2023/01/17

オフィスDXとは?フリーアドレスやABW、働き方改革で変わるオフィスのカタチと価値

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労働人口の減少などが影響し、働き手の働く環境のニーズは変わりつつあります。内閣が推進している政策である「働き方改革」は、今の労働者が働きやすい環境の創出を目指したものです。「働き方」を変え、定着させるために働く環境も合わせて改善していきましょう。

働き方改革とオフィスDX

働き方改革とは

労働力の主力となる生産年齢人口(15~64歳)は、想定を上回るペースで減少しています。このままでは国全体の生産力低下・国力の低下は避けられないとして、生産年齢人口を増加させるべく、内閣が本格的に乗り出した政策が「働き方改革」です。

日本では兼ねてから長時間労働や頻繁な休日出勤など、生活が仕事一辺倒となることが問題視されています。生産年齢人口を増やすために着目されたのが女性や高齢者などの仕事に従事していなかった人々ですが、介護や育児など日常生活を支えるための労働を行う彼らを働き手として迎え入れるためには仕事一辺倒な生活を強いることは難しく、この労働環境の改善が必要でした。

また単身世帯や共働き世帯の増加、人材の流動性の高さが特徴的な現代では、働き手のニーズも多様に変わりつつあります。その中で従来の基本だった「男性が大黒柱として一家を養い、生涯一つの企業で働き続ける」ことを想定した労働環境の整備は現実的ではなくなっています。

個人によって抱える問題もさまざまのため、家事・育児・介護などの日常生活の務めと仕事の両立が欠かせません。「ワーク・ライフ・バランス」の実現に向け、働き方を選択できることが現代の働き手から求められています。仕事とプライベートをバランスよく両立し「人間らしく生きる」ことで、企業も個人も利益を得られることを期待されているのが「働き方改革」です。

ワークライフバランス

オフィスDXとは

DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の通称で、直訳すると、「デジタルへの変革」です。経済産業省が公表した「DX推進指標」によれば、DXは次のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

(引用元:「DX 推進指標」とそのガイダンス

DXについて端的にいえば、デジタル技術を活用して既存の業務やビジネスモデルを変革し、継続的な企業の成長を促すことと言えるでしょう。DXは経済産業省が提唱する「2025年の壁」に向けた対策としても注目されていますが、その進行状況は万全とはいえず、困難を極めている現状があります。

▶︎「2025年の壁」について、詳しくはこちら

オフィスDXへの挑戦-2025年の壁に立ち向かえ、成功と失敗から学ぶ「成功の秘訣」-

さて、オフィスDXに明確な定義はありませんが、先述したDXの意味と合わせて考えるとITツールやシステムなどのデジタル技術を活用してオフィスで抱える課題を改善し、データをもとに継続的な改善を続けていくことで業務効率や生産性の向上を実現すること」と言えるでしょう。つまり、進歩したデジタルの力を活用して我々の労働環境を整え、企業の継続的な成長も促そうとする働きがオフィスDXなのです。

働き方改革

働き方改革×オフィスDX

働き方と働く環境は切り離して考えることができません。働き方を変えていくのであれば、それに伴った働く環境の整備が必要ですし、逆もまた然りです。働き手のニーズに合わせた新しい働き方とそれを実現できる働く環境を合わせて検討していくことが大切でしょう。

新しい働き方|ABW

今の労働者が求める働き方を一言でいえば「ワーク・ライフ・バランス」です。労働者一人ひとりがさまざまな問題を抱えている中で、その個人が抱える問題に配慮しつつ、働きやすいと思ってもらえる企業づくりをするために、どのような働き方が考えられるでしょうか。

自由な働き方 ハイブリッドワーク テレワーク 

ABW(Activity Based Working)とは

ABW(Activity Based Working)とは、社員一人ひとりがその日の業務内容や気分に合わせて、働く場所や時間を選ぶことができる働き方です。ABWではオフィスはもちろん、自宅やサテライトオフィス、カフェなどが仕事場となります。集中して書類作成などの事務業務を行いたい場合は自宅で、他のメンバーと意見交換などをして新企画の立案をしたい時などはオフィスで、などと社員が働く環境を選択することができます。

