2026/10/26

実地棚卸とは?目的や方法、効率化のポイント、差異が発生した際の対応を解説

企業が保有する在庫や備品、機器などを適切に管理するためには、帳簿や管理台帳に記録された情報だけでなく、実際に保管されている現物の状況を確認することが重要です。そのために行われるのが「実地棚卸」です。

実地棚卸は、帳簿上の数量と実際の数量を照合し、在庫や資産の管理状況を確認するために欠かせない業務です。

しかし、対象となる物品が多かったり、複数の場所に分散していたりすると、確認作業に時間がかかることがあります。また、帳簿上の数量と実際の数量が一致しない場合には、差異が発生した原因を調査しなければなりません。

本記事では、実地棚卸の目的や基本的な方法、効率化のポイント、差異が発生した際の対応について解説します。位置情報を活用した備品管理の方法も紹介するので、棚卸業務や資産管理の改善にお役立てください。

実地棚卸とは?

実地棚卸とは、実際に保管されている在庫や備品などの現物を確認し、数量や状態を把握する作業です。帳簿や管理台帳に記録された情報と現物を照合することで、管理状況が適切かどうかを確認できます。
まずは、実地棚卸の目的や帳簿棚卸との違い、実施する必要性について理解しておきましょう。

実地棚卸の目的

実地棚卸の主な目的は、帳簿や管理台帳に記録されている情報と、実際の在庫・資産の状況が一致しているかを確認することです。企業では、商品や原材料だけでなく、パソコン、モニター、業務用機器など、さまざまな物品を保有しています。これらの数量や保管場所を正確に把握することは、適切な資産管理につながります。

例えば、帳簿上は10台のパソコンを保有していることになっていても、実際に確認すると9台しか見つからない場合があります。このような差異を放置すると、紛失や持ち出しの見落としにつながるだけでなく、必要な機器を新たに購入する際の判断にも影響する可能性があります。

また、実地棚卸では数量だけでなく、物品の状態を確認することも重要です。破損している機器や使用されていない備品を把握できれば、修理や廃棄、再配置などを検討しやすくなります。

このように、実地棚卸は現物の数量や状態を確認し、管理情報の正確性を高めるための業務です。定期的に実施することで、在庫管理や固定資産管理の精度向上を目指せます。

実地棚卸と帳簿棚卸の違い

棚卸には、実際の現物を確認する「実地棚卸」と、帳簿やシステムに記録されたデータをもとに数量を把握する「帳簿棚卸」があります。それぞれ確認する対象や方法が異なるため、違いを理解しておくことが大切です。

帳簿棚卸では、入庫や出庫、販売、廃棄などの取引記録をもとに、現在保有している数量を計算します。日々の取引が適切に記録されていれば、現物を一つずつ確認しなくても、帳簿上の在庫数量を把握できます。

一方、実地棚卸では、保管場所などを実際に確認し、現物の数量や状態を調べます。そのため、記録漏れや入力ミス、紛失、破損などによって帳簿上の数量と実際の数量に差が生じている場合も発見できます。

例えば、備品を別の部署へ移動したにもかかわらず、管理台帳を更新していなければ、帳簿上の保管場所と実際の場所が一致しません。帳簿棚卸だけでは見つけにくいこうした問題も、現物を確認することで把握しやすくなります。

両者はどちらか一方を実施すればよいというものではありません。日常的に帳簿や管理台帳を更新しながら、実地棚卸で現物と照合することで、管理情報の正確性を維持することが重要です。

実地棚卸が必要な理由

実地棚卸が必要な理由は、帳簿や管理台帳だけでは把握できない現物の状況を確認し、管理上の問題を早期に発見するためです。日々の業務では、物品の移動や持ち出し、返却、廃棄などが発生します。これらの情報が正しく記録されていなければ、管理台帳と現物の状況にずれが生じる可能性があります。

特に、複数の部署や拠点で備品・機器を共有している企業では、物品が移動した際に管理担当者への連絡が漏れたり、元の保管場所に戻されなかったりすることがあります。その結果、必要な備品が見つからず、業務の遅延や重複購入につながるおそれがあります。

また、商品や原材料などの在庫を扱う企業では、実際の数量を把握することが、適正在庫の維持や決算時の在庫評価にも関係します。棚卸対象の種類や会計上の取り扱いに応じて、適切な確認方法を定めることが必要です。

