地震は、いつ・どこで発生するか予測できません。災害が発生した際、多くの企業では安否確認を行いますが、その前に「誰が職場にいたのか」「その時、誰がどこにいたのか」を把握できているでしょうか。
ハイブリッドワークやシフト勤務など、働き方が多様化した現在では、災害発生時の状況を正確に把握することは簡単ではありません。本記事では、災害発生時の初動対応を支える情報として、出社状況や職場内の所在を把握する重要性と、その情報をどのように活用できるのかを解説します。

災害発生時、なぜ「誰がどこにいたのか」が分からなくなるのか

災害発生時には、「誰がどこにいたのか」を把握することが重要になります。しかし、働き方の多様化やオフィス環境の変化により、その情報を正確に把握することは以前より難しくなっています。ここでは、その理由について見ていきましょう。
「その時、誰が職場にいたのか」を把握することは難しい
ハイブリッドワークやシフト勤務の普及により、毎日の出社状況は以前よりも複雑になっています。在宅勤務をしている人もいれば、外出先から直帰する人、夜勤や休日出勤をしている人など、勤務場所や勤務時間は一人ひとり異なります。
そのため、災害が発生した瞬間に「今日は誰が出社しているのか」「今この建物の中に誰がいるのか」を正確に把握することは容易ではありません。
人の記憶だけでは状況を把握しきれない
業務の中で、人は常に移動しています。会議や打ち合わせだけでなく、現場確認や設備点検、他部署への相談、倉庫での作業など、業務内容に応じて働く場所は変化します。「午前中はデスクにいた」「さっきまで会議室にいた」と分かっていても、その後に別の場所へ移動している可能性もあり、災害発生時にどこにいたのかを把握するのは困難です。
特に近年では、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)を導入する企業も増え、従来の固定席中心のオフィスと比べて、人が業務内容に応じて働く場所を自由に選ぶ機会が増えています。こうした環境では、人の所在はさらに変化しやすくなり、記憶や感覚だけで状況を把握することは一層難しくなります。
管理者が現場にいない可能性もある
災害は、管理者が職場にいるタイミングで発生するとは限りません。外出や出張、別拠点での打ち合わせ中だけでなく、夜間や休日に発生することもあります。
そのような状況では、現場にいる従業員が主体となって避難や初期対応を進めなければなりません。しかし、管理者以外の従業員が避難経路や安否確認の手順を十分に把握していなかったり、安否確認ツールを導入していても操作方法が分からなかったりすると、初動対応が遅れてしまう可能性があります。混乱した状況では、誰が避難できていて、誰が職場内に残っている可能性があるのかを落ち着いて確認することも難しくなります。
また、管理者は現場にいなくても、現場の状況を把握し、必要に応じて関係者との連携や安否確認などの対応を行うことが求められます。このような状況で適切な初動対応を進めるためには、現場と管理者の双方が同じように現場の状況を把握できることが重要です。
「誰がどこにいたのか」という情報は、なぜ重要なのか

「誰がどこにいたのか」という情報は、安否確認や初動対応を進める上で、どのような役割を果たすのでしょうか。災害発生時には、この情報が判断や対応のスピードを左右する場面も少なくありません。ここでは、その重要性について解説します。
安否確認を支える
社員の安全を確保するために、安否確認は欠かせません。近年では、安否確認ツールを導入し、災害発生時の対応を効率化する企業も増えています。安否確認ツールの多くは、従業員一人ひとりが自身の状況を回答する仕組みです。そのため、災害発生直後は通信障害や避難などの影響により、すぐに回答できない場合があることも想定しておく必要があります。
こうした状況で役立つのが、「災害発生時に誰が職場にいたのか」という情報です。災害発生時の出社状況や所在情報が分かれば、誰の安否を優先して確認すべきなのか、全員が避難できているのか、職場内に取り残されている可能性のある人はいないのかを、従業員一人ひとりからの回答を待たずに判断するための手がかりになります。
有事の初動対応を支える
災害発生直後は、避難状況の確認や現場の安全確認、関係者への連絡など、多くの対応を短時間で進めなければなりません。そのため、「誰がどこにいたのか」という情報は、初動対応を進める上で重要な判断材料になります。
例えば、「○○エリアで作業をしていた従業員は避難できているか」「会議室を利用していた人は全員避難できたか」といった情報が分かれば、現場確認の優先順位を判断しやすくなります。限られた人員で安全確認や避難誘導を行う中、確認すべき場所や対象を絞り込みながら対応を進めることができます。
また、管理者も最終的には従業員とともに避難することになります。避難場所では集まった人を目視で確認できますが、避難していない人がいた場合、それが「まだ避難中なのか」「職場内に取り残されている可能性があるのか」を判断することは容易ではありません。だからこそ、避難後も「誰がどこにいるのか」を把握できることが、現場確認や救助活動を進めるための重要な手がかりとなります。
消防庁の資料でも、災害発生時には現場の状況を正確に把握し、関係者が情報を共有しながら対応することの重要性が示されています。「誰が・どこにいたのか」という情報だけで要救助者を判断できるわけではありません。しかし、現場確認や救助活動を進めるための重要な判断材料の一つとして、初動対応を支える役割を果たします。
参考:総務省消防庁「G空間情報とICTを活用した大規模防火対象物における防火安全対策の研究開発」
https://www.fdma.go.jp/mission/develop/items/R2_seika_anzensenta.pdf

