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2023/09/22

『見える化』で社員が安心して働ける環境を作る。新しい働き方における「社員の安全確保」とは?

全ての社員が毎日オフィスへ出社し、自分のデスクがあり、一日の業務を自分のデスクで終える…これまでは当たり前だったこんな働き方が、今、変化しつつあります。働き方が変化する中で変わらないものは、働く主体が「人」であるということと企業には「社員の安全を守る義務がある」ということです。

本記事では新しい働き方における「社員の安全確保」についてご紹介します。

新しい働き方とは

少子高齢化に伴う生産労働人口の減少により、現代では人手不足が深刻な問題となっています。危機感を抱いた政府により推進されていた働き方改革は、感染症拡大の影響を受けて、半ば強制的に推し進められることとなりました。

働き方改革に取り組む中で重要なポイントは、現代の働き手のライフスタイルが多様化しているということです。これまでは「働く」といえば、オフィスにいく、自分の席で働く、定められた所定労働時間が原則でした。また所定労働時間を大幅に超えた長時間労働などの深刻な問題も抱えていたのことも、これまでの働き方の特徴といえるでしょう。

働き方改革が推し進められる背景には、このような働き方が身体的・精神的に支障をきたす恐れがあることももちろんですが、少子高齢化や核家族化、単身世帯の増加などが進み、労働者が家事や育児、介護などの家庭の役割も担う必要が出てきたことにあります。つまり現代の労働者は、これまでの仕事を軸に置いた生活をすることが難しく、仕事とプライベートのバランスを求めるようになったということです。これをきっかけに「ワーク・ライフ・バランス」という言葉も広がりをみせました。

ワークライフバランス

では現代の労働者が求める「ワーク・ライフ・バランス」とはどのようなものでしょうか。労働者と一括りに言っても、それぞれ抱える事情が違います。育児をしている人もいますし、介護をしている人もいます。このような人は長時間外出することが難しい場合もあるでしょう。そのような人にとっては通勤時間の必要ないテレワークはとてもメリットに感じるでしょうが、反対に自宅では集中できる環境がないのでオフィスワークがしたいと思う人もいるかもしれません。このような労働者のライフスタイルの特性に合わせて、働き方を選ぶことができる、そんな多様性が重要視された働き方こそ「新しい働き方」なのです。

多様性を認めた新しい働き方をご紹介

ハイブリッドワーク

ハイブリッドワークは、オフィスに出社して働くオフィスワークと、自宅やシェアオフィスなどを活用して働くテレワークを組み合わせた働き方です。

オフィスワークでは社員が集る環境が用意されているため射員同士の連携が取りやすく、モチベーションが維持しやすいといったメリットがあります。一方で通勤に時間がかかる、遠方に住んでいるので就業先を限定してしまうというデメリットもあります。また企業は社員全員が着席し、業務につくことのできる広いオフィスやデスクなどの備品を用意しなければならないので、コストがかかってしまうというリスクもあります。

テレワークでは通勤の必要がないため「居住先」と「勤務先」に囚われることがなく、それぞれのライフスタイルに適応した働き方ができるでしょう。企業にとっても遠方に住む人も採用できるため人材の確保がしやすく、オフィスの省スペース化ができることでコストの削減を望むこともできます。しかし、オフィスという社員の集まりやすい環境が用意されていないテレワークでは、社員同士のコミュニケーション不足が問題となっています。社内のコミュニケーションが不足することで部下やチームメンバーの管理が複雑になり、業務効率の低下、生産性の低下などの影響を及ぼしてしまうなどのデメリットもあります。

オフィス 人

オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークでは、その日の業務内容や状況に応じて、社員一人ひとりがその日に働く場所を選択します。企業にとっては社員全員分のデスクを用意する必要もなくコスト削減に繋げることができますし、社員にとってはライフワークバランスを重視した働き方ができ、満足度の高い、働きやすい環境を得ることができます。

* ハイブリッドワークについて詳しくはこちら

新しい働き方“ハイブリッドワーク”について|メリットと導入成功の秘訣について解説

ABW

ABW(Activity Based Working)は、社員一人ひとりが、その日の業務内容や気分に合わせて働く場所や時間を選ぶことができる働き方です。ハイブリッドワークでは働く場所を選択することができますが、ABWは時間も選択できることが大きなポイントです。働き手のニーズの変化に伴って自由度の高い働き方を採用する企業が増えている中で、ABWは自由度が極めて高いワークスタイルということができるでしょう。

業務の内容によって、人によって働きやすい環境は異なります。社員各々に最適な環境が用意されることになるので、社員満足度の向上はもちろん、生産性の向上にも寄与することができるでしょう。

* ABWについて詳しくはこちら

オフィスDXとは?フリーアドレスやABW、働き方改革で変わるオフィスのカタチと価値

ワーケーション

ワーケーションとは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地など、普段のオフィスとは離れた場所で休暇を楽しみながら働くスタイルのことです。