実地棚卸を定期的に実施すれば、数量の差異だけでなく、保管場所の誤りや破損、不要な物品の滞留なども発見しやすくなります。こうした情報を日常の管理に反映することで、資産の有効活用や業務効率の改善につなげられます。

実地棚卸の基本的な方法と手順

実地棚卸を正確に進めるには、事前準備から現物の確認、帳簿との照合まで、手順を整理しておくことが重要です。確認方法が担当者によって異なると、数え漏れや重複計上が発生する可能性があります。ここでは、一般的な実地棚卸の進め方を紹介します。

棚卸対象となる資産や物品を整理する

実地棚卸を始める前に、何を対象とするのかを明確にします。対象が曖昧なまま作業を始めると、確認漏れが発生したり、複数の担当者が同じ物品を重複して確認したりするおそれがあるためです。

対象となる物品は、企業の業態や管理目的によって異なります。例えば、小売業や製造業では商品や原材料、仕掛品などが対象となります。一方、オフィスではパソコン、モニター、プリンター、業務用機器などの備品・資産が管理対象になることがあります。

対象を整理する際には、物品名、管理番号、数量、保管場所、管理担当者など、必要な情報を一覧にまとめておくと便利です。固定資産台帳や在庫管理システムなど、既存の管理情報を活用すれば、棚卸対象を整理する作業を効率化できます。

また、確認する場所や担当者、実施日程、作業方法も事前に決めておきましょう。複数の部署や拠点が対象となる場合は、エリアごとに担当者を割り当てることで、作業の進捗を把握しやすくなります。

さらに、棚卸中に入出庫や物品の移動が発生すると、数量の照合が難しくなる場合があります。必要に応じて作業中の移動を制限するなど、現物と記録を正確に照合できる環境を整えることも大切です。

現物を確認して数量や状態を記録する

棚卸対象を整理したら、実際の保管場所を確認し、現物の数量や状態を記録します。対象となる物品を一つずつ確認し、帳簿や管理台帳に記載された情報と照合できるようにすることが基本です。

数量を数える際は、数え終わった物品と未確認の物品を区別できるようにすると、重複計上や確認漏れを防ぎやすくなります。例えば、確認済みの棚に目印を付けたり、管理番号を読み取って記録したりする方法があります。商品や部品など、数量が多い物品については、作業手順を統一しておくことが重要です。

また、数量だけでなく、物品の状態も確認しましょう。破損や故障がある場合、使用期限が過ぎている場合、長期間使用されていない場合などは、必要に応じてその状況を記録します。備品や機器については、管理番号や製造番号などを確認することで、台帳上の物品と現物を正しく対応付けやすくなります。

確認結果を記録する際は、後から誰が確認しても内容を理解できるように、記録方法や入力ルールを統一することが大切です。紙のチェックリストや表計算ソフト、棚卸専用のシステムなど、自社の対象数や作業規模に合った方法を選びましょう。

帳簿上のデータと実際の数量を照合する

現物の確認が終わったら、棚卸結果を帳簿や管理台帳の情報と照合します。実際の数量と記録上の数量を比較することで、差異が発生していないかを確認できます。

例えば、管理台帳ではパソコンが20台となっているのに、実際に確認できたのが18台であれば、2台分の差異が生じていることになります。
また、数量が一致していても、管理台帳に記載された保管場所と現物の場所が異なっている場合は、管理情報の更新が必要です。

差異が見つかった場合は、すぐに紛失や不正な持ち出しと判断するのではなく、まずは確認結果や記録内容に誤りがないかを調べます。棚卸時の数え間違い、入出庫の記録漏れ、部署間の移動、修理や廃棄に伴う処理漏れなど、さまざまな原因が考えられるためです。

必要に応じて、対象の保管場所を再確認したり、入出庫記録や貸出記録を確認したりして、差異の原因を調査しましょう。原因が明らかになったら、社内ルールに沿って台帳や帳簿を修正し、修正の根拠も記録しておくことが重要です。

照合結果や差異への対応を残しておけば、次回の棚卸で同様の問題が発生した際にも、原因を把握しやすくなります。棚卸結果を単に集計するだけでなく、日常の管理方法の改善に活用しましょう。

