2025/05/14

コアタイム廃止のメリット・デメリットと企業が進める理由

働き方の多様化が加速する現代において、企業の就業制度も大きな転換期を迎えています。

特に注目されているのが、フレックスタイム制における「コアタイム」の廃止です。コアタイムとは、社員が必ず勤務しなければならない時間帯を指し、チームの連携や業務の進行において一定の効果があるとされてきました。

しかし、テレワークの普及や個人の働き方に対する価値観の変化、グローバル展開といった要素が絡み合い、企業はより柔軟で成果重視の制度へとシフトしています。

本記事では、コアタイム廃止のメリット・デメリットを解説いたします

コアタイムとは何か?その役割と意味を再確認

「コアタイム」とは、フレックスタイム制における“必ず勤務する時間帯”のことです。

たとえば、始業時間が7:00~11:00、終業時間が15:00~22:00と設定されている場合、その中の10:00~15:00をコアタイムとして全社員が出勤する必要があります。この時間を設けることで、社員同士の連携が取りやすくなり、会議や共同作業などもスムーズに進めることができます。

フレックスタイム制はそもそも、「時間に縛られずに、働く人が自律的に仕事をコントロールできる仕組み」です。

しかしコアタイムの存在が、その柔軟性を部分的に制限していることも否めません。企業にとっては、最低限の業務連携の担保という意味でコアタイムを設けてきた歴史がありますが、働く環境が劇的に変わった今、その存在意義が再び問われているのです。

働き方の自由度が向上し、多様な人材が活躍しやすくなる

コアタイムを廃止する最大のメリットは、働く時間の自由度が格段に高まることです。

社員は自分のライフスタイルや体調、家庭の事情に応じて最適な時間帯に仕事を進めることができます。これにより、育児や介護、副業をしている人も無理なく業務に参加でき、多様な人材の活躍が可能になります。

企業にとっても、柔軟な勤務時間制度を設けることで、求人の魅力度が高まり、優秀な人材を獲得しやすくなります。とくに若年層は「時間に縛られない働き方」を求める傾向が強く、このニーズに応えることが競争力の向上につながります。

業務効率・生産性の向上が期待できる

個人の集中しやすい時間帯に業務をこなせることは、パフォーマンスの最大化にもつながります。

たとえば、朝型の人は早朝から作業を進め、夜型の人は夕方以降に集中するなど、それぞれがベストなリズムで働けます。

また、通勤ラッシュを避けられることでストレスが軽減し、心身の健康維持にも貢献します。これらの要素が組み合わさることで、業務効率が向上し、残業の削減や離職率の低下といった効果も期待されるのです。

コアタイム廃止によるデメリットと懸念点

自由度が高まる一方で、コアタイムの廃止は「組織の一体感や業務の調整」が難しくなるという課題を抱えます。特に、チームでの共同作業が多い業務や、決裁フローが厳密な部署では、関係者が同時に勤務していないことで会議や意思決定が遅れることがあります。

また、マネージャーやリーダーが部下の稼働状況を把握しにくくなることで、進捗管理や成果の可視化が困難になるケースもあります。

コミュニケーション不足のリスクと対策

同じ時間に全員が勤務していないという状況では、ちょっとした相談や情報共有が難しくなります。Slackやチャットツールの活用、バーチャル会議の常設などが対策になりますが、それでも「リアルタイムでの会話ができない」という点は課題として残ります。

これに対しては、「共有タイム」や「定例の同期ミーティング」を導入し、最低限の接点を設ける工夫が有効です。完全にフリーにするのではなく、チーム単位で必要な「同期の場」を確保することで、連携の質を維持できます。

マネジメントの再設計が必要になる

従来のように「姿が見えているから安心」という管理スタイルは通用しません。代わりに、目標管理(OKRやKPI)を導入し、成果ベースの評価体制を築く必要があります。

また、勤怠や稼働時間のログデータを活用して、社員の働きぶりを客観的に把握する手段を整備することが重要です。加えて、1on1ミーティングなどを通じて信頼関係を深めることも、離れて働く環境では欠かせないマネジメント手法となります。

なぜ今、企業はコアタイムを廃止するのか?

社会全体の価値観の変化や労働市場の構造変化により、企業が「時間に縛られない働き方」を推進する動きが強まっています。

採用・リテンションの強化策として

働き方に柔軟性を持たせることは、求職者にとって魅力的なポイントになります。特に、IT業界やスタートアップ企業では「フルフレックス・リモート可」が標準になりつつあり、競合他社との採用競争に勝つためには、こうした制度改革が必要不可欠です。

また、既存社員の離職を防ぐという観点からも、ライフステージの変化に応じて柔軟に働ける制度は有効です。制度の魅力がある会社ほど、社員が長く安心して働ける環境を整えていると評価されます。

業績へのポジティブな影響

生産性が高まれば、当然ながら企業の業績にも好影響があります。働く時間よりも「どんな価値を生んだか」が重視されることで、社員は自律的に成果を出す意識を持つようになります。

また、組織全体が“時間ではなく成果で評価される文化”に移行することで、ムダな会議や報告も減少し、意思決定もスピーディーになります。結果として、変化の速いビジネス環境にも柔軟に対応できる体制が整うのです。

まとめ

コアタイムの廃止は、企業の働き方改革の中でも特に注目されているテーマです。柔軟性の向上や生産性の向上、多様な人材の活躍など多くのメリットがある一方で、コミュニケーションやマネジメントには新たな工夫が求められます。

制度の導入には明確な目的と運用設計が不可欠であり、単なる「自由化」ではなく、成果を引き出すための「戦略的な柔軟性」として捉えることが重要です。企業文化や業務特性を踏まえた上で、自社に合った形のフレックス制度を模索することが、これからの時代の“選ばれる職場”づくりに直結します。

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