企業が保有するパソコンや機械、車両などの固定資産は、取得して終わりではなく、継続的な管理が必要です。しかし、「Excelで管理しているものの情報が更新されていない」「棚卸しのたびに備品を探している」といった課題を抱える企業も少なくありません。
本記事では、固定資産管理の目的や基本的な流れ、Excelを使った管理方法、効率化のポイントまでわかりやすく解説します。

固定資産管理とは?目的と対象を解説

固定資産管理とは、企業が保有する固定資産について、取得から使用、移動、廃棄・売却までの情報を継続的に管理する業務です。固定資産は長期間にわたって使用されるため、購入時の情報だけでなく、「どこにあるのか」「誰が使用しているのか」「現在も使用されているのか」といった状況を正しく把握しておくことが重要です。
適切な管理は、正確な会計処理や税務対応だけでなく、紛失や重複購入の防止、棚卸しの効率化などにもつながります。まずは固定資産の種類や管理の目的、備品との違いを確認しましょう。
固定資産の主な種類
固定資産は、大きく「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」に分けられます。
有形固定資産には、土地や建物、機械設備、車両、パソコン、オフィス家具など、形のある資産が含まれます。一方、無形固定資産はソフトウェアや特許権、商標権など、物理的な形を持たない資産です。
このほか、長期保有を目的とした投資有価証券なども固定資産に分類されます。管理対象や方法は資産の種類によって異なるため、自社がどのような固定資産を保有しているのかを整理することが第一歩です。
固定資産管理の目的と必要性
固定資産管理の主な目的は、企業が保有する資産の状況を正確に把握し、適切な会計・税務処理につなげることです。
取得価額や取得日、耐用年数などを記録しておくことで、減価償却などの処理を適切に行いやすくなります。また、台帳上の情報だけでなく、実際に資産が存在しているかを確認することも重要です。
管理が不十分だと、すでに廃棄した資産が台帳に残ったり、反対に使用中の資産が登録されていなかったりする可能性があります。正確な情報を維持することが、適切な資産管理の基本となります。
固定資産と備品の違い
固定資産と備品は混同されやすい言葉ですが、必ずしも同じものではありません。
固定資産は、会計・税務上の基準などに基づいて資産として計上されるものです。一方、「備品」はオフィスや工場などで業務に使用する物品を広く指す言葉として使われます。
そのため、パソコンやデスク、モニターなどの備品でも、取得価額や会計上の処理によって扱いが異なる場合があります。固定資産に該当しない備品であっても、紛失や重複購入を防ぐために管理が必要なケースは少なくありません。自社の基準を明確にし、管理対象を整理することが大切です。
固定資産管理はどう進める?基本の流れを解説