実地棚卸で発生する差異と原因

実地棚卸では、帳簿上の数量と実際の数量が一致しなかったり、台帳に記載された場所で物品が見つからなかったりすることがあります。こうした差異は、日常業務における記録漏れや物品の移動など、さまざまな要因によって発生します。原因を適切に把握することが、再発防止の第一歩です。

帳簿上の数量と実在庫が合わない原因

帳簿上の数量と実際の数量が一致しない原因には、入出庫の記録漏れ、数量の入力ミス、破損や廃棄に伴う処理漏れなどがあります。商品や原材料を扱う現場では、入荷や出荷が頻繁に発生するため、記録が実際の動きに追いついていないと、帳簿と現物の数量に差が生じる可能性があります。

例えば、商品を出荷したにもかかわらず出庫処理が行われていなければ、帳簿上の数量が実際より多くなります。反対に、入荷した商品を記録していなければ、現物の数量が帳簿上の数量を上回ることがあります。

オフィスの備品や機器でも、同様の問題が発生します。新たに購入した機器を台帳に登録していなかったり、故障した機器を廃棄した際に記録を更新していなかったりすると、管理情報と実際の状況が一致しなくなります。

差異が発生した場合は、直近の入出庫記録や購入・廃棄記録、過去の棚卸結果などを確認し、どの時点でずれが生じたのかを調査しましょう。
また、差異の原因が特定できた場合は、処理手順の見直しや入力チェックの導入など、同じ問題を繰り返さないための対策を検討することが重要です。

備品や資産の移動・持ち出しを把握できていない

備品や機器の所在が分からなくなる原因の一つに、物品の移動や持ち出しが適切に管理されていないことが挙げられます。企業では、部署間でパソコンを貸し借りしたり、会議室から別のフロアへ機器を移動したり、従業員が業務用端末を社外へ持ち出したりすることがあります。

こうした移動のたびに管理台帳を更新するルールがなかったり、更新作業が徹底されていなかったりすると、記録上の保管場所と実際の所在が異なってしまいます。結果として、棚卸時に物品が見つからず、紛失したのか、別の場所で使用されているのかを判断できなくなる場合があります。

例えば、管理台帳では特定の部署に保管されていることになっているパソコンが見つからなくても、実際には別の部署へ貸し出されているだけかもしれません。この場合、現物の数量が減ったわけではなく、移動に関する情報が更新されていないことが問題です。

こうした差異を防ぐには、物品を移動・貸し出しする際の申請や記録のルールを整備し、管理担当者が状況を把握できるようにすることが大切です。さらに、保管場所や移動履歴を確認できる仕組みを活用すれば、所在が分からなくなった物品を探す際の手掛かりになります。

記録漏れや入力ミスによって差異が発生する

実地棚卸で発生する差異には、記録漏れや入力ミスなど、管理業務上のヒューマンエラーが関係している場合もあります。物品の数量や管理番号を手作業で記録していると、数字の入力を間違えたり、確認した物品を記録し忘れたりする可能性があります。

例えば、実際には15台ある機器を14台と記録してしまうと、帳簿上の数量と現物が一致しません。また、管理番号を誤って入力した場合には、現物が存在していても台帳上の別の物品として扱われ、確認作業が複雑になることがあります。

こうしたミスは、担当者個人の注意だけに頼っていても、完全に防ぐことは困難です。記録する項目を必要な範囲に整理する、入力形式を統一する、確認者を設けるなど、ミスが発生しにくい作業手順を整えることが重要です。

また、バーコードやQRコードなどを読み取って情報を登録する仕組みを導入すれば、管理番号を手入力する手間を減らせます。ただし、読み取り対象の登録ミスや、読み取り漏れなどが発生する可能性は残るため、運用ルールの整備も欠かせません。

差異の発生原因を記録しておけば、どの工程でミスが起きやすいのかを把握できます。実地棚卸の結果を分析し、記録方法や確認手順を継続的に改善していきましょう。

実地棚卸を効率化するポイント

実地棚卸は、対象となる物品の数が多いほど、現物の確認や記録、照合作業に時間がかかります。作業の正確性を維持しながら効率化するには、対象や手順を整理するとともに、デジタル技術や管理システムを活用することが有効です。

棚卸対象や管理方法を整理する

実地棚卸を効率化するには、まず棚卸対象と管理方法を整理することが重要です。管理対象が明確になっていなかったり、保管場所や管理番号の付け方が統一されていなかったりすると、確認作業に時間がかかり、数え漏れや重複計上も発生しやすくなります。

