」と「マネジメント」の違いです。BCPは、緊急事態が発生した際の対応手順や体制を文書化した「計画書」を指します。

一方、BCMはその計画書を作成するだけでなく、組織内に浸透させ、訓練によって実践力を高め、定期的に改善していく一連の「管理活動」を指します。

端的にいえば、BCPは「何をするか」を示すものであり、BCMは「どのように継続的に実行するか」を示すものです。アルファベットの末尾がP(Plan=計画)とM(Management=管理)である点も、この違いを覚えるヒントになります。

実務における役割の違い

実務の観点から見ると、BCPは有事の際に参照される具体的なマニュアルや対応計画として機能します。誰が何をするか、どの順序で復旧を進めるかが明記されており、緊急時の判断や行動の拠り所となります。

一方BCMは、平時における役割が中心です。教育・訓練の実施計画を立て、BCPの内容を定期的に点検し、組織の体制変化やリスク環境の変化に合わせて計画を更新していきます。

BCMがなければBCPは「策定して終わり」になりかねず、いざ有事の際に機能しない可能性があります。BCPは「有事のツール」、BCMは「平時からの継続的活動」と役割を区別して理解しておくことが大切です。

BCPとBCMをセットで考える理由

BCPとBCMをセットで取り組むべき最大の理由は、単に計画を持つだけでは不十分だからです。実際に東日本大震災の事例では、防災マニュアルを作成していたにもかかわらず、訓練や周知徹底が不十分であったために適切な対応が取れず、法的責任を問われたケースがあります。

一方、平時から訓練や教育を行い、BCMを適切に実施していた組織では、有事の際に計画通りの対応が実現できたと報告されています。

BCPという計画とBCMという運用の両輪が揃って初めて、事業継続の仕組みは実効性を持つのです。この教訓からも、BCPの策定と同時にBCMの運用体制を整えることが企業に求められています。

BCMSの概要と導入メリット

BCPとBCMをより体系的・組織的に管理するための仕組みとして注目されているのがBCMSです。その概要と導入によるメリットを確認しましょう。

BCMS(事業継続マネジメントシステム)とは

BCMS(Business Continuity Management System)とは、「事業継続マネジメントシステム」を指します。BCMの取り組みをシステムとして体系的に確立し、組織全体で継続的に運用するための枠組みです。

BCMSに関しては、国際規格のISO 22301や日本産業規格のJIS Q 22301が整備されており、これらの規格に準拠することで第三者認証の取得が可能となっています。BCMSは単なる文書管理にとどまらず、トップのコミットメントのもとで組織全体がBCMに取り組む文化を醸成するための仕組みとして機能します。

BCMS導入のメリット

BCMSを導入することで得られる主なメリットとして、まず「客観的な信頼性の証明」が挙げられます。ISO 22301などの認証を取得することで、自社の事業継続能力を第三者が保証する形となり、取引先や顧客に対して強力なアピールになります。

また、BCMSによって事業継続に関するPDCAサイクルが組織に定着するため、環境変化にも柔軟に対応できる体制が整います。

さらに、BCMSの導入によって経営資源の把握や部門間コミュニケーションの改善など、平時の組織運営においても副次的な効果が期待できます。国際認証は海外取引の要件を満たすことにもつながります。

BCP・BCM・BCMSの内容整理

BCP・BCM・BCMSの関係性を整理すると、BCPは「何をすべきかを定めた計画書」、BCMは「その計画を機能させるための継続的な管理活動」、BCMSは「BCMを組織的・体系的に実施するための管理システム」という位置づけになります。

BCPがなければBCMは成立せず、BCMがなければBCPは形骸化し、BCMSはBCMをより高い水準で継続するための基盤となります。三者はそれぞれ独立した概念ではなく、階層的に連なるものとして理解することが重要です。この関係性を把握した上で自社の状況に応じた取り組みを進めることが、実効性ある事業継続体制の構築につながります。

経済産業省の動向と企業に求められる対応

BCPやBCMへの取り組みは、民間企業だけでなく政府レベルでも重要施策として位置づけられています。経済産業省の動向と、企業が求められる対応について把握しておきましょう。

BCP推進の背景

日本においてBCPが注目されるようになった背景には、大規模災害の頻発があります。

2004年の新潟県中越地震ではサプライチェーン全体への影響が顕在化し、2011年の東日本大震災では多くの企業が事業継続の重要性を痛感しました。さらに近年は、新型コロナウイルス感染症の拡大やサイバー攻撃の増加など、リスクの種類が多様化しています。

こうした背景を受けて、内閣府は「事業継続ガイドライン」を策定・改定し、BCPおよびBCMの普及促進に取り組んできました。経済産業省もこの流れに連動し、中小企業を含む幅広い企業へのBCP普及を後押ししています。

ガイドラインと支援施策

経済産業省の外局にあたる中小企業庁は、「中小企業BCP策定運用指針」を公開し、BCPの策定・運用方法をわかりやすくまとめた情報を提供しています。

また、中小企業がBCPに取り組みやすくするための補助金・助成金制度も設けられており、コスト面での支援が行われています。

内閣府が策定した「事業継続ガイドライン」は2021年に最新版が発行されており、BCMの各プロセスや事業継続戦略の考え方が体系的に示されています。これらのガイドラインや支援施策を活用することで、独自にノウハウを蓄積することが難しい中小企業でもBCP・BCMへの取り組みを効率的に進めることが可能です。

今後の企業に求められる対応

今後の企業に求められるのは、BCPを策定するだけでなく、BCMとして継続的に運用していくことです。大企業を中心に、取引先にBCPの策定状況やBCMの取り組みを確認する動きも広まっており、事業継続への対応が取引条件の一つになりつつあります。サプライチェーンでつながる中小・零細企業においても、BCP・BCMへの対応は経営上の重要課題です。

経済産業省や内閣府のガイドライン・支援策を参照しながら、自社の規模や業種に合った形で事業継続体制を整備していくことが、今後の企業経営における競争力の基盤となるでしょう。

まとめ

BCPとBCMは、企業が非常時でも事業を継続するために欠かせない取り組みです。BCPは具体的な計画を指し、BCMはそれを運用・改善する仕組みを意味します。さらにBCMSを導入することで、より体系的な管理が可能になります。

今後は経済産業省の動向も踏まえながら、自社に適した形で事業継続体制を整備していくことが重要です。


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