オフィスや工場、物流倉庫、商業施設などでは、不審者の侵入や盗難、火災といったさまざまなリスクに備えるため、適切な警備体制を構築する必要があります。
その方法のひとつとして、多くの施設で導入されているのが「機械警備」です。
機械警備は、センサーや防犯カメラなどを使って施設を監視し、異常が発生した際に警備員による対応につなげる仕組みです。24時間365日の監視体制を構築しやすく、警備業務の効率化やコスト削減にもつながることから、幅広い施設で活用されています。
一方、機械警備を導入すれば、すべての警備業務を機械に任せられるわけではありません。異常発生時の現場確認や巡回など、人による対応が必要な場面もあります。そのため、警備員の現在地や巡回状況など「人の動き」を把握することも、効率的な警備体制を構築するうえで重要です。
本記事では、機械警備とは何か、基本的な仕組みや有人警備との違い、使用されるセンサー・機器、導入するメリット・デメリットについて解説します。さらに、位置情報を活用して警備員の所在を可視化し、警備業務を効率化する方法についても紹介します。

機械警備とは?基本的な仕組みをわかりやすく解説

機械警備とは、建物や施設に設置したセンサーや防犯カメラなどを利用して異常を検知し、必要に応じて警備員による対応につなげる警備方式です。
警備員が常時施設内を監視するのではなく、機器によって継続的に監視できるため、夜間や休日を含めた警備体制を構築しやすいことが特徴です。機械だけですべてを完結させるのではなく、センサー、監視センター、警備員が連携して施設の安全を守ります。
機械警備の基本的な仕組み
機械警備では、建物の出入口や窓、室内などにセンサーを設置し、不審者の侵入や火災といった異常を監視します。
基本的な流れは、まずセンサーが異常を検知し、その情報が警備会社の監視センターなどへ送信されます。監視センターで警報の内容を確認したうえで、必要に応じて警備員に出動を指示します。警備員は対象施設へ駆けつけ、現場の状況を確認して一次対応を行い、状況によっては警察や消防などの関係機関と連携します。
つまり機械警備は、「センサーによる異常検知」「監視センターへの通報」「警備員による現場対応」を組み合わせた仕組みといえます。
機械警備という名称から「すべて機械が対応する」と考えられがちですが、実際には異常を発見する部分を機械が担い、その後の確認や対応を人が担うケースがあります。機械と人それぞれの強みを組み合わせることで、効率的な警備体制を構築できる点が特徴です。
機械警備と有人警備・常駐警備の違い
警備方法には、機械警備のほかに「有人警備」や「常駐警備」があります。大きな違いは、施設の監視を機械中心で行うか、人中心で行うかという点です。
有人警備・常駐警備では、警備員が施設内や出入口などに配置され、立哨や巡回、来訪者への対応などを行います。施設内で異常が発生した場合、その場にいる警備員が状況を確認し、迅速に対応できることがメリットです。
一方、機械警備はセンサーやカメラなどによって施設を監視します。そのため、警備員を常時配置しなくても、夜間や休日を含めた継続的な監視体制を構築しやすい点が特徴です。ALSOKも、機械警備ではセンサー・カメラ・システムによる自動検知、有人警備では警備員による常駐・巡回が中心になると整理しています。
どちらか一方が優れているということではなく、施設の用途や規模、必要とするセキュリティレベルによって適した方法は異なります。機械警備と有人警備を組み合わせ、それぞれの長所を生かす方法も考えられます。
機械警備が導入されている主な施設
機械警備は、オフィスや店舗だけでなく、工場、物流倉庫、マンション、学校、病院など、幅広い施設で利用されています。セコムでもビルやオフィスをはじめ、工場、駐車場、飲食店、無人店舗、病院、学校などさまざまな施設で機械警備が導入されています。
特に、夜間や休日に無人となるオフィスや店舗、広い敷地を持つ工場・物流倉庫などでは、常に人が巡回して監視することが難しい場合があります。こうした施設では、センサーによって異常を自動検知できる機械警備が有効です。
ただし、施設によって想定されるリスクは異なります。オフィスでは不審者の侵入や盗難、工場では侵入に加えて火災や設備に関する異常、店舗では営業時間外の侵入など、目的に応じた警備体制が求められます。そのため、施設の特徴やリスクを整理したうえで、必要なセンサーや警備方法を選ぶことが大切です。
機械警備で使用される主なセンサー・機器