例えば、オフィス内のパソコンやモニター、周辺機器などを管理する場合、物品ごとに管理番号を付与し、保管場所や使用部署、管理担当者などを台帳に登録しておくと、棚卸対象を特定しやすくなります。保管場所ごとに一覧を作成しておけば、担当者がどこから確認を始めればよいかも明確になります。

また、物品の種類や重要度に応じて、確認方法や実施頻度を検討することも有効です。すべての物品を同じ方法で管理するのではなく、管理上のリスクや業務への影響を踏まえて、適切な運用を設計しましょう。

さらに、棚卸の担当者や作業日程、記録方法、差異が発生した際の報告先などを事前に決めておくことで、現場での判断や確認の手間を減らせます。作業後には、実際にかかった時間や発生した問題を振り返り、次回の棚卸に向けて手順を改善することも大切です。

バーコードやQRコードなどを活用する

バーコードやQRコードを活用すると、棚卸時の物品確認や情報登録を効率化できます。物品に管理番号を付けてコードを貼り付けておけば、対応する端末で読み取ることで、管理番号や物品情報を呼び出したり、確認結果を記録したりする運用が可能です。

例えば、パソコンやモニターなどにQRコードを貼り付け、棚卸担当者がスマートフォンや専用端末で読み取る方法が考えられます。管理番号を一つずつ手入力する必要がなくなるため、入力ミスの低減や作業時間の短縮につながります。

また、読み取り済みの物品をシステム上で管理できれば、確認済みの物品と未確認の物品を区別しやすくなります。複数の担当者で作業を分担する場合も、進捗状況を共有しやすくなるでしょう。

ただし、バーコードやQRコードは、読み取り対象となる物品を識別するための仕組みであり、それだけで物品の現在位置が自動的に分かるわけではありません。コードを読み取る作業や、読み取り結果を管理台帳へ反映する手順が必要になる場合もあります。

導入時には、既存の管理台帳との連携や、棚卸結果の出力方法、読み取り端末の使いやすさなどを確認しましょう。自社の管理対象や作業環境に合った仕組みを選ぶことで、正確性と効率性の両立を目指せます。

システムで資産の情報や移動履歴を管理する

備品や機器を適切に管理するには、数量や管理番号だけでなく、保管場所や使用部署、貸出状況などの情報も一元的に管理することが重要です。表計算ソフトや紙の台帳を複数の担当者が個別に更新している場合、情報の更新漏れや記載内容の不一致が発生する可能性があります。

資産管理システムなどを活用すれば、物品の基本情報や保管場所、利用状況、貸出・返却の履歴などをまとめて管理できる場合があります。物品が移動した際に所定の手順で記録を更新することで、管理台帳と実際の状況のずれを防ぎやすくなります。

例えば、部署間でパソコンを移動する際に、移動元・移動先や利用者、移動日などを記録する運用を設ければ、棚卸時に物品が見つからない場合でも、過去の移動情報を手掛かりに調査できます。また、貸出中の備品を把握できれば、棚卸時に確認が必要な対象を整理しやすくなります。

ただし、システムを導入するだけで情報が自動的に正確になるわけではありません。物品の移動や返却が発生した際に、誰がどのように記録を更新するのかを明確にする必要があります。

棚卸業務の効率化を目指す際は、現物を数える作業だけでなく、日常の情報更新や移動管理も含めて見直しましょう。継続的に正確な情報を維持できる仕組みを整えることが、棚卸の負担軽減につながります。

実地棚卸で差異が発生したときは「所在」と「移動履歴」の確認が重要

実地棚卸で帳簿上の数量と実際の数量が一致しない場合、すぐに紛失や不正な持ち出しと判断するのではなく、まずは現物の所在や移動履歴を確認することが重要です。
特に、オフィスで利用する備品や機器は、部署間の移動や一時的な貸し出しによって、台帳に記載された場所とは異なる場所にある可能性があります。

実物がどこにあるのかを確認する

棚卸で物品が見つからなかった場合は、まず管理台帳に記載されている保管場所を再確認し、周辺の保管場所や関連する部署も調べましょう。物品が見つからないからといって、必ずしも紛失したとは限りません。別の場所へ移動していたり、一時的に貸し出されていたりするケースも考えられます。