ワーケーションは、主な目的や働く場所に応じて「休暇型ワーケーション」と「業務型ワーケーション」の2種類に分類されます。「休暇型ワーケーション」の具体例としては、有給休暇と組み合わせてリゾート地や観光地に長期滞在しつつテレワークを行うといった働き方が挙げられます。「業務型ワーケーション」は、合宿のような形でオフィスとは違う場所に赴き、ディスカッションやグループワークを行う働き方や、特定の地域へ移住・定住し、地域課題の解決のために働くといった働き方があります。

いずれもオフィスとは異なる環境で労働することに変わりはなく、先述したハイブリッドワークやABWのように社員の希望やライフスタイルに沿った働き方ができるということで、社員満足度の向上や生産性の向上に寄与することができるでしょう。

自由な働き方 ハイブリッドワーク テレワーク 

フリーアドレス

フリーアドレスとは、オフィスの中で固定席を持たないオフィススタイルです。図書館の閲覧室のように、共有席の中から自分が座りたい場所に座って業務につくスタイルで、オフィスのスペースを有効活用することができます。オフィススペースを有効に活用することで、企業はコストの削減やレイアウト変更の手軽さといった効果を得ることができます。

フリーアドレスのオフィスでは内容に合わせた環境で業務につくことができるよう、コミュニケーションエリアや集中エリア、Web会議のための個室ブースや休憩のためのカフェアリアなど様々なエリアが用意されています。社員は自分が”今”働きやすい環境をオフィスの中で選んで働くことができるため、満足度の向上、業務効率の向上を期待することができます。このエリアを使い分けて働くことも、一種の新しい働き方ということができるでしょう。

* フリーアドレスについて詳しくはこちら

「座席」のIoT化でフリーアドレスの課題を解決|最新テクノロジーの導入で手に入れる理想のオフィス環境

バーチャルオフィス

デジタルテクノロジーの発達により、働く場所は現実空間に止まることなく、バーチャル空間にまで広がっています。バーチャルオフィスではアバターを操作して、オンライン会議システムなどではまだ実現の難しい、離れた場所にいるのにまるで対面して接しているかのようなコミュニケーションの実現に期待が集まっています。

これまでは社内コミュニケーションといえば、対面、もしくは電話かメールぐらいでしたが、働き方の変革に伴い、Web会議やチャットなど、その方法も多様化しています。新しい働き方において重要なのは、その中でどのコミュニケーション方法を選択するのかということです。対面で話したいけれど、お互いの事情があって今は同じオフィスに赴くことができない、そんな時はバーチャルオフィスを活用することで、電話よりもWeb会議よりも、よりリアルなコミュニケーションを実現し、業務効率の向上や社員満足度の向上に寄与することができるでしょう。

新しい働き方の注意点

新しい働き方では、場合によっては社員の状況が見えにくくなってしまうということが注意するポイントです。たとえばハイブリッドワークを採用している企業では、その社員が出社しているのか、出社していないのか、管理部門どころか同じ部署、同じチームのメンバーですらわからなくなってしまう恐れがあります。ABWのような働く場所も時間も選ぶことのできる働き方を採用していた場合はなおさらです。

注意

社員の状況が見えなくなってしまうことで、社員一人ひとりの変化に気が付きにくくなるという問題が生じます。新しい働き方の推進に取り組む現代では、デジタルテクノロジーの進化によりいつでもどこでも仕事をすることができるようになりましたが、それは反対にいうと、いつまでも仕事ができてしまうということです。たとえば過度な残業が続いている社員がいた場合、オフィスの中であれば他の社員もこの状況を視認することができ、業務量の見直しなどの対策を講じることができますが、テレワークではこれができません。こうした状況が知らずのうちに社員を追い詰め、業務効率の低下や生産性の低下、また休職や離職などの事態を招く恐れがあります。人材が不足している今、このような事態は企業にとっても大きな痛手となりますので、働き方改革に並走して、社員の見える化を進めることが大切です。

「安全配慮義務」と「社員の見える化」

「安全配慮義務」とは

安全配慮義務とは、社員が安全かつ健康に労働できるようにするため、企業が社員の安全に配慮する義務のことです。2008年に施行された労働契約法第5条や労働安全衛生法で定められています。

安全配慮義務には、健康配慮義務と職場環境配慮義務のふたつがあります。健康配慮義務は社員の心身の健康に配慮する義務で、身体および精神面への健康に対する配慮も重要視されています。企業の取り組み例としては、健康診断の実施やストレスチェック、労働時間の管理などが挙げられます。職場環境配慮義務については、社員が安全に働くことのできる労働環境の整備、およびその維持が求められています。機器の導入やメンテナンスだけでなく、ハラスメント対策もこれに当たります。

安全

企業は労働災害を防止するため、安全配慮義務を果たす必要があり、そうすることで社員は安心して働けるようになります。万が一、労働に関するトラブルや事故が発生した場合、安全配慮義務を怠っていると、企業は多額の損害賠償請求を受ける恐れがあります。そうなれば直接的なダメージはもちろん、企業イメージの低下といったリスクも避けられません。

