企業の生産性向上を実現する上で、従業員エンゲージメントを高めることは重要な取り組みの1つです。しかしながら、従業員エンゲージメントの重要性や高める方法について正しく理解している人事担当者の方は少ないはずです。
そこで本記事では、従業員エンゲージメント向上のメリットや方法についてご紹介します。
本記事をお読みいただくことで、従業員エンゲージメント向上の方法について理解を深め、自社の職場環境でも活かせるようになりますので、是非とも最後までお読みください。
従業員エンゲージメントとは?
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業やそのミッション、ビジョンに対してどれだけの情熱やコミットメントを持っているかを示す指標です。
具体的には、従業員が自分の仕事に対してどれだけの満足感や意義を感じているか、また企業の目標達成に向けてどれだけ積極的に貢献しようとしているかを測るものです。
従業員エンゲージメントが高い状態では、従業員は自発的に仕事に取り組み、企業の成功に向けて積極的に行動します。逆にエンゲージメントが低い場合、従業員は仕事に対して無関心であり、生産性やモチベーションが低下する可能性があります。
従業員エンゲージメントの要素
従業員エンゲージメントを高めるためには、次のような要素が重要となります。
- 信頼関係
- コミュニケーション
- 成長機会
- 報酬と評価
まず第一に、「信頼関係」が挙げられます。従業員と上司、同僚との間に信頼が築かれていることは、エンゲージメントを高める基本です。信頼関係があることで、安心して仕事に取り組むことができ、結果として生産性も向上します。
次に、「コミュニケーション」の質も重要です。オープンで透明性のあるコミュニケーションが行われる職場では、自分の意見やアイデアを自由に発言することができます。
さらに、「成長機会」の提供も欠かせません。成長の機会があることで、従業員は将来に対する期待感を持ち、仕事に対する意欲も増します。
最後に、「報酬と評価」の適切さもエンゲージメントに大きく影響します。努力が正当に評価され、適切な報酬が与えられることで、仕事に対する満足感を得ることができます。
従業員エンゲージメントが注目される背景
近年、企業の競争力を維持・向上させるために、従業員エンゲージメントが重要な要素として注目されています。その背景には、いくつかの要因が挙げられます。
労働市場の変化
まず、労働市場の変化が大きな要因です。
少子高齢化に伴い労働力人口が減少する中で、優秀な人材を確保し、長期的に働いてもらうためには、従業員の満足度やエンゲージメントを高めることが不可欠です。
従業員が企業に対して高いエンゲージメントを持つことで、離職率が低下し、安定した労働力を維持することができます。
働き方改革の推進
また、働き方改革の推進もエンゲージメントの重要性を高めています。
柔軟な働き方やワークライフバランスの向上が求められる中で、従業員が自分の仕事に対して意義を感じ、積極的に取り組むことが求められています。
これにより、企業全体の生産性や業績が向上することが期待されます。
グローバル化の進展
さらに、グローバル化の進展も無視できない要因です。
国際競争が激化する中で、企業は迅速かつ柔軟に対応する必要があります。そのためには、従業員が自発的にアイデアを出し合い、協力して問題解決に取り組む姿勢が求められます。
高いエンゲージメントを持つ従業員は、こうした環境下での適応力が高く、企業の競争力を支える重要な存在となります。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントを高めることには、企業にとって多くのメリットがあります。
- 離職率の低減につながる
- 職場の活性化につながる
- モチベーション向上につながる
- 顧客満足度が向上する
ここでは、各メリットについて解説します。
離職率の低減につながる
従業員エンゲージメントを高めることは、離職率の低減に直結する重要な要素です。
従業員が自分の仕事に対して高いエンゲージメントを感じている場合、職場に対する満足度が向上し、長期間にわたって企業に貢献し続ける意欲が高まります。
エンゲージメントが高い従業員は、自分の役割や職務に対して強い責任感を持ち、会社の目標達成に向けて積極的に取り組む姿勢を示します。このような従業員は、職場でのストレスや不満を感じにくく、離職を考える機会も少なくなります。
職場の活性化につながる
従業員エンゲージメントを高めることは、職場の活性化に直結します。
エンゲージメントが高い従業員は、自ら進んで業務に取り組み、チーム全体の士気を高める役割を果たします。彼らは積極的に意見を出し合い、問題解決に向けて協力する姿勢を持っています。このような環境では、コミュニケーションが円滑に行われ、情報共有がスムーズになります。