例えば、台帳上では営業部門に保管されていることになっているモニターが見つからない場合、会議室や共用スペース、別部署の執務エリアなどに移動していないかを確認します。利用者が一時的に別の場所で使用している可能性もあるため、関係者への聞き取りも有効です。

また、管理番号や製造番号などを確認し、探している物品と同じものかどうかを照合することも重要です。似た型番の機器や外観が同じ備品が複数ある場合、物品を取り違えている可能性もあります。

こうした確認を効率的に進めるには、保管場所や利用部署などの情報を最新の状態に保つことが欠かせません。さらに、物品の所在を確認できる仕組みを活用すれば、担当者が複数の場所を探し回る負担を軽減できる可能性があります。

最後に利用・持ち出した人を確認する

物品の所在を確認しても見つからない場合は、最後に利用した人や持ち出した人に関する情報を確認することも重要です。備品や機器の貸し出し、部署間の移動、社外への持ち出しなどが適切に記録されていれば、どの時点で所在が分からなくなったのかを調べる手掛かりになります。

例えば、業務用パソコンが見つからない場合、貸出記録や返却記録、利用者の情報を確認することで、最後に誰が使用していたのか、返却手続きが行われているのかなどを調査できます。また、部署間の移動履歴が残っていれば、移動先の担当者に確認することで発見につながる可能性があります。

一方、こうした記録が残っていない場合、関係者への聞き取りや、周辺の保管場所の再確認など、調査に時間がかかることがあります。そのため、物品を貸し出す際や持ち出す際には、利用者や日時、持ち出し先、返却予定などを記録するルールを設けておくことが大切です。

なお、入退室履歴や位置情報だけで、特定の人が物品を持ち出したと断定できるとは限りません。複数の記録を照合し、事実関係を確認しながら原因を調査する必要があります。日常的に利用者や移動履歴を適切に記録しておくことが、差異発生時の迅速な対応につながります。

資産の移動を記録して差異の原因を特定する

実地棚卸で差異が発生した際に、原因を特定しやすくするためには、資産の移動を継続的に記録することが重要です。物品の保管場所や利用者が変わったにもかかわらず、管理台帳が更新されていなければ、現物を探すための手掛かりが不足してしまいます。

例えば、パソコンを別部署へ移動した場合、移動元・移動先、移動日時、利用者などを記録しておけば、棚卸時に元の保管場所で見つからなくても、次に確認すべき場所を把握できます。社外への持ち出しや修理に出した場合も、同様に記録を残しておくことで、現物が通常の保管場所にない理由を確認しやすくなります。

また、差異が発生した際には、移動履歴だけでなく、購入・廃棄記録や貸出記録、過去の棚卸結果なども照合しましょう。記録の更新漏れが原因であれば管理台帳を修正し、持ち出し手続きの不備が原因であれば、申請や返却のルールを見直すなど、原因に応じた対応が必要です。

物品の移動を記録する際は、担当者が入力しやすい方法を選び、記録の更新が滞らない運用にすることが大切です。移動の履歴を蓄積し、棚卸結果と組み合わせて活用すれば、差異の調査だけでなく、資産管理全体の精度向上にもつながります。

位置情報を活用して実地棚卸や備品管理を効率化する

実地棚卸で差異が発生した際、物品がどこにあるのかを探す作業には時間がかかることがあります。特に、備品や機器がオフィス内の複数の場所で利用されている場合、管理台帳だけでは現在の所在を把握しきれないこともあります。位置情報を活用した仕組みを取り入れることで、物品の所在確認や移動状況の把握を支援できます。

位置情報から備品や機器の所在を把握する

オフィスで使用する備品や機器の所在を把握するには、管理台帳に保管場所を記録するだけでなく、必要に応じて現在の位置を確認できる仕組みを整えることも有効です。例えば、複数の会議室で共有する機器や、部署間で貸し借りする備品は、利用する場所が変わりやすく、台帳の情報が実際の状況とずれてしまうことがあります。

位置情報を活用した資産管理の仕組みでは、対象となる物品に対応するタグや発信機などを取り付け、受信機器やセンサーなどを通じて所在情報を取得する方法があります。導入する技術や設備によって取得できる位置情報の精度や範囲は異なりますが、対象物の所在を把握する手掛かりとして活用できます。