屋内位置情報が、災害時の情報把握を支える

災害発生時の初動対応では、「誰がどこにいるのか」を把握することが重要になります。しかし、災害が発生してから情報を集めようとしても、混乱した状況の中で正確な情報を把握することは簡単ではありません。そのため、日常的に人の所在を把握できる環境を整えておくことが、有事への備えにもつながります。
ここでは、屋内位置情報を活用した情報把握の方法について紹介します。
屋内位置情報で「誰がどこにいるか」を見える化できる
屋内位置情報とは、GPSの届かない建物の中で「誰がどこにいるのか」をリアルタイムで把握するための仕組みです。日常業務では、人探しやモノ探し、在席確認など、業務効率化を目的として活用されています。
業種を問わず、人は業務に応じてさまざまな場所へ移動します。そのため、「最後に見かけた場所」や「いたはず」という記憶だけでは、現在の所在を正確に把握することは困難です。屋内位置情報を活用することで、人の所在を客観的に把握できるようになり、日常業務だけでなく、有事にも役立てることができます。
Beacapp Hereは地震速報連携で災害時もサポート
Beacapp Hereでは、日常的な人探しや在席確認だけでなく、災害時の初動対応を支援するために、地震速報連携機能を提供しています。
地震速報が発令されると、災害発生時点の出社者情報を管理者へお知らせすることができます。災害発生後に一から情報を集めるのではなく、「その時、誰が職場にいたのか」を把握できるため、初動対応を進める際の判断材料として活用できます。
職場に取り残された可能性のある人を把握する手がかりに
Beacapp Hereでは、出社者情報だけでなく、災害発生時点の所在情報も確認できます。
そのため、避難場所で点呼を行った際に避難していない人がいた場合でも、「その人が災害発生時にどこにいたのか」を確認するための手がかりとして活用できます。現場確認を行う際も、職場全体を手探りで確認するのではなく、確認すべき場所や対象を絞り込みながら対応を進めることが可能になります。
もちろん、この情報だけで要救助者を判断できるわけではありません。しかし、現場確認や救助活動を進めるための重要な判断材料の一つとして、初動対応を支える情報になります。
【事例紹介】水道機工様でもBCP対策の一環として活用
水道機工株式会社様では、BCP対策の一環としてBeacapp Hereを導入いただいています。平時はフリーアドレス環境での所在確認や人探しに活用しながら、BCP対策の一環として災害時の活用も見据えた運用を行っています。
避難訓練でもBeacapp Hereを活用し、避難場所に避難してきた社員を検知できるかを検証しました。その結果、避難場所へ到着した社員を把握できたほか、避難訓練へ参加しない予定だった社員が引き続きオフィス内で検知されていることも確認できました。オフィス内での検知情報と避難場所での検知結果を組み合わせることで、避難状況の把握や、職場内に取り残されている可能性がある人を確認するための手がかりとして活用できることが確認されています。
災害時だけのために新しいツールを利用するのではなく、日常業務で使い慣れた仕組みをそのまま活用できることも、大きな特長です。普段から「今、誰がどこにいるのか」を把握できる環境を整えておくことが、有事の迅速な初動対応にもつながります。
▶︎ 水道機工様事例はこちら:https://jp.beacapp-here.com/case/suiki/

まとめ
地震は、いつ・どこで発生するか分かりません。災害発生時には安否確認だけでなく、「その時、誰が職場にいて、どこにいたのか」を把握することも、初動対応を進める上で重要な情報になります。
Beacapp Hereは安否確認ツールではありません。しかし、「誰が職場にいたのか」「どこにいたのか」という情報を把握することで、現場確認や避難状況の把握、初動対応を支える判断材料として活用できます。日常業務で使い慣れた仕組みだからこそ、有事でも落ち着いて活用できることも大きな特長です。
災害への備えは、防災用品や避難訓練だけではありません。初動対応を支える「情報」の備えについても、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
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