「社員の見える化」とは

新しい働き方へ取り組んでいく上でももちろん、企業には安全配慮義務が求められます。そこで問題になるのは先述した通り、新しい働き方では社員の状況が見えにくくなってしまうということです。守るべき対象が見えなくなってしまうと、適正に守っていくことはなかなか困難です。

新しい働き方における社員の見える化には、デジタルテクノロジーの活用がおすすめです。現在は業務タスクの進行状況を可視化しているものやスケジュール管理を容易にするもの、また社員が今どこにいるのかという居場所を可視化するものなど様々なITツールが提供されています。企業の抱える課題に合わせてこれらのツールを活用することで、見えにくくなっていた社員の見える化を進めることができ、遠くにいながらも近くで見守っているかのような状況を生み出すことができるようになるのです。

コミュニケーション

新しい働き方の「安全確保」

新しい働き方では、「社員の見える化」を前提とした安全確保対策が大切です。ここでは具体的に「社員の見える化」がどのような事態に備えることに繋がるのか、その対策例をご紹介します。

1) 労務管理対策 

新しい働き方の中で問題となるのは、プライベートと仕事の切り離しがしづらいということです。いつでも仕事をすることのできる環境があるため、社員本人も気がつかないうちに長時間労働をしてしまっている恐れがあります。またこのような勤務実態を企業側が把握しづらいという状況も問題です。多くの企業が出退勤管理として、何かしらの手段で勤務状況を把握しようとしていますが、そのほとんどが社員の自己申告によるものです。自己申告のみの勤怠管理だと、万が一虚偽の申請があった際に見抜くことが難しくなってしまうため、原則認められていません。こうした事態を避けるために、ITツールを活用した社員の見える化による客観的な勤務実態の把握が有効です。

外出先、また自宅からでもオフィスの状況が見えるようになっていれば、今オフィスに誰がいるかを把握することができます。こうすることであまりにも遅い時間にオフィスにいる社員に帰宅を促したり、残業が頻発している社員がいれば業務量や内容の見直しをするなどの対策をとることができます。

2) 防災対策 

我が国は災害大国とも言われるほど毎年自然災害に見舞われています。地震、台風、大雨災害などその種類は多岐に渡りますが、いずれの場合も企業には社員の安全確保が求められています。災害に見舞われた際、まず迅速に行わなければいけないのは社員の安否確認です。

社員全員が同じオフィスにいれば避難した社員の点呼を行えば解決しますが、そもそも誰がオフィスにいたかわからない状況が生まれてしまいかねない新しい働き方ではこれでは解決しません。まず誰がオフィスにいたのか、その上で誰か取り残されている人はいないかを迅速かつ適切に把握する必要があります。

オフィス内における社員の居場所を可視化しておくことで、災害発生時にオフィスにいた人物を瞬時に特定することができます。また逃げ遅れ者がある程度どの場所にいるのかを救助隊の方に伝えられることで、救助活動を円滑に行うことができるようになります。

*ITツールを活用したBCP対策について詳しくはこちら

DXとBCP対策〜現代の働き方に合わせたBCP対策で「いざ」という時に備える〜

3) 感染症対策 

近年世界的に影響を及ぼした新型コロナウイルス感染症も、収束とまではいわないまでも落ち着きをみせ、アフターコロナとして我々の生活の一部となっています。コロナウイルスが猛威を振るっていた頃、多くの企業で出社の抑制、テレワークの導入、濃厚接触者の特定、感染経路の特定などの対応を迫られました。コロナの収束に伴い、今はこれらの動きも活発ではありませんが、いつまたこのような感染症の脅威にさらされるかわかりません。こうした事態に備えて、今のうちから対策を講じておく必要があります。

感染症に罹患した社員がいる際、濃厚接触者の割り出しや感染経路の特定を急ぐことで、濃厚接触者には早めの受診を促したり在宅勤務を推奨するなどの対応を取ることができます。しかしこれには感染者本人や他者の記憶を頼りにすることが多く、確認に時間がかかります。屋内位置情報を使用して社員の行動ログを記録しておくことで、感染者がどの社員と同じエリアにいたのかを瞬時に可視化することができ、濃厚接触者の特定を迅速に行うことができます。

まとめ

ライフスタイルの多様化に伴い、働き方の多様化を重視した「新しい働き方」が急速に広まっています。企業にとっても労働者にとってもメリットのある新しい働き方ですが、社員の存在が見えづらくなり、安全確保がしづらくなるというデメリットもあります。

企業には安全確保義務が定められており、これは新しい働き方が普及している今でも変わりません。進化したデジタルテクノロジーの技術を活用して社員の見える化を図り、社員の安全を守っていきましょう。

ビーキャップでは万が一の時に社員の安全確保のために活用できる社員の居場所可視化ツール「Beacapp Here」を提供しています。ご興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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