例えば、棚卸時に特定の機器が見つからない場合、取得できる位置情報を確認することで、次に探す場所を絞り込みやすくなる可能性があります。担当者がオフィス内を一つずつ探し回る作業を減らせれば、所在確認にかかる時間の短縮にもつながります。

ただし、位置情報の仕組みだけで、すべての備品や機器の所在を常に正確に把握できるわけではありません。対象物へのタグの取り付けや設備の設置、取得範囲、更新頻度などを事前に確認する必要があります。自社の管理対象や利用環境に適した仕組みを選び、管理台帳と組み合わせて活用することが重要です。

持ち出しや移動状況を確認する

備品や機器の所在を適切に管理するには、現在どこにあるのかだけでなく、どのように移動してきたのかを把握することも重要です。特に、複数の部署で共用する機器や、社内外を移動する業務用端末などは、移動のたびに記録を更新する運用が欠かせません。

例えば、ある機器が通常の保管場所から別のフロアへ移動していた場合、移動状況を確認できれば、現在の所在を把握する手掛かりになります。
また、社外への持ち出しや返却について記録を残しておけば、棚卸時に現物が見つからない場合でも、貸し出し中なのか、返却手続きが漏れているのかを確認しやすくなります。

位置情報を活用する仕組みでは、対応する機器や設備、取得できるデータの条件によって、対象物の位置や移動状況を把握できる場合があります。ただし、位置情報だけで、誰が持ち出したのか、どのような目的で移動したのかまで分かるとは限りません。

そのため、位置情報とあわせて、利用者や貸出・返却の記録を管理することが大切です。物品の移動を把握する仕組みと、移動時の申請・記録ルールを組み合わせることで、所在確認の効率化と管理情報の正確性向上を目指せます。

実地棚卸後の差異確認や資産管理に活用する

位置情報を活用した仕組みは、実地棚卸そのものを代替するものではありませんが、棚卸後に差異が発生した際の所在確認を支援する方法として活用できます。現物を確認して帳簿上の数量と照合する作業は引き続き必要ですが、物品の所在に関する情報が得られれば、差異の原因を調べる際の手掛かりになります。

例えば、棚卸時に管理台帳に記載された場所で機器が見つからなかった場合、取得できる位置情報を確認し、別の場所にある可能性を調べることができます。
また、利用者や貸出・返却の履歴と照合すれば、物品が見つからない原因が保管場所の変更なのか、記録漏れなのかを調査しやすくなります。

Beacapp Hereは、位置情報を活用してオフィス内の所在を可視化するサービスです。対象となる備品や機器について、利用するタグや設備、データの取得方法などが要件に合う場合には、所在確認や移動状況の把握を支援する仕組みとして活用を検討できます。

ただし、Beacapp Hereがあらゆる物品の位置や持ち出し履歴、最後に利用した人を自動的に特定できるわけではありません。対象物への対応や利用者情報との紐づけ、取得できるデータの範囲など、実際の運用条件を確認する必要があります。

棚卸業務の改善を検討する際は、現物の確認方法だけでなく、日常の所在管理や移動記録の運用も見直しましょう。棚卸結果と位置情報、資産管理台帳などを組み合わせることで、差異が発生した際の調査負担を軽減し、より正確な資産管理につなげられます。

まとめ

実地棚卸は、在庫や備品、機器などの現物を確認し、帳簿や管理台帳に記録された情報と照合するための重要な業務です。正確な資産管理を実現するには、棚卸対象や確認手順を整理し、現物の数量や状態を記録したうえで、差異が発生していないかを確認する必要があります。

差異が発生した場合は、すぐに紛失や不正な持ち出しと判断するのではなく、保管場所や移動履歴、貸出・返却記録などを確認し、原因を調査することが大切です。日常的に物品の所在や移動を記録する仕組みを整えておけば、棚卸時の確認作業を効率化しやすくなります。

また、バーコードやQRコード、資産管理システムなどを活用することで、現物の識別や記録作業を効率化できます。位置情報を活用した仕組みも、対応する備品や機器の所在確認を支援する方法の一つです。

Beacapp Hereのような位置情報サービスを活用する際は、取得できる情報や対象物への対応を確認したうえで、資産管理台帳や移動記録と組み合わせて運用することが重要です。自社の管理対象や課題に合った方法を選び、実地棚卸の効率化と正確な資産管理を実現しましょう。


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