働き手のニーズの変化に伴って自由度の高い働き方を採用する企業が増えている中で、ABWは自由度が極めて高いワークスタイルということができるでしょう。

ABWのメリット

働き方の自由度が高まることがABWの大きなメリットです。

具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。

⚫️業務効率・生産性の向上

集中して行いたい業務、メンバーと意見交換をしながら行いたい業務、業務内容によって求める環境は様々です。また人によっては自宅でないと集中できない人もいますし、反対に自宅では集中できない人もいます。人によって、業務によって求める業務環境は様々です。ABWでは個々に自由に働く場所を選ぶことができるようになるので、業務や気分に適した環境を選択し、業務効率を向上させ、生産性の向上に働きかけることができるようになります。

⚫️ワークライフバランス

オフィス以外の働く場所(自宅やサテライトオフィスなど)を選択できることで通勤時間を大幅に節約することができ、介護や育児などの時間を確保することができるようになります。また自由に使える時間が増え、スキルアップや自己研鑽、趣味に時間を費やすこともできるでしょう。仕事以外のプライベートにかけられる時間が増えることで、社員の満足度も向上します。

●コストの削減

ABWでは社員が自律的に出社するかどうかを選択できるため、毎日全ての社員が出社するわけではありません。つまり一人一台のデスクを必ず用意しなければならないということはなく、ABWの導入とともに座席のフリーアドレス化も進めることで、全社員分のデスクなどの準備費用や広いオフィスの維持費用の削減を検討することができるでしょう。

⚫️人材の確保

自由度の高い働き方であるABWを導入することで働きやすい会社というイメージが広まり、採用力が高まるという効果が期待できます。また「働きやすい環境」ということで社員の帰属意識を高め、人材の流出抑制も期待できるでしょう。優秀な人材の確保と定着率の向上により、企業の成長を促すことができます。

ABWのデメリット

メリットの多いABWですが、無計画に導入しても期待通りの効果を得ることはできません。従来のスタンダードな働き方(毎日オフィスに出社して、固定席で働くこと)に慣れている人は、毎日働く場所を変えることを億劫に感じ、結局いつも同じ環境で働くことになるかもしれません。また社員単位で働く場所を選択できるので、労務管理が難しくなることが想定されます。ABWの導入によって一般社員が働きやすくなる一方で、労務管理を行う管理部門の社員の業務が圧迫されては意味がありません。

全ての社員が等しく働きやすい環境を得るためには、ABWを導入する目的を明確にし、そのための準備をしっかりすることが重要です。ABWでは社員同士が対面で接する機会が減少する可能性もあると考えられるので、コミュニケーション活動に支障が出ないようにすることにも配慮が必要です。あらゆる懸念点を考慮し、目的と照らし合わせ、ITツールの導入や社内ルールの整備などの準備を整えて導入に着手しましょう。

新しいオフィス|フリーアドレス

新しい働き方の効果を最大限発揮するために、オフィスのカタチも変化しつつあります。オフィスの中で自由に座席を選ぶことができる「フリーアドレス」についてご紹介します。

オフィス

フリーアドレスとは

フリーアドレスとは、オフィスの中で固定席を持たないオフィススタイルです。図書館の閲覧室のように、共有席の中から自分が座りたい場所に座って業務につくスタイルで、オフィスのスペースを有効活用することができます。

ノートパソコンなどのモバイルツールや無線LANの整備など、テクノロジーの進歩により仕事のためのツールを持ち運べるようになりました。場所にこだわらず働けるようになったことで、フリーアドレスという働く場所を選択できるカタチがオフィスレイアウトの選択肢のひとつとなっているのです。

フリーアドレスのメリット

フリーアドレス普及の背景には働き方改革によって、ABWやテレワークなどのオフィスに出社しないという働き方が一般化してきたこともあります。毎日全社員が出社しない、つまり、毎日全社員分の座席を設置しなくてもいいという状況だからこそのメリットが様々あります。

