近年では働き方が大きく変わり、リモートワークや在宅勤務といったさまざまなワークスタイルを導入する企業が増えてきました。
オフィスに出勤しなくても働けるメリットがある反面、リモートワークに孤独を感じる従業員が増えることや、コミュニケーション不足によって生産性の低下を招く事態が発生していることも課題のひとつです。
この記事では、リモートワークで起きる課題の具体例、コミュニケーション不足を解消するための対策を紹介します。
リモートワークで起こるコミュニケーション不安
リモートワークは、通勤時間の削減や、子育て・介護中の社員の多様な働き方につながるなど、多くのメリットがありますが、きちんとした対策を行わないと、デメリットも生じます。
リモートワークや在宅勤務をしている20歳〜59歳の男女が行ったアンケート調査によると、約3割の方がリモートワークでのコミュニケーション不安や孤独を感じているという調査結果が出ています。
これは会社に出社する頻度が減ることにより、社員同士のコミュニケーションが減ることが要因の一つとして考えられます。また、情報を共有する機会が減り、仕事面での不安が増すことも要因の一つとして考えられるでしょう。
たとえば、分からないことがあっても隣席に先輩がいれば、相手の様子を見計らって聞くことができます。しかし、リモートワークでは相手の様子が分かりにくいため、「聞けない」「分からない」ことが増え、結果として不安感や孤独感が増すことがあるのです。
リモートワークによって生じる不安感や孤独感は、上司や同僚が気が付かないうちに増すことも少なくないため、深刻な課題になりうるといえるでしょう。
参考:パーソル総合研究所|テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査
リモートワークのコミュニケーション課題
リモートワークのコミュニケーション課題は、主に以下の4つがあげられます。
- コミュニケーション不足
- 勤怠管理がしにくい
- 従業員が孤独を感じやすい
- 業務だけのコミュニケーションに偏ってしまう
リモートワークにおけるコミュニケーション課題について、くわしく解説します。
コミュニケーション不足
先ほどの章でも少し触れましたが、社員同士のコミュニケーションが減ってしまうことは、リモートワークにおける大きな課題のひとつです。会社に出勤していれば、上司や同僚と顔を合わせてカジュアルなコミュニケーションを図ることで、業務を円滑に進められます。
しかし、リモートワークを導入すると、情報共有の場や気軽なコミュニケーションの場が減ってしまったり、業務に関する連絡はメールやチャットなど、相手の感情が読み取りにくい方法でのやりとりが基本になるでしょう。
その結果、必要以上に気を使いながらのやり取りが必要になったり、それぞれの社員が一緒に働くメンバーの人柄を理解するのにも時間がかかるなど、心理的負担はもちろん、根本的なコミュニケーション不足による生産性の低下などの損害を招いてしまうことがあります。
勤怠管理がしにくい
リモートワークでよく指摘される課題は、一般社員と管理職のどちらの立場でも、勤怠管理がしにくくなることがあるという点です。
一般社員の場合、たとえば就寝前でもメンションがついた報告に気づくと、自宅が職場であるがゆえに、つい返信してしまうことがあります。このように、仕事とプライベートの切り替えが難しくなる傾向があるのです。
また管理職の場合も、会社に出社している社員であれば、実際の働きぶりを目にしたり、気軽に対話できることによって業務の進捗状況や勤務状況を把握することができ、適切なマネジメントや評価を行うことができます。
しかし、リモートワークや出社と在宅を併用するハイブリッドワークでは、管理者の目が届きにくいというデメリットから、長時間労働や時間外労働が発生しやすく適切な勤務状況の把握がしづらくなってしまうのです。
従業員が孤独を感じやすい
リモートワークでは、上司や部下、同僚とのコミュニケーションの機会が減ると、一緒に目標に向かっているという感覚が、出社時よりも減る傾向があります。
自分のペースで仕事を進めたい人や、個人で集中して取り組む業務に従事している人の場合は影響が少ないかもしれませんが、コミュニケーションを重視したい人やチームで相談しながら進める業務に従事している人にとっては、孤独感にストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
孤独感が増すと気持ちがネガティブになりやすく、積極性が失われ業務効率が下がったり、うつのような状態になり心的健康を害することもあるため、社員の抱える孤独感は軽視できる問題ではありません。
業務だけのコミュニケーションに偏ってしまう
リモートワークでは、業務だけのコミュニケーションに偏ってしまうという課題もあります。
出社していれば、余裕があるタイミングに同僚と雑談したり、隙間時間を見計らって上司に仕事の相談をしたりできます。
このような普段の何気ないコミュニケーションが、上司と部下、同僚との良好な関係を培っていくと言われており、非常に重要な時間だということがわかります。