機械警備では、不審者の侵入や火災などの異常を素早く発見するため、さまざまなセンサーや機器が活用されています。それぞれ検知できる内容が異なるため、警備する施設の構造や用途、想定されるリスクに合わせて適切に組み合わせることが重要です。
人感・空間センサーや開閉センサー
機械警備で代表的な機器が、人感・空間センサーや開閉センサーです。
空間センサーは、人体から放出される赤外線などによる変化を捉え、監視しているエリア内への侵入を検知します。オフィスの室内や廊下、階段などに設置することで、警備中に人が侵入していないか監視できます。
開閉センサーは、ドアや窓などが開けられたことを検知する機器です。警備状態になっている施設でドアや窓が開けられると異常として検知し、監視センターなどへ情報を送ります。
ほかにも、ガラスが割れる音や振動を検知するセンサーなどがあります。侵入経路となり得る場所や施設の構造に応じて複数のセンサーを配置することで、より広い範囲を監視できます。
防犯カメラ・画像センサー
防犯カメラや画像センサーも、機械警備を支える重要な機器です。
センサーだけでは「異常が発生した」という情報しか分からないケースがありますが、映像を組み合わせれば現場の状況を確認しやすくなります。画像センサーの中には、異常を検知した際の画像を確認できるものもあり、より詳細な状況把握に役立ちます。
また、防犯カメラの映像を記録しておけば、トラブル発生後の状況確認にも利用できます。カメラが設置されていること自体が侵入や犯罪に対する抑止につながることも期待されます。
近年では、ネットワークやクラウドを利用して、離れた場所から映像を確認できるサービスもあります。センサーによる異常検知と映像による状況確認を組み合わせることで、より効率的な監視につなげられるでしょう。
火災センサー・非常ボタンなどの警報機器
機械警備は、不審者の侵入を防ぐためだけのものではありません。火災などの異常を監視するためのセンサーや、緊急事態を知らせる非常ボタンなども利用されています。
火災センサーは煙や熱などを感知し、火災の発生を監視する機器です。異常を早期に検知することで、迅速な状況確認や対応につなげられます。
また、従業員が身の危険を感じたときなどに利用する非常ボタンを設置するケースもあります。非常ボタンが押されたことを監視センターへ通知し、その後の対応につなげる仕組みです。
このように機械警備では、侵入対策だけではなく、防犯・防災など複数の観点から施設を監視できます。自社がどのようなリスクに備えたいのかを明確にし、必要な設備を選ぶことが重要です。

機械警備を導入するメリット・デメリット

機械警備には、24時間365日の監視体制を構築しやすいことや、警備業務を効率化できることなど、さまざまなメリットがあります。一方で、異常発生後の対応やセンサーの運用など、導入前に理解しておきたい注意点もあります。
24時間365日の監視体制を構築しやすい
機械警備を導入する大きなメリットのひとつが、24時間365日の監視体制を構築しやすいことです。
人による警備では、長時間の連続勤務はできないため、24時間体制を構築する場合には複数の警備員を交代で配置する必要があります。一方、機械警備ではセンサーなどを使って継続的に監視できるため、夜間や休日など人がいない時間帯にも対応しやすくなります。
特にオフィスや工場、物流倉庫などは、営業時間や稼働時間が終了すると人が少なくなり、侵入などの異常に気づきにくくなります。機械警備によって無人時間帯も監視できれば、施設の安全管理を強化できます。
また、センサーは決められた条件に基づいて異常を検知するため、人の集中力や体調などに左右されにくく、継続的な監視を行える点も特徴です。
警備業務の効率化やコスト削減につながる
機械警備は、警備業務の効率化にも役立ちます。
広い施設のすべてを人だけで常時監視しようとすると、多くの警備員が必要になる可能性があります。センサーやカメラを利用して複数の場所を監視できれば、人が常時確認しなければならない範囲を減らし、必要な場所や業務に人員を配置しやすくなります。
その結果、警備員の配置人数や勤務時間などを見直せる場合があり、警備にかかるコストの最適化にもつながります。ALSOKも、機械警備は有人警備と比較してコストを抑えられる場合が多いとしています。
ただし、単純に「機械警備を導入すれば必ず安くなる」とは限りません。センサーやカメラなどの初期費用、月額料金、メンテナンス費用なども発生するため、施設の規模や必要な警備内容を踏まえて総合的に比較する必要があります。
駆けつけまでの時間や誤作動などに注意が必要
機械警備にはメリットがある一方、注意しておきたい点もあります。
代表的なのが、異常を検知してから警備員が現場へ到着するまでに時間がかかる可能性があることです。施設内に警備員が常駐している有人警備とは異なり、機械警備では異常を確認してから警備員が現場へ向かう場合があります。そのため、契約する警備会社の対応エリアや異常発生時の対応内容などを事前に確認しておくことが大切です。
また、センサーの設置環境や操作ミスなどによって誤報が発生する可能性もあります。機器は経年劣化や故障が起こることもあるため、定期的なメンテナンスも欠かせません。
機械警備を導入する際は、機械だけに任せるのではなく、異常が発生した後に「誰が」「どのように」対応するのかまで含めた運用体制を考える必要があります。
機械警備と位置情報を組み合わせて警備業務を効率化