⚫️オフィスのレイアウトや組織体制の変更が手軽になる

座席と人、座席と部署が紐づいていないので、組織体制変更時に大掛かりな座席移動もなく、臨機応変に対応することができます。

⚫️業務の質を向上させるようなオフィスレイアウト

人によって集中できる環境は異なり、また業務内容によっても進行しやすい環境は異なります。フリーアドレスのオフィスでは「個室」「執務エリア」「カフェエリア」「ミーティングエリア」など、業務カテゴリーに分けて座席を選ぶことができるようにレイアウトすることで業務効率や質の向上を図ることができるようになります。

⚫️社内コミュニケーションの促進

日によって座席を変えることで、たまたま近くに座った他部署の人間とコミュニケーションが取れるようになるなど、従来の固定席スタイルでは生まれにくかった交流を生み出すきっかけを作ります。これによって新たな情報を得ることができたり、また新たな発想やアイデアが生まれることにつながるかもしれません。

⚫️オフィスの有効活用

不要なデスクスペースを削減し、別の使い方をすることでオフィスの有効活用ができるようになります。また不要スペースが多いようであればオフィス移転をし、省スペース化を図ることでコスト削減に繋げることもできます。

フリーアドレスのデメリット

フリーアドレスもABW同様無計画に導入を進めても、期待通りの効果を得られないことがあります。やはり同じ席をずっと使ってしまう人が出てきたり、誰がどこにいるのかわかりにくくなってしまうことが懸念されるため、コミュニケーションの不足や同じ部署・チームの社員の業務状況の管理・把握がしづらくなることが心配されます。

また固定席に慣れている社員からは不安の声が上がりやすいという特徴があります。「自分の席(居場所)がなくなる」「部下の居場所がわからない」「手荷物の移動が手間」などの不安の声に対処するためにも、フリーアドレス導入の目的を明確にし、社員にしっかり浸透させることが大切です。またABW導入時同様、ITツールの導入を検討したり社内ルールを設けるなどの配慮も必要です。

オフィスの価値

ABWなどの新しい働き方では、働く場所をオフィスに限定しないものが多くなっています。そもそも「オフィスは必要なのか?」と考える方もいるかもしれませんが、フリーアドレスの導入などによりオフィスの最適化を行うことで、オフィスの価値を最大限引き出すことができます。

新しい働き方では個人のライフワークバランスを保つために個人が働く環境を選択でき、自由度が高いことがメリットとしてあげられます。その一方で社員間のコミュニケーション不足が不安視されており、それに伴った帰属意識の低下も懸念点としてあげられます。また取引先などの社外の人物と対面で会う機会があった際にも、サテライトオフィスやファミレスなどでは取引先として不安を抱かせてしまうでしょう。

New Normal

オフィスは従来の「業務を行う場所」から、「社員交流の場」「企業の顔」として、その役割を変化させています。現在の役割に即したオフィス環境の整備を行うことで、オフィスの価値を最大限に引き上げることができるでしょう。オフィス整備は単純なオフィスのレイアウトの変更などだけではありません。課題や問題に準拠したITツールの導入の検討もその一つです。テクノロジーの進化により今までできなかったことができるようになっていたり、人力では難しいことがテクノロジーの力でできるようになっています。オフィスの最適化を図る際、DX化を視野に入れてみることでできることが広がる可能性があります。まずは目標・目的・狙いを明確にし、それを実現するためには何が必要なのか、懸念点は何か、解消法として何ができるかを考えていきましょう。

まとめ

働き方改革により働き方が変化することで、最適なオフィスのカタチも変化しています。今の働く環境に適したオフィスのカタチに変化させることでオフィスの価値を最大限引き出し、「業務を行う場所」に止まらない運用ができるようになるでしょう。オフィスの最適化を行う際には人力でできることや既存のシステムだけに頼らず、新しいITツールの導入を検討するなどのDX化も視野に入れることでその幅を広げることができます。「働き方改革」と「オフィスDX」を合わせて考えることで、より良い理想的な労働環境を手に入れましょう。

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