一方、リモートワークでは、メールやチャットでのやり取りが基本です。メールやチャットでは、相手の状況を見計らうことが難しいため、上記のような何げないコミュニケーションが自然と減り、業務上のやり取りだけが増えていく傾向があるのです。
そうすると例えば、上司が何げなく送ったメール内容が部下にとっては責められたように感じてしまうなど、コミュニケーションに緊張するようなケースが増えてしまい、お互いに連絡をとりづらい状況が生まれてしまいます。
このように業務だけのコミュニケーションに偏ることで、上司や部下、同僚との良好な関係性が築きにくくなったり、薄まってしまう可能性が生じるのです。
リモートワークでのコミュニケーション不足への対策
リモートワークでのコミュニケーション不足への対策を立てるときには、以下3つのポイントに注目することで、よりよい環境へ近づけることができるでしょう。
- 業務状況の可視化
- コミュニケーションツールの導入
- コミュニケーションツールの使用に関するルール策定
それぞれの対策についてくわしく解説します。
業務状況の可視化
上司や部下、同僚とのコミュニケーション不足に陥らないためには、最新のツールを上手に活用し業務状況を可視化していくことが重要です。
以下のように、メンバー同士の状況を把握できるようにしておけば、ミーティングやコミュニケーションの機会を設定しやすくなり、コミュニケーションの活性化にもつながります。
- 今どのような業務を行っているか
- スケジュールの可視化
- 出社またはリモートワークか
- 出社している場合、今どこの場所に座位しているか
リモートワークと出社を組み合わせるハイブリッドワークでは、フリーアドレス制度を取っている会社が少なくありませんが、フリーアドレスのオフィスでは出社した際に「誰がどこにいるのか分からない」という問題が生じる恐れがあります。コミュニケーション機会の損失を防ぐためにも、「居場所の可視化」ができる位置情報サービスツールの導入も検討しましょう。
総じて、新しいツールの導入時には時間や手間がかかります。しかし、円滑なリモートワークが実現すれば、先にあげたようなリモートワークによる課題や障害が減り、業務の効率化が進みます。結果として業績アップや従業員の気持ちの面でもプラスになることが多いといえるのです。
次に、おすすめのコミュニケーションツールを紹介します。
コミュニケーションツールの導入
コミュニケーションツールは、メールや電話よりも手軽にコミュニケーションが取れるメリットがあり、多くの企業が取り入れています。
コミュニケーションツールを使うのが苦手な社員がいることも考慮し、自社の環境や社員に合った使いやすいツールを導入するのがおすすめです。おすすめのコミュニケーションツールは、以下のとおりです。
- 会議ツール:Zoom、Google Meet など
- チャットツール:Chatwork、Slack、LINEビジネス など
- 居場所確認ツール:Beacapp Here など
チャットツールを活用して、業務以外でのコミュニケーションの場を少しずつ増やしていくことで、遠慮せず気軽に話せる環境作りが実現するのです。
コミュニケーションツールの使用に関するルール策定
コミュニケーションツールを導入する場合、業務を円滑にすすめるためにあらかじめルールを策定しておく必要があります。
たとえば、以下のようなルール策定がポイントとなるでしょう。
- 出退勤時間、出社・リモートワークなど勤怠状態の報告ルール
- スケジュールの共有化に関するルール
- できるだけ早めの返信を心がけるなどのマナー
- プライバシーや個人情報保護に関する注意やマナー
- 出社時には、誰がどこで業務をしているかなどの位置情報を共有化するルール
など
チャットツール利用時には、相手がすぐに気が付かないこともあるため、緊急性の高い場合は電話連絡も検討するといった対策も必要になるでしょう。
リモートワークのコミュニケーションを円滑に行う工夫
リモートワークでのコミュニケーション不足を解消するためには、以下3つの工夫が必要です。
- チャット確認を高頻度で行う
- スケジュールを積極的に共有する
- Web会議はお互いの顔が見えるように行う
ここでは、コミュニケーションを円滑に進めるための工夫についてそれぞれくわしく解説します。
チャット確認を高頻度で行う
チャットツールを導入したら積極的に活用できるよう、社員全体に働きかけることが大切です。
チャットツールの使用において、中高年世代でありがちな使い方が、メール感覚での使い方です。
チャットツールは、フロー型コンテンツであることを理解して、高頻度でスピーディーにやり取りすることが重要になってきます。しかし、メール感覚が抜けない場合、返信内容を複数まとめてから返事をしようとするなど、スムーズな運用の妨げになってしまうことがあります。
「了解しました。明日対応します。」といった一言でいいので、反応を素早く返すことがチームの関係性を高め、円滑な業務につながります。
チャットツールを導入した場合は、チャット内容をこまめにチェックし高頻度で連絡をやり取りすることの大切さを認識してもらうことが重要です。
スケジュールを積極的に共有する
リモートワークでは対話する機会が減る分、メンバーのスケジュールや業務の進捗状況も把握しづらくなります。そのため、ツールのカレンダー機能などを活用して、積極的にスケジュールを共有しましょう。