機械警備では異常を素早く検知することに加え、その後の人的対応も重要です。そこで役立つのが位置情報の活用です。警備員の現在地や巡回状況を可視化できれば、広い施設でも人の配置を把握しやすくなり、警備業務の効率化につなげられます。
警備員の現在地を把握して異常発生時の対応を迅速化する
機械警備では、センサーが異常を検知すると監視センターなどへ情報が送られ、必要に応じて警備員が現場へ向かいます。つまり、機械による「異常の検知」と、人による「現場対応」が連携して警備が成り立っています。
ここで重要になるのが、対応する警備員がどこにいるのかという情報です。
たとえば、大規模な工場や物流倉庫、商業施設、複数フロアにまたがるオフィスなどで複数の警備員が巡回している場合、管理者がそれぞれの現在地をすぐに把握できないことも考えられます。
位置情報システムによって施設内の警備員の所在を可視化できれば、管理者が「誰がどのエリアにいるのか」を確認しやすくなります。異常が発生した場所と警備員の位置をそれぞれ把握できれば、現場への連絡や対応指示を行う際の判断材料にもなります。
実際に機械警備では、警備員の位置を把握して現場対応に生かす考え方があります。セコムはGPSによって緊急対処員を誘導していると説明しています。
屋外ではGPSを活用できますが、建物の中ではGPSの電波が届きにくいことがあります。そこで、屋内の人の位置を把握する方法としてBluetoothビーコンなどの技術が活用されています。
巡回状況を可視化して警備体制の改善につなげる
位置情報の活用は、異常発生時だけではありません。警備員の日常的な巡回業務を把握するためにも活用できます。
施設が広くなるほど、警備員が「どの場所を、どの程度巡回しているのか」を管理者が目視だけで把握することは難しくなります。特に複数の警備員が交代しながら巡回する場合、それぞれの行動を正確に確認するには管理の手間がかかります。
そこで、警備員の位置情報を記録しておけば、どのエリアにいたのか、どのように施設内を移動していたのかといった行動を振り返るためのデータとして利用できます。
たとえば、特定のエリアに巡回が集中している一方で、別のエリアへの巡回が少ないといった傾向を把握できれば、巡回ルートや警備員の配置を見直すきっかけになります。
重要なのは、位置情報を単なる「監視」のために利用するのではなく、警備業務を改善するためのデータとして活用することです。取得目的や利用範囲を明確にし、警備員にも位置情報を取得する目的や運用方法を十分に説明したうえで活用することが求められます。
Beacapp Hereで警備員の所在を可視化する
屋内にいる警備員の所在を把握する方法のひとつとして、ビーコンを活用した屋内位置情報サービスがあります。
「Beacapp Here」は、Bluetoothビーコンとスマートフォンなどを利用し、オフィスや工場といった屋内にいる人やモノの所在地をリアルタイムに可視化できるサービスです。パソコンやスマートフォンから所在地を確認できるため、「誰がどこにいるのか」を把握しやすくなります。
この仕組みを警備業務に応用すれば、広い工場や物流倉庫、商業施設などで勤務する警備員の所在把握にも活用が考えられます。
たとえば、施設内で複数の警備員が巡回している場合、管理者が警備員の位置をマップ上で確認できれば、現在の配置状況を把握しやすくなります。機械警備で異常を検知した際にも、警備員の所在情報を確認できる環境があれば、現場対応を指示する際の判断材料として役立てることができます。
また、Beacapp Hereではリアルタイムの所在地だけでなく、ビーコンの検知ログを蓄積できます。過去のログから「いつ・誰が・どのエリアにいたのか」を確認できるため、警備員の移動や滞在状況を振り返り、巡回ルートや人員配置を検討するためのデータとして活用することも可能です。
つまり、機械警備がセンサーによって施設の「異常」を検知する仕組みだとすれば、Beacapp Hereは屋内で働く「人の位置」を可視化する仕組みです。
両者の役割は異なりますが、「異常を検知する仕組み」と「対応する人の所在を把握する仕組み」を組み合わせて考えることで、警備業務全体の効率化につなげられます。特に工場や物流倉庫、大型オフィスなど、施設が広く、複数の警備員が移動しながら業務を行う環境では、位置情報を活用した人員配置や巡回状況の可視化が有効な選択肢となるでしょう。

まとめ
機械警備とは、センサーや防犯カメラなどの機器を利用して建物や施設を監視し、異常を検知した際に監視センターへの通報や警備員による現場対応につなげる警備方式です。
警備員を常時配置しなくても24時間365日の監視体制を構築しやすく、警備業務の効率化やコストの最適化につながる点が大きなメリットです。一方で、異常を検知してから警備員が現場へ向かうケースもあるため、機械だけでなく人による対応まで含めて警備体制を設計する必要があります。
特に工場や物流倉庫、商業施設、大型オフィスなどでは、施設内を複数の警備員が巡回していることもあります。こうした環境では、警備員が「今どこにいるのか」を把握することも、警備業務を効率化するうえで重要です。
位置情報を活用して警備員の現在地や移動・滞在状況を可視化すれば、日常の巡回状況を把握しやすくなるほか、警備員の配置や巡回ルートを見直すためのデータとしても活用できます。
屋内位置情報サービス「Beacapp Here」では、ビーコンなどを活用して屋内にいる人の所在地をリアルタイムに可視化でき、位置情報ログを蓄積することもできます。
機械警備による「異常の検知」と、位置情報による「警備員の所在把握」。それぞれの仕組みを適切に活用することで、施設のセキュリティを強化するだけでなく、警備員の巡回や配置といった警備業務そのものの効率化にもつなげられるでしょう。
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