「裁量労働制って出退勤が自由なんでしょ?」「うちの会社はコアタイムありの裁量労働だけど、これって正しいの?」──そんな声を耳にしたことはありませんか?
「裁量労働制」と「コアタイム」は本来、相容れない考え方です。しかし、企業現場では両者が混在し、誤った運用がされているケースも少なくありません。
本記事では、裁量労働制の正しい理解と、なぜコアタイムという言葉が登場するのかを制度面・実態面の両方から解説します。
なぜ裁量労働に“コアタイム”が存在するのか
理論上存在しないはずの「裁量労働におけるコアタイム」が、なぜ多くの企業で登場しているのでしょうか?その背景を探ります。

誤解からくる制度の混同
企業の中には、「裁量労働=自由な出勤制度」とだけ認識していて、実際にはフレックス制度との違いを正確に理解していないケースも多くあります。その結果、裁量労働なのに「午前中は必ず出社」といった“コアタイム的な指示”を出してしまっているのです。
実務上の都合や管理のしやすさ
また、プロジェクトの連携や会議設定、進捗共有などのために、ある程度の勤務時間を揃える必要があることも理由の一つです。マネジメント側からすれば、「裁量制」とはいえ、誰が何時に来て何時に帰るかまったく読めないと業務に支障が出るため、暗黙の「コアタイム」が生まれるのです。
厚労省ガイドラインでも否定されている
実は、厚生労働省も公式に「裁量労働制においては出退勤時刻を労働者の裁量に委ねるべき」と明記しています。つまり、「裁量制だけどこの時間には必ずいて」と指示すること自体が、制度の趣旨に反しているというわけです。
裁量労働制を正しく運用するには
では、裁量労働制を制度として正しく、かつ現場でも機能させるにはどうすればいいのでしょうか?

導入前に制度の理解と社内説明を徹底する
まずは、経営陣・管理職・人事担当者が制度の趣旨を正しく理解し、現場にもきちんと共有することが重要です。特に、「労働時間の管理ではなく、業務の成果を見る」という観点を徹底しなければ、制度が形骸化します
出退勤の自由とチーム連携の両立
裁量労働制では、あくまで出退勤の時間を労働者本人が自由に決めることが前提ですが、チームでの連携が必要な場合は、裁量の中で「この時間に合わせてくれると助かる」といった“任意ベースの推奨時間”を設けるのは有効です。強制ではなく“働きやすさの工夫”として共有しましょう。
制度の形骸化を防ぐ定期的なチェック
裁量労働制を導入したものの、実質的には定時勤務を強いている……という運用に陥らないよう、制度の運用状況を定期的にチェックする仕組みが必要です。労使協定や36協定を形だけにせず、制度が適正に使われているかを見直しましょう。
裁量労働制とフレックスタイム制の違いを整理
よく混同されがちな「裁量労働制」と「フレックスタイム制」。
違いを理解しておくことで、制度設計や導入判断がスムーズになります。

制度の根本的な違い
フレックスタイム制は、「労働時間の合計を自分で調整する制度」であり、労働時間の把握と記録が必要です。一方、裁量労働制は、「何時間働いたかを問わない制度」であり、労働時間は“みなし”で処理されます。
コアタイムの有無
フレックスにはコアタイムが存在してもOKですが、裁量労働には存在しないのが原則です。よって、「裁量労働制にコアタイムを設ける」は矛盾した運用になります。
向いている業務の違い
フレックス制は、営業職や開発職など、時間帯の自由がある程度求められますが、労働時間の管理も重要な職種に向いています。一方、裁量労働制は、自ら計画し、自由に進めることが求められる「自律型」の業務に適しています。
まとめ
裁量労働制は、「何時間働いたか」ではなく「どんな成果を出したか」にフォーカスした制度です。したがって、「裁量制なのにコアタイムあり」という運用は、制度の趣旨と大きく矛盾しています。しかし、実際の現場では管理や連携の必要から、あえて“時間的拘束”を設けてしまっているケースも多く見られます。
重要なのは、制度の理念と現場の運用バランスをとること。単に自由にするだけでなく、「どうすれば社員が働きやすく、かつ成果を出しやすいか」という視点で運用を見直すことが、真に機能する裁量労働制への第一歩となるでしょう。
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