一緒に仕事をするメンバーが、どんなスケジュールで活動しているのかが把握できると、コミュニケーションが取れそうなタイミングも分かり、業務を円滑に進められます。
Web会議はお互いの顔が見えるように行う
Web会議で顔を見せるのに抵抗があるという方もいるかもしれませんが、Web会議はできる限りお互いの顔が見えるように行いましょう。
音声のみの場合、相手が何を考えているかが分かりにくく、相手が不安やストレスを感じてしまうことも少なくありません。
お互いの顔が見えるようにWeb会議を行うことで、みんなで同じ目標に向かって一緒に仕事する一体感が生まれ、孤独や不安を感じにくくなります。
リモートワークのコミュニケーション課題の改善事例
リモートワークのコミュニケーション課題の改善事例を3つ紹介します。
さまざまな工夫をして働きやすい環境作りを成功させた事例を参考に、リモートワーク下における、コミュニケーション低下を改善する施策として、ぜひ参考にしてください。
雑談ができる「居場所」を作った事例
リモートワークに雑談ができる「居場所」を設けて、社員が円滑に業務を進められるようになった事例があります。
例をあげると、定期的に色々な部署の社員を集めて昼食会を行う「シャッフルランチ」は、コミュニケーションの活性化が促され、社内でのつながりを深めることができます。
インターネット上に仮想オフィスとなる「バーチャルオフィス」を設けるのもおすすめです。バーチャルオフィス内に「社員が雑談できるスペース」、反対に「業務に集中するスペース」など、自分の状況や気持ちを表現できる居場所を作ることができます。
このような深いつながりや居場所が増えれば、リモートワークであっても仲間の存在を身近に感じたり、自分の状況や気持ちを表現しやすくなるため、最適なコミュニケーションにつながっていくでしょう。
ルール作りや環境整備でうまく進んだ事例
リモートワークにおけるルールを取り決めて社内に周知し、それに必要となる新しいツールを積極的に活用して成功した事例です。
たとえば、出社している社員とリモートワーク中の社員間でコミュニケーションの差が起りにくいよう、社内に大型モニターを設置して常時オンラインで接続しながら円滑なコミュニケーションを図る方法があります。
また、Chatwork、Slackなどのチャットツールの導入を積極的に進め、リモートワークの業務を効率的に進められる環境を整えるのもよい例でしょう。
この時、リモートワークのルールの中に、チャット報告の頻度やフォーマットのルールを作成することで、個人間での温度差や理解差が出ないように配慮することもポイントです。
このような工夫や配慮を行うことで、どの社員も迷うことなく、リモートワークにおけるコミュニケーションの改善が進むのです。
情報漏洩対策も必須
リモートワークを安心・安全に推進するためには、情報漏洩対策が必須です。
自宅やシェアオフィスでの環境下では、情報のセキュリティレベルや、個人のITリテラシーも異なるため、情報漏洩のリスクが生じることがあります。会社としては、VPNの利用、多要素認証、テレワーク専用端末の整備、アクセスのログ監視などの導入をして情報漏洩のリスクを防ぐ施策が必要です。
複数の制度やツールを導入すると、社員に浸透させるために時間がかかってしまいますが、社員向けに解説動画を制作したり、専用のツールを用意したりするなど、情報を蓄積する仕組みの導入でスムーズな運用ができるようになります。
このような施策は、そのほかの一般的な業務においても、チームメンバーの知識やノウハウを共有できるようになるなど、複数の案件を同時に進められる環境作りにもつながるでしょう。
位置情報サービスでハイブリッドワークもスムーズに
ハイブリッドワーク環境で、いざ出社したときの「誰がどこにいるのかわからなくて困る」ということを解決し、コミュニケーション課題を改善できるツールとして、位置情報サービスを導入した成功事例があります。
話したい人の居場所が分かれば、探す時間や労力を削減できるのはもちろん、近くにいることが分かり話しかけにいくきっかけになるなど、位置情報サービスはコミュニケーションツールとしても有効なのです。
▼参考事例はこちら▼
ハイブリッドワークにおける位置情報サービスの導入事例
さまざまな工夫でリモートワークを上手に運用しよう
従業員がそれぞれ異なる環境下で業務を進めていくリモートワークでは、実際に顔を合わせて仕事をするよりも、コミュニケーションの難しさや孤独感を感じてしまう方は多いといわれています。
そのようなときも、チャットツールやITツールなどの活用や、こまめにコミュニケーションできる環境を整えることで、上手に運用していくことが可能です。
また、従業員の行動の可視化や分析ができるITツールを選ぶなら、ビーキャップが提供するクラウドサービス「Beacapp Here」がおすすめです。
スマートフォンがあれば、スピーディー&ローコストで導入できるツールで、現在多種多様な企業で導入されています。興味がある方は、ぜひビーキャップまでお問い合わせください。
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