固定資産管理を正確かつ効率的に行うためには、担当者の判断だけに頼らず、一定の流れに沿って運用することが重要です。
基本的には、「取得・登録」「情報の記録」「移動などに伴う更新」「棚卸し」という流れで管理します。
あらかじめ固定資産管理のマニュアルを作成し、登録するタイミングや担当者、更新方法、棚卸しの手順などを明確にしておくと、担当者が変わっても同じ基準で運用しやすくなります。
取得した固定資産の台帳への登録
固定資産を取得したら、まず固定資産台帳に登録します。登録漏れを防ぐためには、購入後のどのタイミングで、誰が登録するのかを明確にしておくことが大切です。
また、資産ごとに管理番号を付与し、管理ラベルなどを現物に貼り付けておけば、台帳上のデータと実物を照合しやすくなります。
固定資産の購入部門と管理部門が異なる場合は、購入情報が管理担当者まで確実に共有される仕組みも必要です。登録までの手順をマニュアル化することで、管理漏れの防止につながります。
固定資産管理に必要な情報の記録
固定資産台帳には、資産を特定し、会計上・実務上の管理に必要な情報を記録します。
代表的な項目として、管理番号、資産名、取得年月日、取得価額、耐用年数、設置場所、使用部門、使用者、数量、状態などが挙げられます。
どの項目を記録するかは、自社の管理目的に応じて決めることがポイントです。例えば、社内で頻繁に移動するパソコンや機器であれば、設置場所や利用者なども把握できるようにしておくと、所在確認や棚卸しを行いやすくなります。
移動・貸出・廃棄に伴う情報の更新
固定資産は、取得時に台帳へ登録するだけでは十分ではありません。部署間の移動や貸出、返却、故障、廃棄、売却などが発生した際には、その都度情報を更新する必要があります。
更新が滞ると、「台帳では会議室にあるはずなのに、実際には別の部署で使われている」といった不一致が生じます。
そのため、資産を移動する際の申請方法や更新担当者などをルール化しておくことが重要です。変更が発生した段階で情報を更新する運用を定着させ、台帳と現物の状態をできるだけ一致させましょう。
定期的な棚卸しによる現物確認
固定資産管理では、台帳の情報と現物が一致しているかを確認する棚卸しも重要です。
棚卸しでは、台帳に登録されている固定資産が実際に存在するか、登録された場所で使用されているか、破損や紛失がないかなどを確認します。
その結果、移動情報の更新漏れや、廃棄済みの資産が台帳に残っていることが判明する場合もあります。定期的な棚卸しによって差異を発見し、台帳を最新の状態に保つことが大切です。また、実施時期や確認方法などをマニュアルに定めておけば、担当者による作業品質のばらつきも抑えられます。

固定資産管理はExcelでできる?メリットと注意点

固定資産管理には、紙の台帳やExcel、専用の管理システムなど、さまざまな方法があります。その中でもExcelは、導入のハードルが低く、固定資産管理を始める際に利用しやすい方法の一つです。
一方で、管理対象が増えたり、複数の拠点・部署で資産を利用したりするようになると、Excelならではの課題も生じます。Excelを使用する場合は、メリットだけでなく運用上の注意点も把握しておきましょう。
Excelで固定資産管理を行うメリット
Excelによる固定資産管理のメリットは、新しいシステムを導入しなくても始めやすいことです。
すでにExcelを業務で利用している企業であれば、使い慣れた操作で固定資産管理表を作成できます。項目の追加やレイアウト変更など、自社の運用に合わせて柔軟にカスタマイズできる点も特徴です。
管理する資産の数が比較的少なく、担当者も限られている場合には、Excelでも十分に管理できるケースがあります。まず小規模に固定資産管理を始めたい企業にとって、取り入れやすい方法といえるでしょう。
固定資産管理表に必要な項目
Excelで固定資産管理表を作成する場合は、必要な情報を漏れなく確認できるよう項目を設定します。
例えば、「管理番号」「資産名」「取得日」「取得価額」「耐用年数」「数量」「設置場所」「使用部署」「使用者」「現在の状態」などです。
重要なのは、項目を増やすこと自体ではなく、管理の目的に合わせて必要な情報を整理することです。特に現物管理まで行いたい場合は、設置場所や利用状況など、所在確認に必要な情報も記録しておきましょう。入力方法や表記ルールも統一すると、担当者ごとの記載のばらつきを抑えられます。
手入力による入力漏れ・更新忘れのリスク
Excelは手軽である一方、基本的に人が情報を入力・更新するため、入力ミスや更新忘れが発生する可能性があります。
例えば、資産を別の部署へ移動したにもかかわらずExcelの設置場所が更新されていなければ、台帳と現物の情報に差異が生じます。
また、複数の担当者が管理に関わる場合、ファイルの保存場所や更新方法が統一されていないと、どのデータが最新なのかわかりにくくなることもあります。Excelを使用する場合は、入力項目だけでなく、更新のタイミングや権限、ファイルの管理方法までルール化することが重要です。
資産の増加に伴う管理・運用の複雑化
管理対象が数十点程度であればExcelでも対応しやすい一方、数百、数千と増えるにつれて運用負担も大きくなります。
拠点や部署が増えれば、誰がどの資産を使用しているのか、どこへ移動したのかを一つのExcelだけで把握することが難しくなる場合もあります。
さらに、台帳に「設置場所」が記載されていても、情報が更新されていなければ、現物の所在を保証するものではありません。Excelによる管理に限界を感じ始めたら、固定資産管理システムや物品管理システムなど、目的に応じたツールの活用も検討するとよいでしょう。
固定資産・備品管理の課題と効率化のポイント