また、エンゲージメントが高い従業員は、他のメンバーに対してもポジティブな影響を与えます。彼らの前向きな姿勢や努力は、周囲の人々にも良い刺激を与え、全体のモチベーションを引き上げます。結果として、職場全体が活気づき、創造性や生産性が向上します。
モチベーション向上につながる
従業員エンゲージメントを高めることは、従業員のモチベーション向上に直結します。
エンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事に対して強い責任感を持ち、積極的に取り組む姿勢を示します。これにより、日々の業務に対する満足感が増し、結果として高いパフォーマンスを発揮することができます。
また、エンゲージメントが高い職場では、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、チームワークが向上します。これにより、個々の従業員が孤立することなく、互いにサポートし合う環境が整います。
顧客満足度が向上する
従業員エンゲージメントが高まると、顧客満足度も自然と向上します。
これは、前述のように、従業員の離職率低下、モチベーション向上により労働生産性が向上し、提供するサービス品質が向上するためです。
継続的にサービス品質が向上すると、その結果として顧客満足度も向上します。
従業員エンゲージメントを高める施策
従業員エンゲージメントを高めるには、次にあげるような施策が有効です。
- ミッション・ビジョンの浸透
- 人事制度の見直し
- 従業員の成長につながる制度や機会を提供
- チームビルディングの実施
- オフィス環境の改善
- 上司のフィードバック能力向上
ここでは、各施策について解説します。
ミッション・ビジョンの浸透
従業員エンゲージメントを高めるためには、企業のミッションやビジョンを従業員にしっかりと浸透させることが重要です。
ミッションやビジョンは、企業が目指す方向性や価値観を示すものであり、従業員が日々の業務において何を目指すべきかを明確にします。
まず、ミッション・ビジョンを浸透させるためには、経営陣が率先してその重要性を伝えることが必要です。定期的な全社ミーティングや社内報を通じて、ミッション・ビジョンについてのメッセージを発信することも有効です。
これにより、従業員エンゲージメントが高まり、企業全体の生産性向上にも寄与するようになります。
人事制度の見直し
従業員エンゲージメントを高めるためには、人事制度の見直しが欠かせません。従業員が自分の役割や評価基準を明確に理解し、公平に評価される環境を整えることが重要です。
まず、評価制度の透明性を高めることが必要です。評価基準やプロセスを明確にし、従業員がどのように評価されるのかを理解できるようにします。これにより、従業員は自分の努力が正当に評価されると感じ、モチベーション向上に繋がります。
次に、キャリアパスの明確化も重要です。従業員が自分の成長やキャリアの方向性を見据えられるように、昇進やスキルアップの機会を提供します。これにより、従業員は長期的な視点で自分のキャリアを考えることができ、企業へのコミットメントが高まります。
従業員の成長につながる制度や機会を提供
従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員が自己成長を実感できる制度や機会を提供することが重要です。
具体的には、スキルアップのための研修プログラムやキャリアパスの明確化、メンター制度の導入などが挙げられます。これらの取り組みによって、従業員は自分の成長を実感し、仕事に対するモチベーションが向上します。
チームビルディングの実施
従業員エンゲージメントを高めるためには、チームビルディングの実施が効果的です。
チームビルディングとは、従業員同士のコミュニケーションを促進し、協力関係を築く活動を指します。これにより、職場内の信頼関係が強化され、従業員が一体感を持って働くことができるようになります。
チームビルディング取り組みの方法としては、ワークショップやセミナー開催、また社内イベントの企画などにより、従業員同士が交流できる機会の創出が可能です。結果として、企業全体の生産性や業績向上にも寄与することが期待されます。
オフィス環境の改善
従業員エンゲージメントを高めるためには、オフィス環境の改善が欠かせません。
快適で機能的なオフィスは、従業員の働きやすさを向上させるだけでなく、創造性や生産性の向上にも寄与します。
例えば、自然光を取り入れた明るい空間や、リラックスできる休憩スペースを設けることで、従業員のストレスを軽減し、リフレッシュする機会を提供できます。
また近年では、屋内位置情報サービスの導入が進んでおり、従業員や備品をリアルタイムで可視化できるようになっています。これにより、従業員の行動に合わせた最適なオフィス環境を整備できるようになってきています。
関連記事: 屋内位置情報サービスの精度と種類|GPSとの違いや活用事例を具体的に解説