固定資産や備品を適切に管理するためには、台帳を整備するだけでなく、実際の「モノ」の状態を把握することも欠かせません。特に、パソコンや測定機器、共有機材、台車など、社内で移動する機会が多いものは、台帳上の設置場所と実際の所在に差が生じやすくなります。
こうした課題を解消するには、管理ルールの整備に加え、システムや位置情報技術を活用して現物管理の負担を減らすことも一つの方法です。
台帳と固定資産・備品の所在情報の不一致
固定資産・備品管理で起こりやすい課題の一つが、台帳上の情報と実際の所在が一致しないことです。
共有のパソコンや機材などは、利用者が別の場所へ移動させても、その情報が管理担当者に共有されないケースがあります。その結果、台帳に記載された場所へ行っても目的の備品が見つからず、社内を探し回ることになります。
こうした状態を防ぐには、移動時の申請や台帳更新を徹底するとともに、誰でも守りやすい管理ルールを設けることが重要です。現場の負担を考慮し、継続できる運用方法を選びましょう。
棚卸し・所在確認にかかる業務負担
固定資産や備品の数が多い企業では、棚卸しそのものが大きな業務負担になりがちです。
管理担当者が台帳を見ながら各フロアを回り、管理番号やラベルを一つずつ確認する方法では、対象が増えるほど作業時間も長くなります。所定の場所に資産がなければ、利用者への確認や別フロアの捜索が必要になることもあります。
棚卸しを効率化するには、日頃から台帳を最新の状態に保つことに加え、現物の所在を確認しやすい仕組みづくりが重要です。管理方法を見直すことで、棚卸し時に集中していた負担の軽減につながります。
位置情報を活用した固定資産・備品の所在管理
固定資産や備品の中でも、社内を頻繁に移動するモノの管理では、位置情報の活用も有効な選択肢です。例えば、ビーコンなどを利用して対象物の位置情報を取得すれば、台帳に記載された「本来の保管場所」だけでなく、実際の所在を把握しやすくなります。
特に複数の部署で共有する機材や台車、パソコンなどは、使いたいときに所定の場所にないことも珍しくありません。位置情報を活用して所在を見える化することで、担当者への問い合わせやモノを探し回る時間の削減が期待できます。
Beacapp Hereによる備品の所在の見える化
屋内位置情報サービス「Beacapp Here」は、ビーコンなどを活用し、オフィスや工場などにおける人やモノの所在地を可視化するサービスです。
備品の位置をマップ上で確認できるため、「使いたい備品がどこにあるかわからない」といった課題の解消に役立ちます。固定資産台帳や会計システムとは役割が異なりますが、台帳だけでは把握しにくい「実際の所在」を補完する手段として活用できます。
固定資産や備品を探す時間、所在確認に伴う問い合わせなどに課題を感じている場合は、位置情報を活用した管理方法も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ
固定資産管理では、資産を台帳に登録するだけでなく、取得から移動、貸出、廃棄まで継続して情報を更新し、現物と一致させることが重要です。Excelは手軽に始められる一方、資産数が増えると更新や所在確認の負担が大きくなる場合があります。
固定資産や備品の「どこにあるかわからない」「探すのに時間がかかる」といった課題には、位置情報の活用も有効です。Beacapp Hereを活用した所在の見える化によって、モノ探しや棚卸しなど、日々の管理業務の効率化を目指しましょう。
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