上司のフィードバック能力向上
従業員エンゲージメントを高めるためには、上司のフィードバック能力を向上させることが不可欠です。
フィードバックは、従業員が自身の業務に対する理解を深め、成長するための重要な手段となります。しかし、適切なフィードバックを提供するためには、上司自身がそのスキルを持っている必要があります。
フィードバックは、具体的かつタイムリーであることが重要です。そしてフィードバックスキルを向上させるための研修やトレーニング受講も有効となります。
上司のフィードバック能力向上は、従業員エンゲージメントを高めるための重要な要素です。適切なフィードバックを通じて、従業員の成長を促し、職場全体のエンゲージメントの向上が期待できます。
従業員エンゲージメントの調査方法
従業員エンゲージメントを高めるためには、アンケート調査やエンゲージメントサーベイを実施し、現状把握することが重要です。
ここでは、各調査手法について解説していきます。
アンケート調査
従業員エンゲージメントの調査方法としては、アンケート調査が有効です。
アンケート調査は、従業員の意見や感情を直接収集する方法であり、組織全体のエンゲージメントレベルを把握するために役立ちます。
アンケート調査を実施する際には、質問項目を具体的かつ明確に設定することに加え、匿名性を確保し、従業員が自由に意見を述べられる環境整備が求められます。
また、アンケート結果を分析し、具体的なアクションプランを策定することも重要です。結果をただ収集するだけではなく、得られたデータを基に改善策を講じることで、従業員エンゲージメントの向上に繋がります。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、従業員エンゲージメントの状態を定量的に把握する重要なツールです。この調査は、従業員がどれだけ会社に対して忠誠心を持ち、仕事に対してどれだけ熱意を持っているかを測定することを目的としています。
具体的には、従業員の満足度、仕事の意義、職場環境、上司との関係、キャリアの成長機会など、多岐にわたる項目について質問が行われます。
エンゲージメントサーベイの結果は、企業が従業員の声を直接聞き、現状の問題点や改善点を明確にするための貴重なデータとなります。
これにより、企業は従業員のニーズや期待に応えるための具体的な施策を講じることができます。また、定期的にサーベイを実施することで、エンゲージメントの変化を追跡し、施策の効果を検証することも可能です。
従業員エンゲージメントの高い企業事例
従業員エンゲージメントを高めることに成功している企業の事例を紹介します。
ユーザベース
ユーザベースは、従業員エンゲージメントの向上に成功している企業の一例です。同社は、情報サービスを提供する企業として、従業員の意欲と満足度を高めるためのさまざまな施策を実施しています。
まず、ユーザベースはミッション・ビジョンの浸透に力を入れています。2015年1月に「カルチャーチーム」という組織を立ち上げ、現場の課題を吸い上げ、経営層に伝え、解決策をフィードバックする取り組みを行っていました。
全社員が共通の目標に向かって働くことで、組織全体の一体感が生まれ、エンゲージメントが向上します。また、定期的なフィードバックや評価制度を導入し、従業員一人ひとりの成長をサポートしています。
これらの施策を実施することで、従業員エンゲージメントを向上させ、生産性向上を実現しています。
Starbucks(スターバックス)
スターバックスは、従業員エンゲージメントの高い企業として広く知られています。その成功の背景には、従業員一人ひとりを大切にする企業文化と、従業員の成長を支援する多様な施策が存在します。
まず、スターバックスは従業員を「パートナー」と呼び、対等な関係を築くことを重視しています。この呼称は、従業員が企業の一員として尊重されていることを示し、エンゲージメントを高める要因となっています。
また、スターバックスは従業員の教育と成長に力を入れています。例えば、バリスタトレーニングプログラムやリーダーシップ開発プログラムを提供し、従業員がスキルを磨き、キャリアを積む機会を提供しています。
これらの取り組みが相まって、スターバックスは高い従業員エンゲージメントを維持し、顧客満足度の向上にもつながっています。
まとめ
従業員エンゲージメントを高めることは、企業の生産性向上や離職率の低減、職場の活性化など、多くのメリットをもたらします。
従業員エンゲージメントを高めるためには、ミッション・ビジョンの浸透や人事制度の見直し、オフィス環境の改善など、様々な取り組みが必要です。
また、オフィス環境改善では、屋内位置情報サービスを活用した分析が効果的です。これから従業員エンゲージメント向上のためにオフィス環境の改善を検討されている方は参考にしてみてください。
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